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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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堂郁の日(10月19日)を華麗にスルーしちゃいました。
見事に体調を崩しました。
一瞬、新型か従来型か、って焦ったんですが、インフルじゃなくてただの風邪でした。
まだウール製品は早いかなと思ったんですが、薄手のセーター着たら、すっごくぬくくて脱げませんでした。
さてさて、そんな今日この頃です。

拍手をありがとうございます。
SSのひとつひとつにぱちぱちしてくださる方がいらっしゃって、すごく嬉しくなりました。
図書館戦争はまだまだ書きたいことがたくさんあります。
これからもどうぞよろしくです♪

一雨ごとに秋深し
秋の雨は冷たくて、一枚上着を多く着ます。
フローリングの床がちょっと冷たくて、靴下が欲しくなる。
触れたドアノブが冷たくて、あったかいマグカップが恋しくなる。
そんな時期のお話です。



『calidus』
堂郁   革命   ぬくもりを。


しばらく続いた秋晴れが、今日は雨降りだ。
ざんざん降っているのではないから、来館者も館外警備もさほど濡れることはない。
けれど秋の雨は冷たい。

気温的には過ごしやすい温度なのだが、触れるものが冷えていて、ひやりとする。
館内は冷房も暖房も必要ないため、ただ空気清浄機が空気を回している。
動いている者には気にならないことでも、あまり動きのない者にとっては、その空気の流れすら、時に寒さをもたらすのだ。


「あったかーい」

昼食のトレイに乗った湯のみを大事そうに両手で抱えて微笑んでいるのは、柴崎だ。
飲み物の CM ばりのポーズに、食堂を行き来する隊員たちの動きがそこで一瞬止まる。
柴崎の目の前に座る笠原は、はーんと鼻で笑っていた。

「しなを作るな」
「別になにもしてないけど?」

しれっと返す柴崎に笠原はさらに深く息を吐いた。
笠原があたりを見回せば、わざわざ視線をずらす輩がざらりといた。

「ああ、早く暖房入らないかしら」

湯のみを置いて、ようやく柴崎は箸を手にした。
さっさと食べ始めた笠原は、食後のお茶をもう一杯湯のみに注いだというのに。

「いくらなんでも、暖房はまだ早いよね」

くすりと零れた笑い声は小牧だ。
相変わらず仕官食堂ではなく隊員食堂で昼食を取ることが多い。
当然、堂上も一緒だ。
小牧は無言で同じテーブルに着くことの了解を笠原ではなく柴崎に取り、席についた。

「そうだよ。暖房なんてまだ早いよ」

笠原は慌てて柴崎に会話を振った。
いすの空き具合から堂上が笠原の隣に座ったのだ。
複雑な乙女心が笠原をどきどきさせる。

笠原の挙動不審の原因を一瞬で理解した柴崎がくすくす笑う。
そして、いきなり笠原の手を握った。
笠原の挙動不審が増したのは無理もない。
小牧がぷっと笑い、堂上は怪訝な表情を笠原に向けた。

「これでも、そう言うか」

柴崎は両手で笠原の手を包み込んだのだ。

「ひゃああ。つっめたい。あんた、心も冷たいけど、手はそれ以上に冷たい」
「一言余計」

柴崎の手に包まれた笠原の手は、氷に包まれたように冷えていった。

「あんたの手、いつもあったかいわね。気持ちいいわあ」

先ほどまで湯のみを包んでいたように、笠原の手を包み、柴崎は微笑んだ。

「あったかいに決まってるでしょう。ご飯食べたばっかだし」

邪魔だと言わんばかりに柴崎の手を振り切ると、笠原は湯のみで冷え切った手を温めた。

「柴崎さんも冷え性?」

小牧が尋ねた。

「はい」
「女性には多いね、冷え性」
「ええ、カウンターの中では、ひざ掛け常備の人多いですよ。私もその一人ですけど」

笠原は「ふーん」とそっぽを向いた。

笠原自身がこういう「女性に多い」症例に当てはまることがわりと少ないのだ。
身長にしても、身体能力にしても。
柴崎を見ていると、女の子はこうであるべき見本を見ているような気になる。
比較することも比較されることも好きではないし興味もない。
しかし、気になるときは気になるのだ。

「お前もそうなのか?」

ぽつんと堂上が笠原に尋ねた。
合コンの時のように、柴崎にも聞いたから笠原にも聞かなきゃ悪いよな、的な聞き方ではなく、心配交じりの声だった。

「うーん、あんまり感じたことはないですね。さぶって思ったら身体動かせばすぐにあったまるし。それに、じっとしてられないし」

えへへ、と照れ笑いで笠原は自分をごまかした。
ぽんと笠原の頭に堂上の手が下りた。

「冷え性にならんで済むなら、それに越したことはない。よかったな」

慰められたんだろうか?と一瞬笠原は思った。
それとも、特殊部隊唯一の女である自分があまり女性らしいことに当てはまらないのは当然とでも思っているのだろうか。

堂上の発言を図りかねていると、堂上が笑った。

「心配するな。お前が女から外れてる、とかそういうんじゃないから」

あからさまに笠原のほっとするため息が聞えた。

「俺の母親も妹も冷え性で、冬場なんか一緒にこたつに入ると冷たいんだよ。あったまるために入ったこたつで、熱を奪われるんだぞ。まあ、冷え性の辛さがわからんから、なんともいえんが、な」

両手で身体を抱えて、がたがた震える仕草で語る堂上に、笠原は実家での堂上の様子を思い浮かべた。
そして、茨城の実家での自分のことを思い出した。

「あたしと一緒に入ったら、温かいですよ」

こたつに入ると、兄たちがやってきて冷たい足を自分に押し付けるのだ。
いい具合にこたつで温まった体温をやおら兄たちに奪われる。
当然、その後の展開は目に見えている。
暖をこたつで取るのではなく、身体を動かして温めることになるのだから。

思い出しても腹立たしいやら、懐かしいやらで笠原が感傷に浸っていると、テーブルでは柴崎と小牧がくつくつと肩を揺らして笑いをこらえている。
きょとんとして、笠原が柴崎に「どうしたの?」と問いかけた。

「だって、あんた……」
「いや、自覚ないんだって、柴崎さん」
「そうですよね」

一息深く深呼吸して、小牧が堂上に向かって一言告げた。

「堂上、よかったな。今年の冬は笠原さんがあっためてくれるって」

がつんと大きな音がした。
堂上がテーブルの下で小牧に一蹴りを入れたのだ。

きょとんとして事の成り行きを見ていた笠原も、今の小牧の発言で自分の爆弾発言に気付いた。
ぼんと音がしそうなほど、顔を真っ赤に染める。

そういう意味ではないとどう繕うか、笠原がおろおろしだすと、小牧は上戸が入って止まらなくなった。
笑っていた柴崎は、笠原の手をもう一度包み込むと、堂上ににっこりと笑った。

「いくら教官でも、笠原のぬくもりはあげられませんわ。これは、あたし専用ですから」

それを聞いた笠原は、ぎゃあぎゃあ柴崎に食ってかかるが、柴崎に適うわけもない。

笠原の気持ちにも堂上の気持ちにも気付いている聡い柴崎が見せた、軽い嫉妬だということに気付いたのは、酸欠になりながら未だ上戸の止まらない小牧だけだった。

暖房が入るまでのあと少し。
この光景が幾度となく、繰り返されることとなる。

fin.

あとがき
寒くなりましたね。
朝、素足で歩くフローリングが冷たかったり、洗面所の蛇口が冷たかったり。
ぬくぬくしたものが恋しくなります。

女性の冷え性は、どんな年齢でも気をつけたほうがいいです。
若さでカバーできるうちはいいけど、カバーしきれなくなったときが大変だから。
郁ちゃんは体温高そうだし、柴崎は思いっきり低体温っぽいです。

この後、郁ちゃんが「冷たっ」って言うと堂上さん、すっ飛んできて「どうした」って言いながら、両手で郁ちゃんの手を包み込んであっためてくれるといいなあ。
「ここには、湯のみもないしな」って言い訳しながら、笑。

タイトルの「calidus」は「暖かい」の「calid」の語源ラテン語から。
温暖な、とか、暖かい、の意。

読んでくださりありがとうございました。
感想をお待ちしています。

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関東の片田舎に住む。
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