忍者ブログ
図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
2024-041 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
prev 03 next 05
112  111  109  108  107  106  89  104  102  101  100 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

生来、そそっかしいので、しょっちゅう怪我をします。
怪我もたいしたことないし、そのままにしておくほうが治りが早いのですが、血や体液が洋服についてしまうのがとても困ります。
なので、絆創膏は常備品!

これからの季節(秋~春)は、乾燥しやすいので、なぜか紙で手をよく切ります。
すぱっと、潔い切り口に惚れ惚れするくらいに、きれいに切れる。

きっと図書館で働く人たちもそんな苦労があるだろうなと思ったので。
ただ、話の方向が妙な方に行ってしまったようですが、笑。


『bandaid』
堂上班  内乱ごろ  これで、いい…



「あっ…」


新刊を開架書棚に並べていて、小牧は小さな悲鳴を上げた。

まだ、誰の手にも触れていない新刊の紙は、断面が鋭く、ときどき指を切ってしまう。
ナイフのように、すぱっと、潔く切れる。
始末の悪いことに、ナイフでは切れない場所をよく切ってくれる。

小牧の指の側面を指の皺とは角度を持って、紙はきれいに小牧の指を切っていた。


「やっちゃったよ。気をつけてたんだけどな」


咄嗟に口に切れた指を入れる。
口の中に、さびの味が広がって、傷の深さを教える。


「さすが、新刊の表紙だけのことはある。切れ味抜群だ」


ぶつぶつと文句をいいつつ、指の根元をぎゅっと締める。
たいてい、こうして止血すれば、血は止まる。

しかし、今回は場所が悪かったらしい。
指を伸ばしていれば血は出てこないが、多少でも曲げ伸ばしをすると、じわりと血がにじんで来た。


「まいったな…」


もう一度、切れた指を口に含んだ。

仕方ない。
絆創膏をもらいに行こう。
図書館のカウンターには救急箱が用意されている。
その中に絆創膏も常備されているはずだ。

小牧はカウンターへと一歩踏み出した。

と、服が伸びた。

どこかに引っかかっているのかと振り向くと、そこには毬江が立っていた。
小牧の服の裾を引っ張っている。


「大丈夫ですか?」


声の大きさを調整するのにめいっぱい気を使っているのだろう。
緊張した面持ちと声で、それでも小牧を心配そうに見つめた。


「ああ、ありがと。ちょっと指を切っちゃってね。絆創膏をもらってこようと思ってね」


ほら、と切った指を見せると、毬江は顔をしかめた。
目を細めて、毬江が怪我をしたかのように痛そうな表情をした。


「ああ、大丈夫だよ。ちょうど曲げ伸ばしの場所だったからね。どこか他の場所に血がつくといけないから」


そう言って、カウンターへ行こうとすると、毬江はさらに服を強く引っ張った。


「毬江ちゃん?」


どうしたのだろうか、と小牧はもう一度毬江に向き直った。
それを確認した毬江は、持っていたカバンを床に置いた。
カバンの中から、小さなポーチを取り出して、その中からパステルカラーの何かを取り出した。


「貼ってあげる」


パステルカラーの何かは、絆創膏だった。
パッケージを開けると、中から、それはファンシーな柄が描かれた絆創膏が出てきた。


「ちょっと待って。それって、絆創膏…だよね」


わかっていても、確認せずにはいられない小牧だった。
三十路男の指には、あまりにもファンシーで場違いな絆創膏だったからだ。

毬江はにっこり微笑んで、大きく頷いた。
そして、長袖のブラウスの袖をほんの少し捲って、うでを小牧に見せた。
そこには、今、目の前にある絆創膏と色違いの絆創膏が貼られていた。

小牧は自分の怪我より、毬江の傷が気になった。
その気持ちを瞬時に感じた毬江は、かたかたと携帯を打った。


『学校で掃除してて、道具入れの角にぶつけちゃったの』
『ちょっとだけ皮がむけたら、友達が心配して貼ってくれたの』
『この絆創膏、今学校で流行ってるのなの。友達と色違いで買っちゃった』
『ちゃんとしたメーカーのだから、大丈夫だよ?』

小牧が安堵したのを見て、毬江はにっこり微笑んで、小牧の指にくるりと絆創膏を巻いた。
そして、おまじないをするように、小牧の指に口付をした。

小牧はそっと毬江の耳元へ口を寄せて「ありがとう」と囁いた。


そこへ、手塚がやってきた。
いや、やってきたというよりは、今までもそこにいたのだが…
小牧と組んで、新刊図書の開架作業をしていたのだ。


「小牧教官、すいません」


片手の親指を握り締めて、眉間の皺を増やしている。


「もしかして、指、切った?」


覚えのある小牧が訊ねると、手塚は申し訳なさそうに頷いた。

ふたりのやり取りを見ていた毬江は持ち上げたカバンを床に下ろそうとした。
小牧に捲いてあげた絆創膏をカバンの中から出そうとしたのだ。

ところが、小牧はそれを制止した。
毬江は怪訝な顔で小牧を見つめた。
小牧は毬江にウィンクすると、カウンターを指差した。


「カウンターで絆創膏、もらっておいで」


手塚は素直に小牧の言葉に従い、カウンターへと足早に向かった。

毬江は、不思議そうに、手塚の後姿と小牧の顔を交互に見つめた。
小牧は、毬江の携帯をちょっと貸して、と借りると、かちゃかちゃと打った。


『かわいそうだけど、アイツに君とお揃いの絆創膏がくっつくかと思うと、ね★」


黒い星が、小牧の気持ちを表しているようで、毬江はくすりと笑うと、こくりと頷いた。





カウンターについた手塚は、手近にいた柴崎に声をかけた。


「悪い。絆創膏、くれ」


柴崎はカウンターからひょいと身体を伸ばして、手塚の様子をうかがった。
ここに来るまで握っていた親指をそっと離すと、じわりと血がにじんでいた。

手塚はちっ、と舌打ちして、親指を銜えた。
指を口に銜えたまま、柴崎にもう一度「絆創膏」と言った。

柴崎はカウンターの下に置いてあった私物のバッグの中から、絆創膏を取り出した。
パッケージを開け、絆創膏をカウンターの上に置く。
そして、ティッシュを取り出す。
いきなり手塚の親指に手をかけると、ずぼっとその指を口から引っこ抜いた。


「うわっ、って、お前なにすんだよ」

「何って、絆創膏、捲くんでしょ」

「自分でやるって」

「絆創膏をぐちゃって捲いてあるの、あたしの美意識に合わないのよね」

「お前の指じゃねえ」

「あたしの視界に入るんだから、やっぱりあたしの美意識に合わないといやあ」

「…どうでもいいから、早く捲いてくれ」


本来、来館者と図書館員がやり取りする場であるカウンターで、図書館員同士があれこれしているのはさすがにまずい。
手塚も柴崎も声のトーンを落としてはいるのだが、それでも、時間がかかれば、人の目がある。

柴崎はティッシュで軽く血と唾液を拭き、ゆっくりと絆創膏を傷に捲いた。
捲き終わると、ぽんと傷を叩いて「はい出来上がり」と微笑んだ。


「いってえ…って、なんだよこれ」

「絆創膏よ」

「絆創膏って、こんなポップなもんだったか」

「あら、今流行りなのよ。なかなか手に入らなくて、オークションでも高値よ」

「普通のはなかったのか。肌色の…」

「今、救急箱、持ち出されててね。かわいいでしょ?」

「男にかわいいはいらない」

「あっらあ、残念。あんたも少し乙女心、理解しなさい」

「ああ、もういい、さんきゅ、な」

「そんな言い方ってないんじゃないの?なんなら、剥がす?」


下からぎっと睨み上げられて手塚はうっとつまった。


「これで…いい…」


手塚の返事に柴崎は満足そうに頷いた。





業務が終わり、手塚も小牧と一緒に特殊部隊事務室へ戻った。
先に戻っていた郁が、苦手な業務日誌と格闘していた。

手塚が郁の隣に座り、日誌を開くと、郁が隣から覗き込んできた。


「手塚、どうしたの、その指」


目聡く手塚の怪我を見つけた郁は嬉しそうに聞いた。
めったに怪我などしない手塚の絆創膏が珍しかったのだ。


「新刊で切った」


理由を聞いて、郁は大きく頷いた。


「うん。わかる。切れるんだよね、新刊って」

「ああ、すっぱりとな」

「そう。時々、紙が指に立つよ」


想像するだけでも摩訶不思議な光景だが、郁は言葉通りに、そんな光景をしょっちゅう見せてくれる。
すぱっと紙が指をすべるのではなく、紙が指に刺さるのだ。
誰もが、そんなばかなことがあるか、と初めは言うのだが、実際にその場面を見ると、そんなばかなことがあるのだと納得せざるを得ないのだ。


「これさ、柴崎が捲いてくれたんでしょ」


ずばり指摘されて、手塚は、がたんといすを思い切り引いてしまった。
手塚の動揺を楽しむように、郁が自分のひじを手塚に見せた。
そこには、柴崎が手塚の指に捲いた絆創膏と同じ絆創膏が貼り付いていた。


「これなかなか売ってなくて、この間見つけて、業務部の子たちと箱買いしたんだ」

「そういえば、柴崎も、今の流行だって言ってたな」

「うん。怪我してなくてもファッションで貼ったりするんだって」

「お前はそんなことすんなよ。ただでさえ、絆創膏率、お前異様に高いんだから」

「はあい」


間延びした返事をした郁に堂上がぎろりと視線を送った。
また、雷が落ちるかと、郁は慌てて自分の机に戻って日誌を書き始めた。
書き始めたのだが、なかなか進まない。
はあ、と大きく息を吐いて、郁は隣で静かに日誌を書き進める手塚を見た。

ふうと一息吐いた手塚が、郁の視線を感じて、横を向く。
すると郁がにっこり微笑んだ。


「手塚、おそろだね~」


ほら、と手塚の親指に自分のひじを近づけた。
そして、ねえ、と笑った。

その瞬間、手塚はぞくりとする、鋭い視線を感じた。
その視線の方向を恐る恐る見ると、堂上がいすから立ち上がって、仁王立ちしてこちらを睨んでいた。


「ばか。早くしないと、また怒鳴られるぞ」


手塚の言葉に郁も堂上を見た。
慌てて、机に突っ伏して、日誌を書き上げた。


仁王立ちした堂上の後ろから、小牧が日誌を差し出した。
片手で腹を押さえて、日誌を差し出す手はプルプル震えている。


「はい、はーんちょ、日誌…くっぷ」


上戸爆発寸前だ。

特殊部隊事務室に戻ってくるなり、小牧は堂上に毬江に貼ってもらった絆創膏をみせびらかした。
聞いてもいないのに、堂上に話して聞かせたのだ。
ついでに、手塚の怪我のことも。

郁の怪我は、館内を走っていて転びそうになった子供を助けて、すりむいたのだ。
ちょこちょこ怪我をする郁は、自衛策として、絆創膏を持参している。
すりむいて、血がにじむ傷に絆創膏を貼ろうとしていたら、一緒にいた堂上がさっと貼ってくれたのだ。

どこでその情報を手に入れたのか、小牧は郁の怪我についてはすでに知っていた。
そして、郁のひじに貼られた絆創膏と手塚の絆創膏を見て、事の顛末を予想していたのだ。


「小牧…」

「くぷぷぷ…お前も怪我したら?今なら、笠原さんの持ってる絆創膏、貼ってもらえるよ?」

「結構だ」

「でも、そうしたら、手塚ともお揃いになっちゃうんだね、くぷぷ…あははは」

「黙ってろ」


上戸に入った小牧の頭に拳骨を落として、堂上はばんと派手に音を立てていすに座った。

その後、日誌の確認印をもらいに行った郁は、なぜ堂上の機嫌が激しく悪いのか、見当もつかず、また自分が何か大きなミスでもしたのだろうかと、一晩悩むことになる。


絆創膏が外れた翌日、堂上の機嫌はすこぶるよかった。
郁にはその理由がわからず、結局、その日も一日悩むことになったのだった。



あとがき

ぞりっと皮を剥いちゃったので、絆創膏を貼ろうと探したら、めちゃくちゃポップなかわいい絆創膏しか見つからなくて、しぶしぶそれを貼りました。
それを見ていて、ふと思いついた SS です。

傷の状況がわからないと困るから、絆創膏はシンプルなものでないと困るんですが、小さな傷だったらかわいいのもいいです。
指先だったら、ファッション指輪してると思えばいいし。
若い女の子はそういうの好きじゃありませんか?

毬江ちゃんは高校生です。
だから、女子高生ってことで、かわいいもの持ってもらいました。
柴崎も流行には敏感だから、OL さん用のものを。
郁は本人まったく興味ないんだけど、まわりが気にして持たせてくれてます、笑。

そんな絆創膏を貼られた男性たち…
貼られるとなったら抵抗するだろうけど、ちょっと小牧と手塚が羨ましかった堂上さん。
郁ちゃんといるときに怪我して「仕方ない」って貼られちゃえよ。

感想をお聞かせくださると嬉しいです。
読んでくださりありがとうございました。

PR
管理人のみ閲覧可
NAME
TITLE
MAIL
URL
COMMENT
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS
無題
こんにちは亜生さん、いつも読ませていただいております!お泊りできる図書館の話もよかったですー!日本にあるならぜひ泊ってみたい・・・英語は無理だ、辞書がないと読めないorz
前店にはりぽたが洋書ではいってきたとき1ページどころか半ページで目をそらした記憶がありますww読めるならそういうとこいって好きな人と二人ゆっくりと時間を過ごしたいって気持ちは凄くわかる!わかりますともー!って思います('▽')
絆創膏はかわいいのありますよねー、娘が怪我もしてないのに可愛いの貼りたくて貼りたくて仕方無くてわざとちょっとした擦り傷作って貼ってました(なにもわざと怪我することはないと思うんですが、娘なりに怪我をしないと張ってはいけないものだと思ったらしいです、ちょっと思い出しちゃいましたw)お揃いだねって言ってる郁に不機嫌なっちゃう堂上も可愛いですが、そんな堂上のやきもちがわからない郁がかわいいですw
ほんと横で眺めていたい・・・小牧はいいポジションですなぁ、手塚だとうろたえちゃうんでしょうけどw
みさぼ EDIT
at : 2008/09/24(Wed) 09:18:11
無題
本当に亜生さんの書かれる堂上班おもしろいです~。
小牧と毬江ちゃんのやり取りににまにましてたら、柴崎もかわいくって。
堂上教官も、手塚と郁ちゃんの絆創膏が一緒だからやきもちって・・・ww
すごくおもしろかったですvv
EDIT
at : 2008/09/27(Sat) 21:20:05
TRACKBACK URL 
絶賛応援中
『図書館戦争』公式サイト
プロフィール
HN:
亜生(あおい)
性別:
女性
自己紹介:
関東の片田舎に住む。
典型的 O 型人間。
せっかちなのにのんびりや。
好物はハチミツと梅酒。

カウンタ
メールフォーム
おすすめ
図書館戦争

図書館戦争文庫版

(コミックス)1
図書館戦争
LOVE & WAR




(コミックス)2
図書館戦争spitfire!

(CD、DVD)1
DJCD 関東図書基地広報課 第壱巻   第弐巻

DVD 図書館戦争
(CD DVD)2
実写版DVD

サントラ
(有川先生の本)1
(有川先生の本)2
(有川先生の本)3
(有川先生の本)4
(有川先生の本)5
ブログ内検索
"亜生(あおい)" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.
忍者ブログ [PR]