図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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年に2回、必ず精神不安定状態になります。
5月下旬と10月上旬。
理由はわかっているので、ひたすら時間が過ぎるのを待ちます。
とくに不安定になりやすいのが、年絡みのことです。
年齢、歳月…あれから何年とかあったら、それだけでずどーんと落ちます。
そんなときふと思ったのが緒形さん。
いろいろあって、今があるって感じだから、かな?
『longing』
緒形+特殊部隊 戦争~内乱 今もそんなに悪くない。
5月下旬と10月上旬。
理由はわかっているので、ひたすら時間が過ぎるのを待ちます。
とくに不安定になりやすいのが、年絡みのことです。
年齢、歳月…あれから何年とかあったら、それだけでずどーんと落ちます。
そんなときふと思ったのが緒形さん。
いろいろあって、今があるって感じだから、かな?
『longing』
緒形+特殊部隊 戦争~内乱 今もそんなに悪くない。
終業時刻を過ぎると、特殊部隊事務室は急に人口密度があがる。
基本的には日勤が多い特殊部隊の面々が事務室に戻ってくるからだ。
事務室の在室者数が上がっただけでも、がやがやと物音が騒々しさを増すのに、この班が帰室すると騒音といわずなんと言う、というレベルまで騒々しさが増す。
堂上班だ。
いや、笠原郁、こいつだ。
新人の頃に比べれば、武勇伝も少なくなった。
日常の業務を他の隊員と変らずにこなすようになった。
しかし、だ。
コイツが帰室すると、部屋の温度が上がる。
一日の業務の中での出来事を、逐一だれかれかまわずに報告するのだ。
「今日は、銀杏が落ちてたんですよ~」
「今日は、枯葉のネックレスをこどもにプレゼントされちゃいました」
どれも業務とはまったく関係のない、どちらかといえば、微笑ましい出来事だったから、誰も笠原を止めることはせず、笠原の気の済むまで話させていた。
しかし、これがちょっとでも度が過ぎると、班長である堂上から罵声が飛ぶ。
そして、楽園から一気に急降下した笠原は、その不服をすべて堂上にぶつけだす。
こうなると、誰も口を挟めなくなり、しぶしぶふたりを見守ることになる。
上官と部下の言い争い。
しかし、それはあくまでも立場だけであって、その本質は恋人同士の言い争い、もとい、いちゃつきなのだ。
「あれま、また、始まったよ」
自分の班分の日報を持った進藤が緒形に日報の山を渡しながら、ぼやいた。
日報は班長の確認印を押されたら、隊長へ提出する。
しかし、玄田はこの仕事を「俺が見るより緒形が見たほうが抜けがない」とあっさりと、緒形に丸投げしてよこした。
確かに、細かなチェックは班長が行っているのだから、よほど重大事でもなければ、そのままでもいい仕事なのだ。
加えて、玄田のチェックより緒形のチェックのほうが細かく丁寧なのは事実だ。
緒形は、進藤から日報の山を受け取ると、机の端の日報の山に重ねた。
そして、ゆっくりと頬杖をついて、堂上と笠原を見た。
「よく飽きないもんだな」
「笠原のつっかかりも、堂上の受け答えも、よく続くよ」
「お互い『納得できるまで』が信条だからな」
進藤と緒形は苦笑を浮かべた。
「お前さんもよくつっかかったよな」
緒形は口角を上げて進藤を見上げた。
見上げられた進藤は、照れくさそうに、トムそっくりの笑いをこぼした。
「それを言うなって。若気の至り、というか、まあいろいろあってだな」
「いや、つっかかってもらえなかったら、俺はダメだったと思うよ」
「いっそ、お前が殴り返してでもくれりゃあ、気が楽だったのになあ」
「我慢してたからなあ」
「やっぱりそうだったのか」
「俺は言葉がうまく見つけられない。言葉ではあまりいい思い出がないからな」
「言いたいことも言えず…か」
「ああ」
「で、笠原が羨ましくて、毎日こうして眺めてるってわけか」
進藤がトムのようににやりと笑う。
緒形は、がたりと音を立てて立ち上がった。
しかし、時すでに遅しである。
進藤は口に手を当てて大声を発した。
「おい、笠原。緒形副隊長がお前がいいってさ」
お前、それは言葉の綾を掛けすぎてるぞ。
緒形の声は声にならず、特殊部隊事務室のどよめきと笠原の驚きの声にかき消された。
緒形に向けられた堂上の視線が痛かった。
「アホか、貴様!」
笠原の頭上に落とされた拳骨で、その場は納まった。
その後は、いつもの終業後の事務室の騒々しさだった。
緒形は横に立つ進藤の腰に思い切り肘鉄を食らわせた。
進藤は、予め予想していたのか、あっさり肘鉄を除けて、笑った。
「ああ、フォローはしといてやるよ」
「当たり前だ」
吐き捨てて、緒形は少しも減らない机の書類に手をかけた。
進藤は緒形の肩をぽんと叩いた。
「あんたも少しは吐き出せよ。見てると、こっちまで胸が苦しくなることがある」
「そんな年は遠に過ぎた」
「人生やり直しはいつだってできるさ」
「お互いにな」
ははは、と笑って、進藤は笠原と堂上のフォローに向かった。
真っ赤になって、ぎゃんぎゃん騒ぐ笠原と彼女に生真面目に向き合う堂上。
このふたりのように、言いたいことを言い合っていたら、今の自分はどうなっていたのだろうと、緒形は思った。
言いたいことは山ほどあって、伝えたいことも抱えきれないほどある。
それを思いのままに吐き出すことができたら、幸せになっていたのだろうか、と。
「無理だな。でも、タイムマシンで戻れたら…」
そんな人生のやり直しも悪くはないと緒形は深く息を吐いた。
けれど、今もそんなに悪くないと微笑した。
fin.
あとがき
緒形さん初主演です。
進藤さんと無二の親友っぽい設定です。
緒形さんはきっと郁ちゃんを見てると、若かりし頃を思い出して、羨ましくなることもあるんじゃないかなって思いました。
郁ちゃんは脊髄反射型だから、言葉が頭に行く前に口から出ちゃうでしょ。
緒形さんは脳内熟成型だから、言葉を選んで熟成させて口から送り出すでしょ。
どちらも一長一短で、いいときも悪いときもある。
でも、緒形さんは熟成させすぎちゃって苦い思いをしたから、思ったことをずばっと切り出す郁が羨ましいと思ったんです。
年齢を重ねると、若い子たちが真剣に言ってることに、ふと笑ってしまうことがあります。
自分もそんなこと思ったっけなあ、でも、それって、違うんだよなあ、でも、その年じゃわかんないよなあ。
緒形さんもそんなことを思いつつ、若かった自分に思いを馳せているのだと思います。
何を書きたかったんだか自分でもよくわからない SS になってしまいました。
感想お寄せください。みなさんがどう感じたのかがすごく知りたいです。
読んでくださってありがとうございました。
プロフィール
HN:
亜生(あおい)
性別:
女性
自己紹介:
関東の片田舎に住む。
典型的 O 型人間。
せっかちなのにのんびりや。
好物はハチミツと梅酒。
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