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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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いつも利用しているスーパーにはドラッグストアが併設されていて、そのドラッグストアではいつも特売見切り品をダンボール箱にどさっと入れて、入り口付近においています。
乾物やマスクとかもろもろ…

それを見て「ピン☆」と来ました。
今回もR18でお願いします。
内容とそこからつながることがやっぱり大人な方にわかっていただきたいということで。

『Waffle』 R18
郁+α   別冊Ⅰ   いろいろあるんだね~


カレンダーも残り二枚。
その一枚も、すでに半分を過ぎている。
読書週間も終わり、図書館は少しずつ年末大掃除が始まっていた。

建物の大きな清掃は、年末の閉館時期に行うのだが、書架の清掃や蔵書の清掃は業務終了後に少しずつ進められる。
決して男女差別ではないのだが、蔵書の清掃は児童室で行われるため、女性館員が担当する。
児童室はカーペット敷きで館内とは別系統の暖房のため、閉館後もあたたかいのだ。
冷え性の多い女性館員に、男性館員たちは、その仕事を譲っているのだ。

蔵書の清掃は、特殊な洗剤を使って、本の外側を綺麗にする。
特に絵本や児童書は、手間がかかるのだ。
それは、絵本や児童書がラミネートコーティングして開架されているものが多いからだ。
本当は紙の手触りをじかに感じて欲しいのだが、本が貴重な今の時代、そういうわけにもいかない。
多数の人の手に触れることで、紙が痛むのだ。
しかも幼い子供たちは、大人が注意していても、汚れた手で本に触れることがある。
うっかりシミでも付いてしまったら……
それを防止するために、そして本の寿命を延ばすために、ラミネートコーティングするのだ。
ラミネートコーティングによって、いいこともあるがそれだけではない。
手垢が付きやすくなる。
どことなく黒ずんでベタベタしてくる。
それを綺麗にするのだ。

今日も児童室には、カートンに入れられた本が用意されていた。
毎日冊数を決めて作業は行われる。

郁も日報を提出して、急いで児童室へやってきた。
すでに、何人もの館員が作業を始めていた。

まず、ゴムの手袋をつける。
これは作業用の極うすのもので、手にピッタリフィットする。
これを着用しないと、手がひどく荒れるのだ。
そして、スプレー入りの洗剤とキッチンペーパーを持って、空いている場所に座って作業を始める。

郁がどこに座ろうかあたりを見回すと、柴崎を見つけた。
隣に座って、本を綺麗にし始めた。

特に頭を使う作業でもないから、自然におしゃべりに花が咲く。
郁が作業しているカートンのまわりには、柴崎のほかに、防衛部の有馬と棚橋もいた。
有馬と棚橋は、防衛部ではベテランの部類に入る女性隊員で、特殊部隊配属になった郁にあれこれとアドバイスをくれる先輩だった。


「この洗剤、匂いがないから、余計手袋のゴム臭さが鼻につくわね」


言い出したのは、有馬だ。
部屋に芳香剤は置かず、自身も香水などつけていない。
理由は「鼻が敏感すぎる」からだ。
香りの強い花の近くも苦手だ。
そのくせ、硝煙の匂いは平気だという。


「そうね。こればっかりは仕方ないわね」


棚橋も眉を顰めて首を振った。
ゴム手袋以外に、これほどのフィット感のある手を守るものはなく、妙齢の女性としては手荒れするよりはマシと考えるしかない。
柴崎も頷いて同意を示す。


「ううう、手にピッタリ張り付いて、皮膚呼吸できないー」


叫んだのは郁だ。
訓練時は、皮手袋を着用することが多いから、薄手のピッタリフィットに慣れていないのだ。
作業を進めていると、自然と手にも汗をかく。
不透明だった手袋にうっすら透明感が出てきていた。
郁はほんの一瞬、手袋を外したい衝動に駆られた。

その一瞬を見逃さず柴崎が注意した。


「だめよ、外しちゃ」

「はあい」


しぶしぶ外そうとかけた手を戻した。
その様子を見て有馬が吹き出した。
くすくすと必死に笑いを堪える様子に、棚橋もつられたように笑い出した。


「ねえ、今の会話、身に覚えがあるんでしょ」


棚橋の突っ込みに有馬が引きつりながら頷いた。
柴崎はくすりと笑いをこぼし、意味がわかったという風に頷いた。
ひとり、わけのわからない郁はきょとんと三人を交互に見つめた。
「なに?なに?」と丸い目で訊ねられて、有馬は「わかった」と目で返事をした。

有馬は呼吸が落ち着くのを待って、郁に笑った理由を話した。


「あのヒトが、アノときに言ったのよ、『皮膚呼吸ができないー!外したいー』って」

「へっ?アノときって……えええ!」


一気に真っ赤になる郁を楽しんで、有馬が話を続けた。


「まだ結婚の『け』の字もないときよ。外したいって言われて、はいそうですか、なんて答えられないわよ」


有馬には婚約者がいる。


「そうよね。いくら安全ってわかってても、やっぱり体調なんてころころ変るし」


基地内に恋人のいる棚橋もうんうんと頷く。


「だから『外しちゃだめ』って言ったの。ちょうどさっきの柴崎と笠原みたいにね」


有馬は「思わず思い出しちゃったわ」とどこか懐かしんでいた。
すると、その話に続けて、棚橋が話し始めた。


「でもさ、アレつけてした後って、ほんとゴム臭いのよね。この手袋外したときみたいに」

「そうそう、ベッドの中にゴムの匂いが篭っちゃう感じで、そのまま寝ちゃうのを考えちゃう感じよね」

「笠原もそう思うでしょう」


ここで棚橋が郁に同意を求めた。
郁が堂上とフィジカルな関係になったことは、特殊部隊のみならず、防衛部でも暗黙の周知になっていた。
同意を求められた郁は、しどろもどろに答える。


「あんまりわからない……かもです」


真っ赤になって俯き加減の郁の顔をくいと上にあげて、柴崎が問い詰める。


「まさか、堂上教官、付けずにしてるの?」


郁は慌てて手を顔の前でぶんぶん振って、そんなことはない、と否定した。
「そうよね。当たり前だわ」と柴崎は胸を撫で下ろした。


「もしかして、笠原って、見たことないの?つける前のとか、つけてるとことか」


またもや、手を顔の前でぶんぶん振って、郁は否定する。


「夢心地だもんねー」


柴崎がからかい口調で小首を傾げる。


「ゴムの匂いって、あんまり感じたことないんです」

「そっか。気付かせないように、堂上くんも気ぃ使ってるんだね。優しいね」


堂上のことを褒められて、郁は嬉しそうににっこり微笑んだ。


「うわっ、言うんじゃなかった。幸せ全開オーラ出てるよ、笠原から」


棚橋はふざけて、「うわあ、眩しい」と顔の前で手を翳した。


「はいはい。先輩方、あんまりいじらないで下さいね。この子、そっち方面はまるっきり若葉さんなんで」

「はいはい。柴崎がどれだけフォローしてるかわかってますって」


仰々しく頭を下げ合う三人を見て、笠原は「そんなことないよ」とちょっとふくれっ面になった。

その日の作業が終わると、一斉にゴム手袋を外した。
張り付いていたものがなくなった開放感に、郁は指をグーパーして伸ばした。


「うわあ、やっぱりゴム臭い」


有馬がしかめっ面でゴム手袋を遠ざける。
確かに、あたりにゴムの匂いが漂っていた。


「いいじゃん。ゴムの匂いだけだから」


くすくすと意味深な笑いを棚橋がこぼすと、有馬も意味深に笑った。
柴崎はただ淡々と片づけをし、郁は再びわけもわからずきょとんとしていた。


そこへ、カートンを運ぶために、堂上がやってきた。


「お疲れさまです」


堂上は先輩である有馬と棚橋に一礼して、カートンに手をかけた。
すると、その手をもぎ取るように、有馬が堂上の腕を引いた。


「堂上くん、いいものあげるよ」


有馬はポケットから、ファンシーカラーの小箱を取り出した。
商品ロゴもなにもなく、ただのかわいらしい小箱だ。


「菓子は遠慮します」


そっけなく断る堂上に、怯むことなく有馬は小箱を差し出した手のひらに並べた。


「これがレモン、これがグレープフルーツ、これはイチゴだって。どれがいい?」


「飴ならいらんです」


「飴じゃないって、よく見てみ」


ぐんと堂上の目の前に小箱が突き出され、堂上はしぶしぶその箱を見た。
何度見ても、ファンシーカラーのかわいらしい小箱以外のなにものでもなかった。


「なんですか、これは」


堂上は有馬に訊ねた。
有馬はくすくす笑って、堂上を思い切り小突いた。


「やだなあ、堂上くんたら」

「痛いじゃないですか」

「そんなかまととぶっちゃって」

「かまととってなんのことですか」

「いいよ。なら。笠原に聞くから」

「ちょっと有馬さん」


有馬は堂上を無視して、郁に向き直った。
そして、堂上に差し出したように、小箱を手に平に並べた。


「笠原はどれがいい?レモン?グレープフルーツ?イチゴ?」

「えっと……レモン、かな」


郁はレモンイエローの箱を指差した。
すると、堂上が血相を変えて郁を怒鳴った。


「おい、笠原、中身がわからんのに選ぶな、アホウ」

「中身は知らないけど、香りで選ぶんならってことで答えたんです」


痴話げんかするふたりを完全無視で、有馬は郁の手にレモンイエローの箱を乗せた。


「これね……」


郁にそっと耳打ちして有馬はにやりと笑った。
郁が真っ赤になって叫ぶ。


「そんなのー。要りませんよー」


真っ赤になってあたふたする郁の肩を堂上ががっし掴んだ。


「おい、笠原。それはなんだ?答えろ」

「えええ。あの、その……あの、その……」

「さっさと答えんか」

「でも、あの……」

「笠原ー」


堂上の追及に郁は悲鳴のように有馬に耳打ちされた言葉をそのまま答えた。


「コ……ド……ムです」


きゃあ、と顔を覆って座り込む郁と、ぽかんと開いた口が塞がらぬ堂上。
ふたりを交互に見て、からからと有馬と棚橋は笑った。

しばしの沈黙の後、我に返った堂上は、小箱を有馬に付きかえした。
そして、言わなくてもいいだろうことを言った。


「ちゃんと自分で用意してますから、ご心配無用です」


柴崎は苦笑を浮かべた。
郁は座り込んだまま、立ち上がる気力すらないらしい。
有馬は、堂上の返答に爆笑して、それでもまだ会話を終わらせるつもりはないらしい。


「ゴム臭くないんだって?気ぃ使ってるんだね」


にやにやと笑いかけられて、堂上はつい郁の頭に拳骨を落とした。


「アホか貴様!そんなことまで話したのか!」

「だって、使ったらゴムの匂いがするっていうけど、教官としたとき、ゴムの匂いなんてしなかったんだもん」

「あたりまえだ。ゴム臭くないタイプのを選んでるんだから」

「そうだったんですか。だから、ゴム臭くないんですねー」


郁に嬉しそうに微笑まれて、堂上は思わず幸せ気分になってしまった。
ふたりの話を聞いていた有馬と棚橋は、ふむと頷いた。


「そういうタイプもあるんだ……あいつにも言っとかなきゃな」

「そうね。そういうタイプにしてもらおうっと」


ああ、すいません、有馬さんと棚橋さんの彼氏さん。
俺が一言言ったばかりに、あなた方に要らぬ買い物をさせることになってしまいました。
いや、要らぬことはないな。
必要だけど、好みじゃないかもしれない買い物だな。
でも、使い心地はそこそこいいです。
後始末しても匂いが気にならないから、そのまま……云々……


堂上が心の中でそんなことを考えていたとは誰も気付かず、それぞれが思い思い考えをめぐらせていた。
ひとまず落ち着いた堂上はカートンを片付けをし、郁もそれについて行ってしまった。

残った有馬に、柴崎がつつつと近づいた。


「有馬先輩、あれ、使うと思います?」


カートンを押して行く堂上の後をカルガモの雛のようについて行く郁の姿を三人で見つめた。


「堂上くんてさ、気に入ったものとか、自分が信頼できるもの、使いそうじゃない?」

「そうそう。慎重派だよね」

「新しいものに飛びつかないよね」

「笠原が『お願ーい』でもしないと、ゴミ箱行きだな」


先輩ふたりの見解を柴崎はもっともだと思った。


「でも、もったいないですよね。あれ、新製品なんですよね」

「うん。今度の新製品だって」

「まあ、残ったのは、あんたが使えばいいよ。ゴム臭くないからさ」

「あははは。そうだね」


手元に残った小箱を空に高く投げて有馬は笑った。


fin.


あとがき
消化不良感たっぷりの終わり方になってしまいました。
タイトルの『Waffle』は、おしゃべりという意味です。
甘くておなか一杯になって。
女の子のおしゃべりって、脈絡なく話があっちこっちに飛んで、収拾つかないったらありゃしない!
目指した終着点に行きたいのに、行けない…
これが『ライブ派』の恐ろしいところでもあり、楽しいところでもあります。

オリキャラ登場です。防衛部の有馬さんと棚橋さん。
某お方のお名前を拝借しました。わかるかなー?
無断借用お許しくださいませ。

この後の話もいろいろあって
有馬が渡した小箱をめぐる、堂上と郁の攻防、とか
有馬の手元に残った残りの小箱の行方、とか
柴崎に小箱が渡ったら、とかとか
思いつくけど、オチもヤマもないという……
それはまた、別なお話ということで。

ドラッグストアのダンボール箱の中に『ゴム臭くない○○』という箱が一番上にあったんですよ。
未成年の目につくところにそんな箱がいくつも重なってあってもいいものかしら…と思いました。
高校の保健体育の授業で、試供品が配られるくらいだから、いいのかな。
(これは真面目な話で、高校生の中絶率が全国で上位常連県らしいです…当県)
しかし、それを妄想に持って行っちゃうところ、私も腐だよな…と我ながら情けなくもなりつつ、こんなのを書いちゃいました。
大人の方は、笑って許して下さるよ…ね、ね、ね!お願いいたします。

感想…ぜひお願いしたいですよーーー。どんな感想を持たれたかすっごく心配です。
読んでくださりありがとうございました。

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初めまして。楽しく拝読させていただきました。良く考えたら図書館戦争の登場人物ってみんな良い大人だし寮での集団生活だし、こんな話しもしてるんだろうな~って思いつつ、先輩にもからかわれながら可愛がられてる郁ちゃんを想像して和みました。
ねこばやし EDIT
at : 2013/06/18(Tue) 20:00:27
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亜生(あおい)
性別:
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自己紹介:
関東の片田舎に住む。
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せっかちなのにのんびりや。
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