図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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DVD 第二巻付録の DJCD を聴いてたら、無性に書きたくなりました。
教えて、堂上教官!第二弾です。
今回もR18でお願いします。
内容とそこからつながることがやっぱり大人な方にわかっていただきたいということで。
『教えて、堂上教官!Vol.2』 R18
郁+α 戦争~危機 教えてください!堂上教官!
教えて、堂上教官!第二弾です。
今回もR18でお願いします。
内容とそこからつながることがやっぱり大人な方にわかっていただきたいということで。
『教えて、堂上教官!Vol.2』 R18
郁+α 戦争~危機 教えてください!堂上教官!
ばたばたばたばた…
既に終業のチャイムが鳴って、ずいぶん時間が経っている。
特殊部隊事務室では業務を終えた隊員たちが、日報を記し、帰宅の準備を始めていた。
明らかに、誰もが聞き覚えのある廊下を走る音に、事務室にいる全員が入り口の扉に注目した。
がらり。
勢いよく扉が開き、飛び込んできたのは、やはり郁だった。
はあはあ、と息を切らせている。
夜勤の隊員との引継ぎは既に班長クラスで終了している。
出動が必要な重要項目ならば、夜警の班長から通報が入るはずである。
今のところ、そのような通報はない。
堂上班は日勤だったはずだから、この時間になにかあるとすれば、残業中に問題が発生したのだろうか。
特殊部隊事務室全員の視線を浴びて、郁は一目散に班長である堂上の前に立ち、開口一番叫んだ。
「堂上教官、教えてください!」
「どうした、笠原?」
堂上は慌てもせず、机上の書類から目を離さない。
さすが、郁を指導し、今も統括している班長らしい落ち着きだ。
特殊部隊事務室は、郁の口から次に飛び出す言葉を聞き逃すまいと沈黙している。
「亀甲縛り、教えてください」
郁に注目していた隊員たちは、しーんと沈黙した。
息を呑んで、堂上と郁のふたりを交互に見る。
「笠原、何度目だ」
「えっと…ははは」
「いい加減覚えろ」
「これでも、笠原、頑張ったんですよ。ほらー」
頑張った証拠だと言うように、郁は擦り切れて赤くなった腕を差し出した。
縄の跡が痛々しい。
どう考えても、使用された縄は、かなり太さのある縄だ。
郁の縄の跡は、その細腕をぐるりと巻いている。
しかも両手首にも。
ごくり、と隊員の息を飲み込む音が事務室に響いた。
誰もが、何のための縛りだ、と心の中で叫んでいた。
堂上も郁も、まわりの様子などに気にせず会話を進めていく。
「力いっぱい縛れば、いいってもんじゃないだろう。緩みを持たせなければ、意味がない」
「そうなんですけど…つい力込めちゃうんですよね。だって、そのほうがきれいだし」
「まあな、ある程度、きつくないと、意味もないからな」
堂上と郁が話すたびに、隊員たちの視線が右へ左へ動く。
「手塚にやってもらえばいいだろう」
堂上の一言に、またも無言の突込みが入る。
―― お前、お姫様を他人の手に委ねて、いいのか?
―― 教えて開発するのが男の楽しみじゃねえのか?
と。
「だって、手塚の好きじゃないんですもん」
「もん、って言うな、もんて。いいだろう、手塚ので」
「いやです。堂上教官の縛りのほうが好きなんです」
郁の一言に無言の賛同が起こる。
―― そうだろうなあ。
―― やっぱり、王子様のほうがいいんだろうなあ。
何が、とは言わないが。
「小牧もいただろう」
「ええ…だって小牧教官、優しくないんですもん」
―― そりゃあ、小牧には別にお姫様がいるからなあ。
―― 口は出しても、手は出さないだろう、あいつは。
「まったく…」
堂上は仕方ないといった表情で郁を見つめる。
郁はにっこりと微笑み返した。
それが合図のように、堂上はゆっくりといすから立ち上がった。
「やった~」
今にも飛び上がらんばかりの勢いで、郁が喜んだ。
「あの微妙な挟み具合とか、手塚にもやってもらったんですけど、どうしてもしっくりいかなくって」
「まあな。手塚とは年季の入り方も違うしな」
―― おお、堂上にそんな趣味があったとはな。
―― 人は見かけによらんもんだな。
堂上は時計に視線を走らせると、急いで事務室を走り出た。
郁もその後を急いで追った。
ふたりの足音が聞こえなくなると、誰からともなく、ほおっと長いため息が吐かれた。
事務室にいた全員が、郁たちが走っていった方向を見つめた。
「どこ行くんだろうな」
「笠原、嬉しそうだったな」
「堂上もな」
「ああ」
「見守るしかないか」
「業務に支障が出たら、考えなきゃならんがな」
「今はそっとしておくしか、ないか…」
「そうだな」
「それにしても…だな」
「ああ…」
先ほどまでとは打って変わって、事務室の空気は重くなっていた。
誰もが暗い表情で終了業務をこなし、帰宅の準備をした。
そんな中、緒形は自席で玄田から託された書類を黙々と処理していた。
郁と堂上の一連の会話から、特殊部隊隊員たちの心のうちまでをじっと聞いていた。
「まったく、あの娘ときたら…」
緒形はふとスケジュールボードを見た。
堂上班の今日の業務予定には「引取り図書分類」とある。
図書館の本は永遠に図書館に保管されているわけではない。
本は、開架されたり書庫に収められて、利用者に提供される。
取り扱いは十分注意しているが、それでも修繕が必要になる本は出てくる。
修繕して再び利用者に提供されるのだが、それも続くと、提供が難しくなる。
そうなった本は、検閲対象のものは書庫で保管されることになるが、検閲対象でない本は、引き取り希望が多いため、図書館から希望か所に無償で提供される。
その分類業務が「引取り図書分類」だ。
引き取られていく本は箱詰めする。
本が詰められた箱は相当に重い。
重い荷物を運び慣れているものならば問題はないが、引取り先の人物がそうであるかどうかまで、図書館ではわからない。
箱はテープで止めたほうが、開梱も楽だが、運ぶことを考えると、紐掛けのほうが適している。
紐掛けされた箱ならば、何人かで運ぶことができるからだ。
郁が「縛り」と言ったのは、この箱の紐掛けのことだろう。
紐を「縛る」のも「結ぶ」のも行為としては違いがない。
加えて、重い箱を縛るときに推奨しているのが「行李(こうり)結び」と呼ばれる結び方だ。
今時、行李など見たこともない者のほうが多いだろうが、呼び名は健在だ。
少々箱がゆがんでも中身が飛び出すことがない結び方だ。
箱の上部にひし形が現れるので、それを「亀甲」と言っても仕方はない。
だからといって、ああも間違って覚えてしまうのは問題だ。
なんだかんだ言っても、郁は女の子で妙齢なのだから。
「困ったムスメだよ、笠原も」
どうしたものかと思案していると、緒形の机に腰を掛けて進藤が笑った。
緒形は無言で頷いた。
「業務部らしいよ、教えたのは」
「業務部?」
「ああ。業務部の新人と一緒に研修に出したことあっただろう?あの時に教えられたらしいぜ、笠原」
「まったく、業務部もなんだってまたそんなことを」
「業務部の新人歓迎行事らしくてな。毎年新人が餌食になってるらしい。で、今年はうちのもやられたってわけだ」
「クマと一緒か」
「まあな」
緒形と進藤は顔を見合わせて苦笑した。
特殊部隊の新人歓迎恒例行事のクマドッキリで、堂上と郁は偶然にも「クマ殺し」の二つ名を拝命していたのだ。
「しかしなあ、さすがに笠原に「縛り」とか言われると、まずいよなあ」
「一応、笠原も女だしな」
「堂上も小牧も気にして、ことあるごとに注意しているらしいんだが、あの生真面目一直線のムスメには効かんらしい」
「どうするよ、なあ」
「いかんせん、放っておくわけにもいかんだろうな」
複雑な表情で帰り支度をする隊員たちを見て、緒形はふむとうなった。
しばらく経って、奥多摩演習事前研修と称して、ロープ結びの講習会が開かれた。
まず、奥多摩演習の野外行程必須のロープ結びを再検する。
ロープを杭に結んだり草木を束ねたり、時に緊急時には身体にロープを結びつけることもある。
講習会の後は、おまけとして、日常生活の中で役立つロープ結びの講習会が開かれた。
古新聞をさっとまとめる結束法やホースの収納法、身近で使えるものばかりだった。
その中で、あえて緒形は「行李(こうり)結び」を入れた。
そして、その見本として、郁を指名したのだ。
「ええ、あたし、「行李(こうり)結び」なんて知りませんよ」
「知ってるから大丈夫だ」
補助に付いたのは、班長である堂上だ。
「知りませんよお」
どうしようとおろおろする郁にそっと耳打ちをする。
「亀甲縛りのことだ」
「そうなんですか?」
「そうだ。あのな、亀甲縛りってのは…その…まあいい」
「えっ、教官、なんですか?」
「ああ、いい。今日からは「行李(こうり)結び」と言え」
うやむやに結び方の名前の何度目かの訂正をされ、郁はひとまず、結び方をやって見せた。
あの日の堂上がしっかり教えたのであろう。
美しいひし形が表面に現れる「行李(こうり)結び」だった。
「いいか、笠原。これは「行李(こうり)結び」という結び方だ。もう、いい間違えるなよ」
「はあい」
ばしっといい音が、郁の頭の上に落ちた。
「アホウ。返事は伸ばさず、短く」
「はいっ」
叩かれた頭を擦りながら、なんとなく郁は悟っていた。
自分が今まで「亀甲縛り」と言っていたのは、本当はこういう明るい場所で使うものではないということを。
すこしどこか後ろめたさのある縛り方なのだと。
もう覚えた。
もう間違えない、これは「行李(こうり)結び」だ。
郁は隣に立つ堂上に目礼を送った。
その日、帰寮した郁は、柴崎に講習会のことを事細かに話した。
柴崎は途中から、涙を流しながら、郁の話を聞いた。
郁はなぜ柴崎にこの講習会のことがこんなに受けるんだろう?と不思議に思った。
さんざん笑った柴崎から、亀甲縛りの本当の意味を聞いた郁は、寮内に響き渡る大きな悲鳴を上げた。
慌ててベッドに潜り込むと、明日特殊部隊事務室にどんな顔をして出勤すればいいのだろうと、悩んだ。
次の朝、郁の目の下に真っ黒なクマが二匹、住んでいたことは言うまでもない。
fin.
あとがき
教えて、堂上教官!第二弾です。
知人の話が今回のネタです。
彼女が引越しをしたときの話です。
彼女は BL 好きさんなので、山ほど関連本を持っていました。
で、ダンボールに本を詰めたんですよ、めいっぱい。
見事、ダンボールの底が抜けました。
しかも、重くて一人じゃ持ち上がらない。
でも、旦那さんに手伝ってもらうのはイヤ(中身が中身だから、見られたくないという乙女心、笑)。
引越しやの兄ちゃんの「紐、掛けとくといいですよ」のアドバイスに従って紐掛けをしました。
ここでふとイタズラ心が。
ええ、その手の描写が大好きな彼女は、実行しましたよ、亀甲縛りを、爆笑。
まあ、箱に掛けてるんで「行李結び」なんですけどね。
「角があるから、けっこう難しくてさ。裸体なら、多分簡単だわ」は後日談。
そんな話が今回の種です。
ロープ結びは基本を覚えると応用が利くので、災害時などに役立ちます。
一度、基本を習うなり調べておくのがいいと思います。
郁ちゃんが叫んでも誰も突っ込まない特殊部隊の先輩たちが大好きです。
きっと緒形さんとか進藤さんは、郁ちゃんを自分の娘みたいに扱ってくれると思ってます。
そんな希望的観測…
笑ってくださればそれで嬉しいです。
「引取り図書分類」なる業務は捏造ですので、ご理解くださいませ。
読んでくださってありがとうございました。
感想などいただけると嬉しいです。
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プロフィール
HN:
亜生(あおい)
性別:
女性
自己紹介:
関東の片田舎に住む。
典型的 O 型人間。
せっかちなのにのんびりや。
好物はハチミツと梅酒。
典型的 O 型人間。
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