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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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2年前になるでしょうか?
おぼえていらっしゃる方も多いと思いますが、図書館戦争オンラインアンソロジー企画。
同時開催された弁当戦争。
どちらも、多数の方が参加されて、とても賑わった楽しい企画でした。
(企画してくださったエスキユさん、お元気かしら?
かわいい天使は腕に抱かれていらっしゃるのかしら?)

私も参加させていただきました。
弁当戦争に参加させていただいたひとつをSSに仕立てました。

『ねこにおかか』
郁+α   戦争~危機   やっぱりお似合いですね。



滴り落ちる汗をタオルで拭い、空を見上げる。
木立の合間から差し込む光すらまぶしくて、思わず目をつぶる。

下の沢辺りから、「飯にするぞー」と声がかかる。
郁は鎌を慎重に仕舞うと、山猿の如く、山を下った。


本日は特殊部隊と防衛部の合同部隊で、山の下草刈りに出向いていた。
場所は、日ごろ野外演習でお世話になっている山だ。
お盆を過ぎて涼しくなるかと思われた今年の夏は、まだまだ残暑が厳しかった。
高齢者が多い林業従事者では、思うように山仕事がはかどらない。
そこで、特殊部隊と防衛部が日ごろの感謝も込めてお手伝いしようということになったのだ。


沢では、隊員たちがざぶざぶ顔を洗い、思い思いの場所で弁当を広げていた。
郁も手ごろな石をいす代わりに、ザックの中から弁当を取り出した。
寮暮らしの郁の弁当は、食堂のおばさんが作ってくれるおにぎり弁当だ。


「いっただきまーす」


勢いよくおにぎりにかぶりつく。


「おいっしい~」


米粒がほっぺたについたままなのは、お約束だ。


近くに陣取っていた手塚が顔をしかめる。
手塚も寮生活なので、弁当は同じおにぎり弁当だ。


「よく食えるなあ」

「だって、おなかすいたよ?」

「暑くて食う気にならん」

「えええ。だめだよ~食べなきゃ」

「わかってる。けどなあ」

「午後も働くんだからね」


そういって、郁はばくばくとおにぎりを食べた。
ひとつ食べれば、ひとまず空腹は落ち着いた。
水筒のお茶を飲んで、あたりを見回した。

寮生活の隊員の手元には、郁たちと同じ包みが広げられている。
寮と住まいを別にしている隊員はそれぞれ異なる弁当を広げていた。

郁はちょっとした好奇心から、行儀が悪いとは思いつつ、自分の弁当を片手にあちこちの隊員の弁当を覗き込んだ。
独身の隊員の大半は、コンビニで調達した弁当だったが、手作り弁当を持参しているものもいた。
郁はその弁当を見て、大きくため息をついた。
どう考えても、今の郁の家庭科力量では、その弁当に並べられる弁当が作れるとは思えなかったからだ。

ちらりと、少し離れた場所にいる堂上を見た。
堂上も郁と同じく、おにぎり弁当だ。
自分の手元にある弁当を見て、少し先にいる堂上を見て、ますます郁は大きなため息を吐いた。


「おい、そんなに落ち込むなよ」


後ろから声をかけられて、郁は一瞬飛び上がっておにぎりを落としそうになった。
振り返ると、そこには進藤と緒方が座っていた。


「そんなに落ち込むな。お前だって訓練すれば、まあ」


慰めなのに、ちっとも慰めにならない言葉をかけられて郁は頬を膨らませた。


「わかってます」


口をへの字にして返事をし、くるりと体を進藤たちの方に向けた。


と、進藤が慌てて弁当にふたをしたように見えた。
郁は小首をかしげ、じっと進藤の手元を見詰めた。


「そうだ。進藤さんも手作りのお弁当なんですよね。どんなお弁当なんですか?
見せてくださいよ」


郁は食べかけの弁当を持って、進藤と緒方のところへ行った。

近づくにつれ、くつくつと殺した笑い声が聞こえる。
見れば、緒方の肩が揺れていた。


「進藤さんのお弁当、見せてください」


ひょっこり郁が顔を出すと、進藤は驚いて顔を上げた。
その手にあったのは、小さな弁当箱。
慌てていたため、ふたはずれて、落ちてしまっていた。


「いいじゃないですか、手作りのお弁当」


呟いて、覗き込んだ弁当箱の中身は、かの有名なネコのキャラ弁だった。


「!!きゃっ……」


キャラ弁の出来栄えは素晴しいもので、雑誌に掲載されているもののようだった。
しかし、大人の男性の弁当にしては小さくないか?

郁が次の言葉を探していると、緒方が口を開いた。


「ジュニアの弁当と間違えたんだよ」

「そう、なんですか」


進藤には幼稚園に通う幼子がいる。


「今朝、弁当を持ってくるとき『間違えないでね』って奥方に言われたのを、進藤はものの見事に間違えて持ってきたんだよ」


ああ、そういうことか。
郁はキャラ弁の意味を理解した。

進藤の子供は、ネコとネズミの話が大好きで、ネコが大のお気に入りだそうだ。
あまり食の太いほうではないらしく、進藤の妻はあの手この手で食事を用意しているらしい。
このキャラ弁だと残すことなく食べてくれるそうだ。


「あ~あ、泣かれるなあ」

「誰に?」

「ジュニア」

「奥方には?」

「怒鳴られる」

「ははは」


からかうように緒方にたずねられ、進藤はますます肩を落とした。

しかし、食べないわけにはいかない。
午後にも、午前同様にハードな山仕事があるからだ。

進藤は申し訳なさそうに、ネコの顔を崩し、もぐもぐ弁当を食べ始めた。
幼子の弁当は、二口三口で進藤の胃に納まった。

そこへ緒方がひとつおにぎりを差し出した。


「それだけじゃ、足りないだろう。やるよ」


緒方の手製むすびは、きれいに黒いのりが巻かれてまるかった。


「中身は?」


即座に手を出すかと思った進藤は、おにぎりを見てたずねた。


「おかかだ」

「そうか、なら、もらう」


にっこりとキャラ弁のネコそっくりな笑顔で進藤はおにぎりを受け取ると、もぎゅもぎゅかじりついた。
その様子を見て、緒方はまた肩を震わせる。


「緒方副隊長?」


まだなにか不思議があるのだろうかと郁が尋ねると、緒方は自分の食べかけのおにぎりの中身を見せた。


「こいつ、梅干が苦手なんだよ」

「へえ、そうなんですか?おいしいのに?」

「口がすぼまるのがいやなんだと」

「おもしろーい」


郁は進藤と緒方の間に座ると、残りの弁当を食べ始めた。
時折、沢を渡る涼風に深く息を吸いこんだ。


「ああ、うまかった」


進藤がごちそうさんと両手を合わせて、満足げに緒方に微笑んだ。


「そりゃそうだろう。やっぱり、ネコにはおかかだろう」


楽しそうに笑う緒方に進藤は届かない足蹴りを送る。
そんなふたりを郁も楽しそうに見つめた。



進藤さんのお弁当


あとがき
すごく懐かしいものを引っ張り出してきました。
おそらく図書館戦争最盛期の頃のものです。

今年の猛暑では、お弁当を持っていくのが正直不安でした。
持って行く場所が冷房の効いている室内だったから、持って行ったけど、これが戸外だったら持っていくのはあきらめたかもしれません。
奥多摩の森林は涼しいってことで。

進藤さんのジュニア(男の子か女の子かどっちでもいいから)はあのネコとネズミが大好きだと思います。
時々パパと一緒にビデオを見て、笑うネコと笑うパパを見て、笑うといいと思います。
我が家にも何本もビデオがあります。

この頃の郁ちゃんには、まだ手作り弁当を作りきる力量はないと思います。
ごっつくて硬いおにぎりなら作れるだろうけど。
桜でんぶでハートを作るのが夢、みたいな頃でしょうね。

すごく久しぶりに文章を書いたので、なんだかあちこち妙な表現だったりして、自分の文章じゃないみたいです。
リハビリってことでお許しくださいね。
感想をお待ちしています。

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関東の片田舎に住む。
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