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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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いろいろ書きたいネタはあるんですが、まずは手柴祭から。
すでにお題を溜め込んでいて、大遅刻ですが。

カラオケに行ったのっていつ以来だろう……
カラオケ行って、DVD鑑賞会したこともあるけど、それももう記憶の彼方に吹っ飛んでるわ。
だから、今のカラオケ事情がわからない。
うっわあ、仙人だわ、笑。


『カラオケ』
手柴   革命後エピローグ前   こちらも一歩前進だわ。


当麻蔵人の亡命事件から幾月か過ぎた。
世の中には、その事件が遠い昔の出来事のだったような日常が戻っている。

そして、メディア良化法はわずかずつだが検閲撤廃に向けて前に進んでいる。
良化法反対派は『未来企画』を中心に検閲撤廃に必要な法改正に着手している。
今まで個々に論じていた良化法反対意見を手塚慧がその敏腕さでまとめだしたのだ。

図書隊としても微力ながら、その動きに協力をしている。
良化隊とのバランス問題で、協力はあくまでも水面下でのことだが。

そして、図書隊の水面下の指揮は図書隊情報部が担っていた。


*****


「おい、帰るんじゃないのか?」


駅とは反対の方向にずんずん歩き進む柴崎の一歩前に手塚が立った。
柴崎は突然塞がれた進路に、かつんとヒールの音を立てて立ち止まり、前方の壁を見上げた。

今日は各省庁に図書館の定例報告にまわっていた。
報告などメール一本で済まそうと思えば済ませることも出来る。
しかし、敢えて実際に人が出向くことで、顔をつなげ細かな情報を得ることができる。
図書隊ではその任務を情報部に任せている。

図書隊情報部の存在はいまだ秘密裏なことで、定例報告に出向く図書館員は図書館業務部員が持ちまわりで行っていた

そして、その警護には図書隊特殊部隊が付いていた。

だから、今日柴崎が報告に出向いたのは、あくまでも図書館業務部員としてだった。


「ああ、話してなかったわね。今日の目的地、もう一箇所あるのよ」


にっこり営業スマイルで微笑まれ、手塚はしぶしぶ柴崎の進路を開けた。
開かれた進路に一歩踏み出すと、柴崎は手塚の腕にするりと自分の腕を絡ませた。


「っおい、まだ業務中」


ずいぶん近くなった二人の距離だが、まだ友人の域を超えることはなかった。

柴崎は絡めた腕にもたれる様に手塚に寄り添った。


「後ろ、グレーのスーツの営業マン風の男。さっきからずっとつけてる」

「やっぱり……見覚えは?」

「良化法賛成派の集会で何度か」

「賛成派か……」

「話したことはないわ」


手塚は思案した。
自分ひとりならば、なんとでもなる。
しかし、柴崎と二人となると……
騒動を起こすわけにはいかない。


と、柴崎の携帯が震えた。
メールを確認すると、柴崎は携帯画面に地図を映し手塚に見せた。


「行き先変更。ここだって」


その場所は現在地から道一本それたところだ。
その先の路地を通れば最短でつけるが、この状況でその行為は危険が伴う。
手塚は地図を見て、人通りが途絶えない大通りを選んで、目的地にたどり着いた。


「おい、本当にここか?」

「うーん、当初の目的地とは違うけど、指定してきた場所はここで間違ってないみたいよ」


唸りながら手塚は目の前のビルを見上げた。
そこはビルひとつ全部がカラオケボックスだった。

目を丸くしている手塚を見上げてくすりと笑うと、柴崎は迷うことなくビルへと足を踏み入れた。
受付を済ませると、店員が二人を部屋へ案内する。

案内された部屋は最上階で『VIP』のかけ看板のある部屋だ。
扉が明らかに他の部屋とは異なっている。
重厚そのものな雰囲気だ。


「開けて」


扉の前で柴崎は扉が開くのが当然という顔で手塚を見ている。
近頃柴崎に使われ慣れてきている手塚は「はいはい」と扉を開けてやった。
「ありがとう」と営業スマイルで柴崎は開いた扉をすり抜けた。


「いらっしゃい」


中から爽やかな声が響く。
その声に聞き覚えのある手塚が一瞬身を硬くする。
思わずその部屋から逃げ出そうとする手塚を、柴崎はスーツの裾をしっかり握って阻止した。


「ちゃんとたどり着いたね」


よかったよかった、と慧は微笑む。
柴崎はぶすっとする手塚の背中を押して、ソファに座らせた。


「あの男ね、なんとか手を打ちたかったから、ちょうどよかったよ」

「お前知ってて!」


腰を浮かせて立ち上がる寸前の手塚のスーツの裾を柴崎が引っ張った。
きっと柴崎を睨みつける手塚に柴崎がごめんと頭を下げた。


「ここ数ヶ月、帰宅途中の公務員が暴漢に襲われてる事件、お前も知ってるだろう?」


今度は慧を睨みつけて、手塚が頷く。


「あれね、被害者は全員、良化法反対派」

「まさか」

「事実。表に出ないように情報操作してるからね」

「お前が?」

「いや、法務省の幹部が」


その回答は、法務省の上層部にも良化法反対派がいるということを示唆していて、図書隊としては喜ばしいことだった。
しかし、その次に慧から発せられた言葉に手塚は再び腰を上げそうになった。


「今日の定例報告は、柴崎さんが来るって言うんで、特別に見張ってたってわけ」

「見張ってたって?」

「図書館の定例報告が狙われてる確率が高いんだよなあ」

「おまっ、それなら定例報告を中止にさせろ」

「今中止にすると、バランスが崩れる。この均衡を保ったまま進めないと崩壊する可能性も高い」


少しずつ前に進む検閲廃止を実感しだした今、この歩みが滞るのは、図書隊にとって厳しい。
手塚自身もそれは望んでいない。


「でね、今回はあたしが出向くことになってたから、警備をあんたに頼んだってわけ」

「図書隊特殊部隊の光にね」


ねえ、と二人同時に小首を傾げられ、手塚は一気に脱力する。
柴崎のみならず、兄の慧にも頼られる存在だったことがひそかにうれしい。


「案の定、柴崎さんに張り付いてきたから、ラッキーってね」

「何かあったらどうするつもりだったんだよ!!!」

「お前がついてたら、何もないだろう?」


あっさり言われて、手塚はソファに深く沈んだ。
顔を伏せて静かに笑った。

そこまで信頼されていたとは、ね。


「あいつが張り付かなきゃ、本当は今日はお前と柴崎さんと三人で食事をする予定だったのにな」


残念残念と、それでも危険を回避できた安心からか、にこやかな表情の慧だった。


「じゃあ、それはこの次ってことで」


ちゃっかりと次の約束を柴崎が取り付けた。
なんだかんだ言って、柴崎は手塚と兄慧の仲を取り持とうとしてくれる。

いつか、また笑えるのかな?

手塚が感慨に耽っていると、突然音楽が鳴り始めた。
そして、目の前に金色のマイクが差し出された。


「せっかくカラオケボックスに来たんだから一曲」


希望してきたわけじゃないから。
と、差し出されたマイクを受け取らずにいると、無理やり押し付けられた。
受け取らないわけにもいかず、仕方なく受け取った。

流れる曲は、流行のサブカルメドレー。
誰が歌うんだ?と思っていると、慧と柴崎が連れ立って歌いだす。
マルチな才能の持ち主だと思っていた二人だが、ここまでマルチだとは思わなかった。
手塚はあっけにとられ、ただ曲を聴いていた。

とりあえずの一曲が終わると、柴崎が手塚の隣にすとんと腰を下ろした。


「暴漢の件は情報部にも流れてきてたのよ。図書館員も被害は出てないんだけど、今までの被害者が図書館関係窓口担当の割合が多くって。ごめん、あんたにちゃんと報告してなくて」

「いや、しかたないだろう。流せない情報だったんだから」

「うん……ごめん」


素直に謝られて手塚もこれ以上の追及はやめようと思った。


「うーん、なかなかいい構図だね」


シャッター音で顔を上げると、慧がこちらに携帯カメラを向けていた。
こいつはからかうことしか出来ないのか!と手塚が怒りに震えていると、懐かしい曲が流れ出した。

サイモン&ガーファンクル
『Bridge over Troubled Water』
邦題「明日にかける橋」

慧がまだ自宅にいた頃、ギターでよく弾いていた。
両親がサイモン&ガーファンクルが好きだった影響もある。
英語の曲に憧れる年頃にさしかかった手塚は慧に歌詞を教わったし、一緒に歌ったりもした。


「今度一緒に母さんに会いに行こう」


からかいの消えた瞳で慧が手塚に伝える。
手塚はただ無言で頷いた。


久しぶりのデュオはいろいろな感情が混じりあって、冷静には歌えなかった。
音程を外すとか歌詞を間違えるとか歌としての評価は関係なく、ただ感情においていかれた様だった。

歌い終わると、慧は腕時計を見て「じゃまたね」と部屋を出て行った。
先ほどの一言に対する言葉は一切なしに。

そのあっさりっぷりに手塚は「相変わらず自分勝手なやつ」とぶつぶつ文句をいいながらも、少しうれしそうな表情を浮かべた。
その顔を見て、隣の柴崎もうれしそうに微笑んだ。


ああ、少しずつ前に進んでいるんだわ。
亀の歩みだけど、ね。




fin.

あとがき
何ヶ月ぶりに書いたでしょう、SS。
書きたい感情が先走って、時系列も関係なしに文章が並びました。

お題「カラオケ」の意図(というものがあるなら)の完全斜め上に行ったSSになってしまいました。
書きたかったのは手塚兄弟の歩み寄り。

明日にかける橋(原題:Bridge over Troubled Water)は困難に直面した時の慰めとなる曲で有名です。
歌詞が救う歌詞ですし。

あちこちボロがあると思います。
こっそりご指摘くださるとうれしいです。
感想もお待ちしています。
読んでくださりありがとうございました。


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