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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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家族の送り迎えで車に乗るときは、たいていFMラジオがついてます。
交通情報と気象情報が必須なので。
聞きながら、昔はよくエアチェックしたなあ、と懐かしくなります。
ど田舎に住んでいたので、レコードのレンタルショップなんてなかった。
今と違って、昔のラジオって、曲をフルにかけてくれたんです。
タイトルコールがかぶることなんてなかったし、強制フェードアウトもなかった。

懐かしい曲が浮かんできました。
で、書きたくなった手柴です。

『青嵐』
手柴   別冊Ⅱ初期   夏空よりもまぶしい。


追記*
PCがまた壊れました、涙。
前回壊れたときにデータ飛んだのに、また吹っ飛びました。
なんで……





梅雨が明けて、夏の日差しが照りつける。
じりじりと音を立てて景色を焼く。


「じゃあ、行ってくるわね」


部屋の入口で柴崎は手をひらひらと振った。
部屋の中からはくぐもった声で「いってらっはい」と寝ぼけた声が聞こえた。


「あんたもいい加減起きとかないと、明日の準備できないわよ」


おせっかいと思ったが、一言言い置いていく。
もぞもぞと動くベッドの中からは「ふぁあい」と気のない返事が返ってきた。
柴崎はふっと笑いをこぼしてドアを出た。

廊下からロビーに出たところで柴崎は手塚と会った。
ランニングから帰ってきたのだろうか、ほんのり頬が上気している。


「おはよう」

「おう、はよう」


片手を挙げて軽く朝の挨拶を交わす。
直後手塚が硬直した。


「お前、その格好……」

「なんか言った?」

「いやあ、来館者で見たことはある。が、こんなに間近で見たのは初めてだ」

「あらあ」

「ああ……ある意味最強だな」


『最強』

そういわれた柴崎の今日の装いは、
サングラス
半そでのワンピースに手先まである長手袋(黒)
ワンピースの上に羽織るのは、鼻まで襟首が伸びたフード付ショール(もちろんフードはかぶって)
手には小ぶりのパラソル
一見生足に見える足元は肌色のストッキング
このまま外に出ても、夏の日差しに射抜かれるのはさらさら風になびく前髪くらい。


「夏に白い肌キープするのって結構大変なのよ」


さらりと言われて、手塚は唸った。
今自分に一番近い女性が、日焼けのことなど一切気にしない笠原だから、仕方ない。


「じゃあ、行ってきます」

「……用事、いつ終わる?」


唐突な問いかけに、柴崎は逡巡する。
たぶん手塚は先日一緒に出かけた先で半ストーカー男に絡まれたことを気にしているのだろう。
手塚の一瞥でその男は二度と柴崎の前に現れることはなくなっていた。

けれど……


「明日からの奥多摩演習の買出しに俺も出かけるから、用事終わったら連絡よこせ」

「いいわよ。今日は皮膚科に行って、化粧品買って、あとはぶらり?な感じだから」

「いいからよこせ」


言外に有無を言わせぬ雰囲気を漂わせて手塚が言った。
柴崎は素直にうなづいた。

なんとなく。
なんとなくだが、柴崎は手塚の心配がうれしかった。




駅まではなるべく日陰を探して歩いた。
少し歩くだけで汗が出る。
仕事柄館内業務ばかりだから、自然の気温に体が慣れていないのがわかる。
日焼け防止のあれこれも、実際には暑い。

息が上がりかけた頃、柴崎はようやく最初の目的地に到着した。


平日だと、皮膚科も化粧品店もすいていて、用事がさくさく済む。
もう少しぷらぷらしてもいいかと思ったが、出掛けに手塚に言われたことを思い出し、『用事終了』のメールを打った。
手塚からの返信は『20分後に駅前で』だった。


「明日から奥多摩演習だったわね、特殊部隊」


今頃郁も起きだして準備をしているだろうか。
何度も行っている演習だから、いまさら忘れるものなどないだろう。


『新しいCD、入れて行きたかったなあ』


昨夜、持って行く携帯オーディオの中身をチェックしていた郁の言葉を思い出した。

わりとミーハーで流行の曲が好きな郁と反対にある柴崎の推しが一致したグループが新譜を出したのが、昨日。
二人とも予約をすっかり忘れていて、新譜を持っていくと張り切っていた郁は意気消沈していた。
業務終了後に飛び込んだ近所のCDショップでは、入荷分はすでに完売。
それでじたばたするほどの推しではないが、手に入らないとわかると、やはり欲しくなるのが人というものだ。

ちょうど駅ビルのCDショップの前を通りかかり、ならば、と覗いてみる。
店内中央にどーんとお目当てのCDがディスプレイされていた。
初回版は予約のみ、と書かれていて、通常版の山も残りわずかだった。
その一枚を手に取り、レジで清算する。
初回版は予約のみだが、通常版にもいろいろ特典がつくらしく、あれこれ店員が説明しながら袋につめてくれた。
それに一々頷きを返し、柴崎は袋を受けとった。

店内から通路に出る間際に大きなスクリーンが設置されていた。
ちょうど柴崎が今買ったCDのPVが流されていた。

横を通り抜ける際、映像が目に飛び込む。
青空をバックに歌い上げるアーティスト。
サビのフレーズが繰り返される。


『君に逢いたい』


恋愛モノの歌詞にありがちな言葉。

いつもの柴崎ならあっさりとその言葉を通り過ぎただろう。
けれど、今日は違った。

PVの中に吹いた一陣の風が、柴崎の周りにも吹いた。

バッグの中で震える携帯。
見なくてもわかるメールの送信者。


柴崎は走り出していた。




駅前の噴水の前で手塚は駅ビルの入り口を向いて立っていた。
『20分後』とメールしたが、その時間はかなり余裕を見てのこと。
職業上5分前集合が身に染み付いているし、兄の教育のせいか女性との待ち合わせに遅れることは決してない。
業務以外で立つ青空の下も心地よかった。

もうしばらく待つかな?と思った瞬間、目に飛び込んできたのは駅ビルから走り出てきた柴崎の姿だった。
今朝寮で会ったときのように、日焼け対策の武装はない。
小走りに、必死に、走ってくる。


その姿をほほえましく見つめていると、柴崎が目の前に立った。


「どうした?そんなに急いで」

「……」

「なにかあったのか?」


一瞬手塚が不安に襲われる。


「また、ストーカーか?」


柴崎はすぐに首を横に振った。


「なんでもない」

「なんでもなくて、お前が走るかよ」

「なんでもないってば!」


上気させた頬をさらに赤くさせて柴崎が大声を上げた。
雑踏の中で少しの注目を集める。


「ただ……」

「ただ?」

「逢いたかっただけ」


柴崎の言葉は車のクラクションに重なり、周囲に聞こえることはなかった。
けれど、手塚の耳にはしっかり届いていた。

逢いたかった理由はわからない。
でも、逢いたいと思ったのは事実。

手塚は青空を見上げて、息を吐いた。
理由はなんであれ、うれしくてたまらなかった。

自分も逢いたいと思っていたから。
逢いたい理由は……たぶん……

それを口に出すことを手塚は決してしなかった。
そんなことをしたら、目の前で俯いて耳を赤くしている柴崎を二度と見れないことを手塚は知っている。
だから。


「日に焼けるぞ」


柴崎の手から日傘を取って、さしかけてやった。
柴崎は小さく頷いて、日傘の陰に収まった。


「めし、食いに行くか?」


柴崎はやはり小さく頷いて、それからゆっくり顔を上げた。
笑顔だった。


今日の青空よりも、今日の日差しよりも、なによりもまぶしい笑顔だった。




fin.

あとがき

夏の青空が気持ちよくて、ラジオから流れてきたフレーズが『君に逢いたい』で、書きたくなって書きました。
行間補完をお願いするような文章になってしまいましたが。

別冊Ⅱのごくごく初期の頃の雰囲気です。
キスしたのに、どうして自分はコイツと付き合っていないんだろう、な雰囲気。
お互いの気持ちはとっくに向き合っているのに、踏み出せないでいます。

かわいいなあ~

今は日焼け防止もいろいろあるんですね。
UVカット素材のお洋服とか、髪用の日焼け止めとか。
お化粧して日焼け止めして……女の子って大変だわ。

ここで、郁ちゃんから抗議が届いているので。

「あたしだってちゃんと日焼け止めしてますぅ。SP数値のめっちゃ高いウォータープルーフの日焼け止め使ってるし、戸外活動の時は長袖着るし、基本スラックスだから足の日焼けはないし。日傘とか帽子とかはないけど。そういえば、堂上教官と歩くと、なぜか日陰が多いんですよね~不審者って日陰に多いからかな?」

ですって。
幸せね。

読んで下さってありがとうございます。
感想お待ちしています。
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