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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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堂郁は結婚準備期間ってどのくらいあったのかな?
短い人もいるだろうし、長い人もいる。
人気の結婚式場だと、一年以上前から予約でいっぱい。
結婚式と一緒に考え出すのは、新婚旅行かな。
堂郁の場合、新居は官舎で一発決まりだったと思うからね。

新婚旅行のお話は、いろいろなサイトさまで書かれているのですが、
こんなのもありかな、と思って書いてみました。
でね、書きあがったら、別物になっていた…
本当に書きたかったのは別なんですけど…
うん、それはまた書こう、ってか、書きたいです!


『scenery』
堂郁  結婚直前  それじゃいつもと変らんだろう。



郁が目の前に広げた、パンフレットに突っ伏した。


「悩む~~~」


広げたパンフレットの数は、その厚さから、相当数になる。
堂上は、郁の頭をゆるゆると撫でた。


「すぐに飽きるな。あれから 10 分と経ってないぞ」


堂上の言葉に、郁はちらりと時計を見る。
そして、カップが置かれたテーブルも。

そして、盛大にため息を吐いた。


「だって、せっかくお休みもらえるし、こんなに続けてのお休みなんて初めてだから、どこに行こうか考えてると、あちこち行きたくなっちゃって、迷っちゃうんですよ~~~」


くるりと身体を反転させて、郁は仰向けになって足をじたばたさせた。



公休の前夜。
いつものお泊りお出かけコースに来たつもりだった。

しかし、ホテルまでの道すがら、堂上は旅行代理店に立ち寄ってはパンフレットをもらう。
それも、半端ない量のパンフレットを、だ。
ひとつの旅行代理店では気を利かせた店員が袋に入れてくれたのだが、その袋も取っ手が取れそうなほどずしりと沈み込んでいる。

目的はひとつ。
新婚旅行の行き先を決めるためだ。

自分たちで移動手段から宿泊場所まで手配するほど、ふたりは旅慣れていない。
なにより、そんな手配をしている時間的余裕がない。
結婚式の準備、特に、相談の度に上京してくる郁の両親の相手にほとんどの時間を取られている。
一人娘の結婚式への両親の思い入れというのは、ここまでに大きいのだと、堂上も郁も少々驚いていた。


ホテルにチェックインすると、甘い時間は横に置かれてしまった。
ベッドの上には、世界地図のように、場所別にパンフレットが積まれた。

堂上はパンフレットをぺらりめくり、旅行日程が一週間前後のページを開いていった。

ふたりの為の旅行を決めることはわかっていても、やっぱりふたりでいる時間は特別で、郁はそんな堂上の背中にぺたりとくっついた。


「あつしさ~ん」


少し鼻にかかった甘え声で、堂上の背中に擦り寄ってみたが、今夜の堂上はきりりとして、いつもと立場が逆転しているようだった。


「いい加減、方面だけでも決めていかないと、予定が立たん」


そうなのだ。
結婚休暇の申請期日がそろそろ迫っていたのだ。

結婚式と結婚休暇は同時取得でなくても許可されている。
しかし、堂上たちのような職種の場合、取得予定を出しておかないと休暇が取り難い。
隊員のシフトを予め対応させなければならないからだ。


「わかってます。でも、こんなにあちこちあったら、目移りする~」


すぐに飽きる郁に、「ここはどうだ」「こっちはどうだ」と堂上はパンフレットを差し出した。
差し出された瞬間は、ぱっと明るい顔で飛びついてくるが、内容を吟味するまで食いついてはこない。

「じゃあ、10 分休憩な」

そういって、途中で購入した、チーズケーキとハーブティでお茶をした。

堂上とて、郁をこの胸に抱きたい欲求はある。
ありすぎて、正直本人も戸惑うほどだ。

けれど、今日はそんな気持ちに流されてはいられない。
このままだと、新婚旅行に行けなくなってしまう可能性すらある。

郁をその気にさせて、郁に候補地を上げさせる。
そうしないと、自分のことなのだと郁の中で認識されないことに、堂上は気付いたのだ。


お茶をして、再び、パンフレットに向かった郁だった。


が、10 分後はこのありさまだ。



「気に入った場所はないのか?」


パンフレットをめくり飽きた堂上はごろんと郁の隣に寝転んだ。


「どこでも素敵なところで、篤さんと一緒に行きたいって思いますよ。でも、なんかね、違うんですよ」


ぽつりぽつりと、言葉を探しながら郁がこぼす。


「新婚旅行って、ふたりで同じ風景を見て、感動を分かち合って、同じ時間を同じ空間を旅して、ってことですよね。それってね、あたし、もうしちゃってるんですよ」


えっ、っと堂上は郁に覆いかぶさるようにして、郁を見つめた。


「だって、あたし、篤さんと同じ風景見てきて、いいことばかりじゃなかったけど、いい風景もたくさん一緒に見てきた。同じ時間をずっと過ごしてきたし、同じ空気も吸ってきた。考えてみたら、図書隊に入ってから、あたし、篤さんとずっと新婚旅行してたみたいです」


くすくすと微笑む郁に、堂上は軽い口付を落とした。
いとおしくて仕方なかった。


「ばか。それじゃあ、小牧や手塚も、ずっと一緒にいたってことじゃないか」


抱きしめて堂上が言った言葉に、郁は「ああ、そうか。そういうことになっちゃうんですねえ」なんて暢気な返事を返した。


「アホか、貴様」


常套句を吐いて、堂上は郁を掻き抱いた。
郁が苦しいと言うほどに抱きしめて、その唇をふさいだ。




結局、その日のお泊りでは、候補地すら決めることができなかった。
集めたパンフレットの中から、郁が気に入ったものと堂上が気に入ったもの数点を持ち帰ることにした。


見慣れた景色の中をふたり並んで歩く。
そんなことひとつが、郁にとっては宝物のように大切なことだった。

新婚旅行よりもずっとずっと…
ふたりきりで見た風景は、なによりも大事。


不意にぽんと郁の頭に堂上の手が下りてきた。


「俺にだって、どの風景も大切だ。横にお前がいたと思うならなお更、大切で大事だ」

「うん」


郁は堂上も同じ思いでいてくれることが嬉しかった。
堂上も同じ風景を心に大切にしまっていてくれるのが嬉しかった。


しかし、喜びもつかの間。
続いた堂上の言葉で郁は一気に奈落の底へと落ちた。


「でもなあ、新婚旅行は別だぞ。同じ風景を見るって言うならいっそ、奥多摩にでも一週間くらい、俺とふたりっきりで籠もるか?同じ景色を見て、同じ空気を吸って。いいぞ、心行くまで森林浴ができて。ふたりっきりだから、お前がどんなに叫んでも大丈夫だしな」


「えええっ」


くすくすと堂上が笑う。


「やです。そんな新婚旅行、やです」


郁は明日までに旅行の候補を決めてやる、と固く心に誓ったのだった。
そんな郁を見て、堂上はもう一度ぽんと郁の頭に手を置いて、楽しそうに微笑んだ。



fin.


あとがき
新婚旅行の行き先を決める堂郁です。
本当は行き先まで決まるはずだったのに、堂上さんの我慢が足りなかったのか、決まりませんでした。

結婚するまでって、本当にいろいろ決め事が多くって、最初は楽しかったのに、途中からうんざりするって聞きます。
喧嘩もしちゃうし。
でも、ふたりで生活していくってそういうことなんだよね。
話し合って、意見をすり合わせて整合させてく。
毎日毎日、その積み重ね。

この後のお話も書こうと思っています。
行かせたいところがあるんだよ、堂郁を。

読んでくださってありがとうございました。
感想、お待ちしてます♪

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