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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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SS を書くとき、直接入力で書きます。
ええ、ブログの入力画面に直接。
なので、このくらいで終わるだろうって書き始めたら、おっとどっこい、なことがよくあります。
で、今回も、長くなってしまったので、分割しました。
だって、堂上班と柴崎、みんな好き勝手をするから…
私の意志とはまったく関係なくキャラは一人歩きするのが、二次創作の面白いところでもありますが。

というわけで、後編です。

『Lettuce alone 』 ~後編~
堂郁+α 革命エピソード 堂上家のカレーを食べよう。




何事もなく一日の業務が終了した。
堂上は日誌の判を小牧に託し、郁と一緒に走るように帰宅した。


からっと晴れた一日だったおかげで、干していった大物の洗濯物は、ぱりっと乾きあがった。
ひとまず畳んで、寝室に放り込む。
いすが二客しかないので、今日はリビングのローテーブルで食事をすることにした。


「主食はカレーでいいとして、サラダどうしようかな」


ぶつぶつと冷蔵庫の野菜室をのぞくと、レタスが一玉、ころんと転がっていた。


「レタスがあるー…うん、レタス上等」


氷水にちぎったレタスを放って、ぱりっとさせ、ポリ袋に入れて冷蔵庫に入れる。
あとは直前にサラダボウルに盛り付けるだけでいい。

隣では、堂上が魔法使いの如く、鍋を一心不乱に見つめ、くるくるかき混ぜていた。


「絵本に出てきそうな光景だわ」


ぽつんと郁が呟くと、堂上はぷっと膨れて

「お前に任せておいたら、焦げ付くだろうが」

と零した。


「うわっ、それってひどい。いくらあたしでも、大丈夫…なはず……いえ、お任せします」


前回カレーの煮込みを大失敗した郁は何も言えず、その場を堂上に任せて、食卓の用意をすることにした。


約束した時間になると、小牧と柴崎、それに申し訳なさそうに手塚も一緒にチャイムを鳴らした。


「堂上教官、すみません、予定してない俺まで…」


一番高い背を一番低く折り曲げて、手塚が堂上に頭を下げた。


「ああ、どうせ、そこにいるのとこっちにいるのに無理やり連れてこられたんだろう。
気にするな。さあ、上がれ。郁ー、座布団もう一枚な」


玄関で客人を出迎えた堂上は、部屋の奥に呼びかけた。

すると、小牧と柴崎は顔を見合わせて、口に手を当てて、まるで近所の奥さん同士で噂話をする風情で語りだした。


「まあ、小牧教官、お聞きになりました?『いくー』って語尾が延びましたよ」

「ええ、しっかり聞きましたわ。
いつもは『語尾を延ばすのはみっともないから、大人がするな』って怒鳴るのに、ねぇ」

「やっぱり、外では我慢なさってらっしゃるのかしら」

「そうね、柴崎さん。なんてったって、蜜月ですから」


玄関からリビングへと移動中の堂上にその会話は聞こえず、
二人の後ろに立つ手塚は、上官と同僚の会話にこめかみを押さえていた。


「いらっしゃーい」


座布団を並べて、郁はにこやかに客人を出迎えた。
柴崎が手塚から、小箱を受け取り、郁に差し出す。
あまりに自然な動作に、郁はふたりの進展を密かに期待した。


「あんたの好きなショップの新作よ。甘くないのも入ってるから、教官も大丈夫だと思うわ」

「ありがとう。気になってたんだよね、新作。うれしい」


小箱にすりすりと猫のようにして、郁は箱を恭しく持ち上げて、ありがとうと告げた。
冷蔵庫に入れとくね、そういって、キッチンへと消えていった。

まあ、座れ、と堂上に勧められ、三人はテーブルについた。

堂上が、まず一杯な、と小牧にビールを勧め、堂上家の夕食会が始まった。


「篤さーん、手伝ってもらっても、いいですか?」


キッチンから郁の声がして、堂上はそそくさと立ち上がった。
すかさず小牧と柴崎から、ひゅーと冷やかしが入る。

照れくさそうに、堂上は


「仕方ないだろう。いくら郁でも、五人分のカレー皿を一気に運べるわけないだろう」

皿をひっくり返して、やけどでもされたら、たまらん。


そうごちて、キッチンへと入っていった。

その様子を見て、柴崎は呟く。


「いいなあ、愛されてるって」


単純に笠原にはうっかり要素が多いからじゃないか、とささやく手塚には肘鉄を食らわせた。


「お待たせしましたー。堂上家特製カレーでーす」


とんとテーブルの上にカレー皿が置かれた。
ご飯を型抜きして、ちょっとよそ行きな雰囲気だ。

続いて、小鉢を並べる。
福神漬け、ピクルス、ナッツとドライフルーツ、ゆで卵。

もう一度キッチンに立って、郁はサラダを運んだ。


「はいどうぞ」

「ちょっとあんた、これ、レタスサラダ?」


うん、と郁は頷いて、ドレッシングどれがいい?と柴崎にドレッシングを指差す。
柴崎は、そんなことお構いなしに、額に手を当てて倒れる仕草を見せた。


「柴崎、どうしたの?気分悪い?」


急に倒れそうな友人に郁は心配して駆け寄った。


「ううん、なんでもないわ。ここまでしてくれるなんて、あたし感激だわ」


なに、わけのわかんないこと言ってんだ、と堂上も怪訝な顔で柴崎を見た。
小牧は、とっくに上戸に入っている。


「だって、レタスサラダなんて、できすぎてると思いません?」


痛てぇ、と腹を抱える小牧に柴崎が同意を求める。
泣き笑いながら、小牧はうんうんと大きくうなづいた。


「ちょっと柴崎、なんなのよ?」


わけのわからない郁は、手塚に「わかるー?」と振ってみるが、手塚もただ首を横に振るだけだった。
ひとしきり笑い、収まったところで、柴崎が郁に答えを教えてくれた。


「レタスサラダって英語で言ってみ」

「レタスだけのサラダだから…レタス…わかんない」

「あんたって子はまったく…いい、レタス アローン って言うの」

「アローンって?」

「alone 『だけ』ってこと」

「ああ、レタス アローンね」

「そ。レッタス アローン。言ってみ」

「レッタス アローン」

「レット アス アローン」

「レット アス アローン」

「どう、わかった?」

「ぜんぜん、わかんない。篤さーん、教えてください」

柴崎と郁の会話から、小牧の上戸と柴崎の不敵な笑いの意味を察知した堂上は口をへの字に曲げて、答えることを拒んだ。
途中から、手塚も視線を誰とも合わせないようにしていたから、手塚も気づいたのだろう。
郁は答えようとしない堂上から手塚に乗り換えたが、手塚も頑として答えようとしなかった。


「みんなの意地悪…せっかくレタスサラダにしたのに…」


下を向いて泣きそうな様子に、その場にいた全員が慌てた。
意図して出されたものでないことはわかっているが、ついついからかいたくなるのが心情だったから。


「食堂のおばちゃんが教えてくれたんだもん。レタスには鎮静・睡眠効果があるって。
柴崎、今朝目の下にクマできてたし、篤さんも今朝眠そうだったし。
ちょうどレタスがあったから、いいと思ったんだもん」


今にも泣き出しそうな声で郁が抗議する。
そんな郁の肩を堂上はそっと抱きしめた。


「だから、あんたが大好きよ」


堂上に抱きしめられたまま、俯いて涙を我慢する郁の両手を柴崎は両の手で包み込んだ。



***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** *****


「へえ、そんな意味があったんだ。初めて知った」


郁が落ち着いてから、改めて、堂上家の夕食会が始まった。

辛目の味に、シンプルなサラダが合っていた。
トッピングもなかなか好評だった。


鍋いっぱいにあったカレーは、またたく間に空となり、それぞれが満足気な笑顔を浮かべた。
食後は、郁が喜んだ新作ケーキとコーヒーで、和んだ。


「レッツ アス アローン。英語圏では有名なのよ。ハネムーンサラダってね。
レストランでこのメニューを頼んだカップルには、近づくな、ほうっておけって言われるくらいにね」

「へえ、しゃれてるね」

「だから、あんたがこのサラダを出してきたときには、
『ああ、新婚家庭にお邪魔虫しちゃったのね』って思ったのよ」

「そうだよ。遠慮なさ過ぎたなって反省したんだよ」


柴崎のお邪魔虫発言に続いた小牧の発言は、堂上の一瞥で軽く流された。


「手塚も知ってた?ハネムーンサラダ」

「いや。でも気づくだろう、あそこまで言えば…それに、女って好きだろう、そういう話」


女の文字を出されて、郁はうっとつまった。
乙女だ乙女だと言われるけれど、女性が好き好んでする話に郁はとんと疎かった。


「堂上教官は知ってました?」


いや、と首は横に振る。
「堅物だからね、堂上は」と小牧がからかうと、堂上は小牧に吠え付いた。

やんややんやと騒がしいまわりを赤くなって眺めていた郁はふと堂上を見つめた。


「ハネムーンサラダ。すっごく素敵な名前だよねー。でも、あと少しだな。レタスサラダ食べられるのも…」


残念そうに、寂しそうに郁は堂上を見つめた。
いったい何を言い出すのだろうかと、全員が聞き耳を立てる。


「だって、ハネムーンって新婚時代のことでしょう。そんなのすぐに終わっちゃうじゃない。
何年も経って、新婚でーす、なんて恥ずかしすぎるもん」


はあ、と郁の盛大なため息の後、堂上以外の全員がぷっと噴き出した。


「大丈夫よ。ハネムーンって、蜜月とも言うのよ。だから、大丈夫。
あんたと堂上教官だったら、ずーっと死ぬまで蜜月だろうから、ずーっとレタスサラダ食べてていいわよ」


おなかを抱えて柴崎が郁に笑いかけた。
郁は安心したように「大丈夫ですって」と堂上に微笑んだ。

小牧は上戸がとまらず、ついに床に転がり腹を抱えて笑い始めた。
手塚は「負けた」と一言呟いた。

堂上はぶすっとして「悪いか」と開き直った。


「はんちょー、幸せだね。ご馳走さま」


上戸が入ったままの小牧の礼に堂上はぶすっとしたまま「ああ、幸せだよ」とつっけんどんに返す。


きっかけはなんであれ、みんなが笑って「幸せだね」と言ってくれる、この空気に郁は心地よく浸っていた。


「うん、幸せだね」


と。


fin.


あとがき
『Lettuce alone』 後編終了です。
お付き合いいただきましてありがとうございました。

この SS は、Lettuce Salad のもうひとつのバージョンとして書いたものです。
Lettuce Salad では 「let us only」 で こちらでは 「Lettuce alone」を使っています。
どっちにしても「ふたりだけにして」は変わらない。

楽しかったのは、小牧と柴崎のやり取りです。
このふたり、最強です。カップリングとしては考えたくないくらいに強いです。
柴崎と手塚の進展も、作中の郁同様にすごく気になります。
別冊Ⅱが楽しみ~

書きたかったのは、堂上と郁が死ぬまでラブラブだってことだった気がします。
永遠のハニームーン、素敵だ。

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