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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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今年も夏休みに海外に出かけた方からいろいろお土産をいただきました。
お菓子類が一番多いけど、Tシャツもわりといただきます。

海外で売られているTシャツには笑えるものも多いんですよね。
さすがにそういったものをいただくことはありませんが、写真を見せてもらうことはあります。

「かわいい」 ← これって「Lovely」と同じ感覚なんだろうな。
「待」 ← たぶん「侍」って書きたかったんだと思う。
「変」 ← たぶん「恋」だよね。
「秋葉原」 ← 「New York」と同じだよね。

我が家にも一枚あったTシャツのお話です。

『Cute&キュート』
郁+α   戦争   かわいいでしょう?


日中はまだまだ残暑厳しき毎日だが、夜は涼風が吹き、寮生にとっては風呂通いがぐっと楽な季節になった。

風呂あがり、蒸した脱衣所を出てもなお暑い空気。
せっかく流した汗が再び噴出してくる。

それからようやく開放されるのだ。
脱衣所を出れば、さわやかな風が火照った身体を冷ましてくれる。
熱気を帯びた髪をさらさらと梳かしてくれるのだ。


「気持ちいい~」


うーん、と郁が伸びをする。
その横で柴崎が髪を夜風になびかせる。

その様子を男子風呂から出てきた寮生が眺めているのは、いつものことだ。


「風呂あがりに着たTシャツを着替えなくてもよくなったから、洗濯物が減って楽~」

「汗が引く前に着るからそういうことになるんでしょうが」

「だって、脱衣所が蒸し風呂みたいなんだもん」

「まあねえ」

「でも、やっと涼しくなったから、嬉しい~」


郁の体形には少々大きめのTシャツが夜風にゆれた。


「これ、おニューなんだよ。先輩のお土産にもらったの」





郁が柴崎にTシャツの正面をひらひら見せた。
大きな目のQピーが大きくプリントされている。


「あんたじゃ買いそうにない柄ね」

「……」


柴崎の言葉に、郁は思わず口をつぐむ。

かわいいものは大好きだし、この手のプリントだって好きだ。
でも、自分で買うのには抵抗がある。
背丈のある大柄な自分がかわいいものを持っても、着ても似合わないだろうという先入観が邪魔をするのだ。
だから、人からかわいいものをもらうと、純粋に嬉しい。

このTシャツも。


「ああ、似合ってるわよ」


郁の無言のわけを即座の理解して、柴崎が慌ててフォローする。


「……うん、ありがとう」


柴崎のフォローに落ちていた郁の気持ちも浮上した。


「でもねえ……なんか変なのよね」


フォローしたのに、柴崎は解せぬ表情で郁のTシャツを見つめた。
首を左右に傾げて眺める。
そして、まっすぐに凝視する。


「ああ、そうか」


ぽんと手を打って、柴崎はけらけら笑い出した。
その笑いに、郁の表情が再び曇った。


「……やっぱ、似合わない……よね」


俯いて、今にも泣きそうな声を出す。


「いや、そうじゃないから大丈夫。うん、あんただから大丈夫」


柴崎が郁の肩をぽんぽん叩いて、なんでもないわよ、と告げた。
けれど、郁は俯いたまま顔を上げない。


「ああ、仕方ないわねえ。ジュースおごってあげるから、機嫌なおしな」


その一言で郁は顔を上げた。


「まったく、現金な子ね」

「へへへ」


寮のロビーの自販機の前で、柴崎におごってもらった缶ジュースを手に郁が立っていると、堂上班の男性らがやってきた。
ビールを買いにやってきたのだろう。


「風呂あがりか?」


郁の手荷物を見て、堂上が声をかけた。


「はい」

「涼しくなったから、風邪引くなよ」


堂上からのやさしい言葉を郁は頬を染めて聞いた。

と、突然、小牧の上戸が入った。
笑いすぎて、息が吸えず、苦しがるほどの上戸だ。


「どうした?小牧」


堂上が怪訝な顔で小牧を見ると、その隣で手塚も引きつり笑いを浮かべている。
ひとり状況がわからない堂上は、手塚の隣に立つ柴崎に視線を向けた。
極上の微笑みと評される笑みを柴崎は浮かべていた。


「柴崎、なに言った?」


堂上の問いに柴崎は答えず、郁のTシャツをくいと引っ張った。


「堂上教官。これ、かわいいと思いません?」


郁は焦って、後ろを向こうとする。
しかし、一瞬早く柴崎に腕を絡められ、身動き取れなくなってしまった。


「俺には、そういうものはよくわからん」


仏頂面で堂上が答える。
郁は真っ赤になって俯いてしまう。


「堂上教官なら、わかると思うんですけど」


もう一度柴崎が堂上に声をかける。
堂上は仕方ない体でもう一度郁のTシャツを見た。

と、いきなり郁の頭上にぽんと堂上の手が乗った。


「お前、これ着て、歩くな」


やっぱり似合わなかったんだ、と郁がさらに俯くと、堂上が慌ててもう一度ぽんとした。


「似合わないんじゃなくてな……」

「……似合わないんですよね……」

「そうじゃなくてな」

「じゃあ、どうなんですか?」


悲しかったはずが、どこで線を曲げてしまったのか、郁は突然怒り出した。


「ええ、教官、どうだっていうんですか?」

「そうじゃなくて」

「そうじゃないなら、どうなんですか?」


一問答したところで、上戸からようやく戻った小牧が二人のあいだに入った。


「二人とも論点ずれてるよ。こういうのはさ、さらっと流さないとね」

「そうね。気がつかない笠原も笠原よね」

「先輩、買うときに気づかなかったのかな?」

「まあ、特殊部隊にそこを期待されてもね」

「それもどうかと思いますけど」

「一般常識だと思うんだが」

「手塚にはそうでも、他の隊員にはちょっとね。ははは、今度隊長に申告しておくよ」


水を差されて、堂上と郁の問答は収まった。
柴崎に促されて、部屋に戻ろうとすると、堂上が郁に声をかけた。


「部屋に帰ったら、よく鏡見ろ。その天使は似合ってるから」


それはどういう意味か、郁が堂上に問おうとしたが、堂上は言うだけ言ってくるりと背を向け部屋へと戻っていってしまった。


部屋に戻って、小一時間。
郁は鏡の前に立っていた。

見ても見ても、わからない。

その様子を楽しんでいた柴崎も、最後には痺れを切らしてしまった。

そして、郁に手渡されたのは、辞書。


「引いてみ?」


英語が必修になっている小学生だってわかりそうな単語を郁は引いた。
そして、悲鳴を上げた。


「なに、これ~~~」


げらげらと、部屋の外では決して見られない柴崎の笑いを背に、郁はがっくりと肩を落とすのであった。

それから、そのTシャツがお蔵入りしたのは、当然といえば当然だったのかもしれない。

fin.


あとがき
私の今年の夏のパジャマTです。
もともとは、友人が遊びに来たときのお土産です。

郁ちゃん同様、自分だったら絶対に買わない柄なので、ちょっと嬉しかったんです。
でも、これを着ると家人がめっちゃ笑うんで、郁ちゃん同様「似合わないさ」とへそを曲げてました。
で、家人から柴崎同様に辞書を手渡された次第です。

みなさんはどうして柴崎が笑ったのか、何がおかしいのか、わかりますか?
確かに、似てる。
でも、違うだろう、でしょ。
「エンジェル」と「エンゲル」

そんな実話を基にしたお話でした。
楽しんでいただけたかしら?
感想などお待ちしています。

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