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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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弥生三月、三寒四温の日々ですが、みなさまお元気でお過ごしでしょうか?
昨年より少ないと聞いていた花粉は、絶対去年より多いと思います、な感じで、目のかゆみと鼻のつまりで『ぼー』とした毎日を送っています。
薬ももらってきてはあるんですが、眠くならないはずの薬なのに眠くなるし思考能力が低下するので、なるべく我慢しています。

今朝、ラジオを聴いていたら、レミオの『3月9日』が流れました。
そうか、三月九日かあ。
今日は『3』『9』で『サンキューの日』でもあるんですよね。
サンキューというと、HOME MADE 家族の『サンキュー!!』を思い出す。
そんな日です。

いつも訪問くださるみなさまに感謝します。
更新ないのに、拍手を送ってくださって、ありがとうございます。

そんな今日のお話。

『三月九日』
堂郁   恋人時代   今日は何の日?


冷たい雨が降る。
ぽかぽかの太陽の光が温めた木々の若芽が縮こまる。

三寒四温。
寒い日が三日ぐらい続くと、そのあと四日間ぐらい暖かい日が続くということ。

弥生三月に入ってから、そんな日が続いている。


「あーあ、本格的に降ってきた。午後からは館外警備なのに……」


窓の外に目をやって、郁は盛大にため息をついた。
食堂の窓は、外気温が低いせいで、うっすら曇っている。
館内はまだ暖房が効いていて、寒さを感じることはないが、曇ったガラスを見るだけで、ふるると震えてしまう。
郁は両手で自分のからだを抱きしめた。
午前中館内警備だったため、郁は春物のスーツだったのだが、午後の館外警備にこの服装では無理そうだった。


「三寒四温、まさに言葉とおりねえ」


郁同様に窓に視線を投げかけた柴崎が呟いた。
天気が悪いと調子を崩しやすい柴崎の、その憂いある表情に、何人もの図書館員が見とれていた。


「柴崎、あんたほんとに調子悪そうだよ」

「しかたないわよ。今日はこんな天気だし。ただでさえ、花粉症でだるだるなんだし」

「お大事にね」

「ありがと」


ふたりでもう一度ため息をついた。


「はあ、毎日、こんなだと、今日が何の日か忘れちゃいそうでいやだわ」


『今日が何の日か……』
その言葉に、郁が過剰な反応を示した。


「急に何を言い出すのよ、柴崎」

「えっ、何のこと?」


くすりと悪魔の微笑みを零して、柴崎は郁を見つめた。
郁はまっすぐ見つめてくる柴崎の視線から逃れるように、きょろきょろあちこちを見た。

運良く(?)堂上と小牧と手塚がそこを通りかかった。
食事を終え、一度特殊部隊事務室へ戻るらしかった。
そこを、柴崎が引き止めた。


「笠原、お前、何した?」


同じテーブルに座るや否や、堂上は挙動不審の郁に声をかけた。
くすくす微笑む柴崎の視線ときょろきょろ視線を彷徨わせる郁。
どうみても、不審としか思えなかったからだ。


「ど、ど、どうもしてません」


叫ぶように郁が答える。
その様子を見て、柴崎がころころ笑った。
手塚が柴崎に問いかける。


「こいつ、どうしたんだ?」


柴崎はにっこり笑った。


「ほら、こんなお天気だと、あたし、今日が何の日かも忘れちゃうわ、って言ったのよ」


柴崎につられて、全員で窓の外を見る。
先ほどより窓ガラスの曇りがいっそう濃くなり、外気温が下がっているのが手に取るようにわかった。


「今日が何の日ねえ……つい忘れちゃうよね」


小牧が柴崎に同意を示す。
郁はますますきょろきょろし、手塚と堂上は柴崎と小牧の真意を掴めず、きょとんとしていた。


「今日って、三月九日は何か特別な日なのか?」


手塚が素直に疑問を口にした。


「三月九日よ」


当たり前のように、柴崎が答えを返す。


「三月九日、三月九日……」


呪文のように手塚は繰り返した。
柴崎はくすくす笑うだけで、その先の答えを答えようとはしない。


「三月九日ねえ……そうか、三月九日ね」


思い出したように、小牧がぽんと手を打った。
そして、にやりと堂上を見やった。
小牧に見られて、堂上は眉間の皺を増やし、相変わらず挙動不審を続ける郁を見た。

そして、堂上はいきなり立ち上がると、郁の頭に拳骨を落とした。


「あほか、貴様」

「いったああい。あたし、何も言ってませんよぉ」

「言わなくたって、そんな挙動不審じゃ、バレバレだ」

「そんなこと言ったってぇ」

「語尾をのばすなあ」

「教官だってえ」


なんだなんだと食堂にいた隊員たちがいっせいに堂上と郁に注目したが、いつもの不問な言い合いかと半分呆れ顔でそれぞれの会話へと戻っていった。


「ちょっと、そんなに注目浴びなくてもいいのよ」

「だって、いきなり教官が」

「お前がそんな挙動不審するからだろう」

「って、堂上、笠原さんが挙動不審になるような日なの?今日って」


にやにやと小牧が堂上をつついてくる。
手塚は四人の表情を交互に見て、やはり疑問符を浮かべた表情のままだ。


「三月九日よ。やだあ、笠原、知らないの?」

「知ってるよ」

「あらあ、知ってるなら、いいじゃない?」

「あんたが覚えてることが、怖いのよ」

「あら、小牧教官だってご存知よ」


話を振られた小牧が大きく頷く。


「俺もちゃんと知ってるよ。今日が何の日かね」


柴崎と小牧、ふたりににっこり微笑まれ、郁はテーブルに突っ伏してうなりをあげた。
堂上は腕を組み、天井を見上げた。

一同の沈黙の一瞬後、手塚が大きく頷いた。


「わかった。そうか、三月九日、三月九日だ」


手塚の声に、郁はますますからだを縮こませた。
しかし、次の手塚の言葉で、そのからだをぱっと起こした。


「『3』と『9』でサンキューの日か。そうか、そうか」


図書館の入り口には、大きく日付を記す掲示板がある。
その日の催しもののお知らせを掲示すると同時に、その日が何の日なのかも掲示している。
毎日が記念日と言われるほど、毎日毎日「今日は○○の日」がある。
歴史上の人物の記念日だったり、さまざまな団体が制定した記念日だったり。
数え切れないほどの記念日があるのだ。

三月九日は『3(サン)』と『9(キュー)』の語呂合せで『サンキュー』の日とされている。
年間にいろいろな感謝の日があるが、今日は感謝の日ということで、感謝を伝え合い、感謝したいことや感謝したい人に思いを寄せよう、という日なのだ。

手塚の言葉に、はっと顔を上げた郁は「てへへ」と恥ずかしそうに笑った。


「そっか、サンキューの日ね。そうだよねえ、サンキューの日だよねえ」


未だ明らかに挙動不審状態なのに、一生懸命で誤魔化す様子に、全員が笑いをあげた。
堂上も、ほっとした様子で苦笑している。
柴崎と小牧はそっと視線を交わらせて、こくりと頷いた。


「教官、いつもありがとうございます」


郁の威勢のよい感謝の言葉で、それぞれが午後の仕事へと向かった。


特殊部隊事務室へと小走りで向かう郁と手塚の後を、小牧と堂上が追う。
小牧がそっと堂上に耳打ちしてくる。


「今日は早くあがりなよね。日報、俺が見るからさ」


とたん、堂上の耳が真っ赤になった。


「いらん世話を焼くな」

「いらない世話じゃないよ。ほら、今日は感謝の日でしょ」

「お前に感謝されるなんて、気味が悪い」

「人聞き悪いよ、それ。今日、記念日でしょ」

「なんだって、お前が知ってるんだ?」

「柴崎さんも知ってるよ」

「なんだって、人のことを覚えてる?」

「あれだけ周り巻き込んどいて、忘れろって言われても無理」

「自分のことだけ覚えとけ」


つかつかと派手に足音を立てて歩く堂上に、小牧の上戸が止まらない。
後ろを歩く上司たちの様子に首をかしげながら、部下たちは午後の始業時間を気にして、その歩を早めた。



三月九日。
『サンキュー』の日。
感謝の日。
感謝を伝える日。

そして……

一年前、やっと結ばれた堂上と郁の記念日。

「きっとこれから、毎日が記念日になるくらい、いろいろなことがあるわよ」
堂上と付き合うようになって、郁に柴崎が告げた言葉とおり、たくさんの記念日ができた。
どの日も忘れられない、忘れたくない記念日だ。

三月九日。
今日も、忘れられない、忘れたくない、大切な大切な記念日。


fin.

あとがき
どうしても今日upしたかったお話です。

別冊Ⅰの「触りたい・触られたい二月」後「こらえる声」にちなんでみました。
「こらえる声」の日は「桜の手前の季節」とあるので、都下だったら三月だろうと思いました。

「今日は何の日~毎日が記念日~」というサイトをよく利用させていただいています。
毎日毎日、よくまあこれだけ記念日があると感心するほど、記念日があります。
日付の語呂合せだったり、始まりの日だったり。

女の子って、記念日大好きじゃありませんか?
ダイアリーに花丸つけていそうです。
男の人でもそういうことにまめな人もいますけど。

堂上さんもまめそう。
小牧さんも。
でも、ふたりとも、自分から言うことはしなさそうです。
郁ちゃんや毬江ちゃんがその日ちょっとうれしそうにしているのを見るのを楽しみにしています。

手塚はそういうことに無頓着。
柴崎に「ねえ、今日って何の日?」なんて聞かれても答えられない。
世間一般の記念日を答えて、冷たくされるんですよ。

堂上さんと郁ちゃん、明日はお休みじゃないんで、終業後ちょろっとお茶しに出かけます。
帰りにはちゃんと手をつないで、お決まりの濃厚なKissでしめます。
「次の公休日、な」って堂上さん、耳元でささやく。
もちろん、すでにお泊りの予約は入れてあります。
潤んだ瞳で堂上さんを見つめる郁ちゃんに、堂上さん、このままいっそ朝帰りしようかと思ってしまいます。
でも、一瞬、微笑む小牧さんと柴崎を思い浮かべて、断念するんです。
そんなことがあったかもしれません。

読んでくださりありがとうございました。
感想、お待ちしています。

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