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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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June bride は幸せになれる。
これって、アメリカでは学校の卒業式が六月に行われて、その昔は結婚して housewife になるのが当たり前だったから、卒業と同時に June bride になるのが女性の最高の幸せだったことに由来しているそうです。
愛と青春の旅立ちもそうだったね。

なんとなくなんですが、郁ちゃんは June bride だと思います。
絵描きさんのサイトでいくつも素敵なマーメイドドレスを見ましたし。
きっと堂上さんが郁ちゃんのお母さんに気を使ったんだと思う。

幸せになるためのおまじないです。

『Something Four』
郁&柴崎   幸せになってよ?幸せになるわよ!



Something Four

結婚式の当日、4つのサムシングを身に付けた花嫁は幸せになれるという。

Something Old ・・・ 何か古いもの 
Something New … 何か新しいもの
Something Borrowed … 何か借りもの
Something Blue … 何か青いもの

どれも大切なおまじない。

* * * * *

柴崎が寮の部屋のドアを開けると、そこは一面真っ白だった。
とは、少し大げさなのだが、部屋の中には、真っ白なウェディングドレスが広げられていた。


「おかえり」


ウェディングドレスの裾を丁寧に広げていた郁が微笑んだ。

……ああ、この笑顔が見れるのもあと少しだわ……

柴崎は「ただいま」と帰宅の挨拶の笑顔の奥でわずかな寂しさを感じていた。
郁の結婚が決まったことは、自分のことのように嬉しい。
恋の始まりからずっと見守ってきたのだ。
大切に大切に見守ってきたのだ。
嬉しい。
でも。

……やだ、あたしがマリッジブルーになってどうすんのよ……

自嘲気味に微笑んで、柴崎は郁の隣に座った。


「出来上がったから、取って来ちゃった」


へへへ、と嬉しそうに郁は笑った。
ウェディングドレスの保管は、思いのほか場所をとる。
一生に一日しか出番はないのに、手入れはずっと続くのだ。
だから、レンタルする花嫁が多いのだ。

けれど、郁はレンタルではなく自分のドレスを用意した。
母親たっての希望だと、聞かされた。
娘を嫁がせた証のようなものなのだろう。


「綺麗ねえ」


遠目には白一色のウェディングドレスも、近くで見ると細部に施された刺繍やちりばめられたビーズが光り輝いてまぶしい。
郁がまた、へへへ、と嬉しそうに笑った。

心の片隅に吹く風を感じながら、柴崎は持ち帰った大きな箱を郁の目の前に置いた。
真っ白な箱は、箱のあちこちに年季を感じる色焼けが見られる。
けれど、丁寧な扱いを受けてきただろうことがわかる風合いだった。


「はい、預かってきたわよ、ベール」

「ありがとう。明日、取りに行こうと思っていたのよ」

「明日は天気が悪そうだったから、濡れると大変だからって」

「みんなに気を遣わせてるね、あたし」


郁は目を閉じて、目の前にはいない先輩に頭を下げた。

箱を丁寧に開ける。
中には、チュールのロングベールが入っていた。


「これがうわさのカミツレベールなのね」


柴崎も興味津々でベールに見入った。
これが図書隊員同士の結婚でしか見ることのできない、ウェディングベールなのだ。
もともとは、金のない若い図書隊員同士のカップルが図書館のホールで結婚式を執り行った際に使用したベールだそうだ。
ウェディングドレスを着ない花嫁に、手先の器用な友人たちが祝福にと贈ったという。
ベールはチュール地の網目を拾って刺繍を施した「チュール・エンブロイダリー」と呼ばれるチュールレースで仕上げられていた。
その刺繍は、図書隊の象徴であるカミツレだ。
一針一針丁寧に刺されたカミツレが、ベールを縁取っている。
ところどころにスワロフスキービーズがちりばめられている。
ベールを被る花嫁たちが一人ひとつずつビーズを縫い付けてきたらしい。
スワロフスキービーズの数だけ、図書隊員カップルが結婚式を挙げたというのだ。

結婚が決まった郁のところへ図書隊員カップルの先輩がこのベールの話を持ってきたのだ。
話を聞いた郁は堂上に相談した。
堂上に話をしたときには、既に郁の気持ちは決まっていたのだが。


「ふふふ。揃ったわね」


柴崎は楽しそうに郁に微笑んだ。


「揃ったって、なにが?」


ドレスとベールを見て、郁は小首を傾げた。


「サムシングフォーよ」

「サムシングフォー?」

「そう、サムシングフォー」


眉間に皺を寄せて、郁は一生懸命に考えた。
その言葉をどこかで聞いたことはあったからだ。


「って、あんたねえ。仮にも、これから結婚しようっていう女が『サムシングフォー』くらい知ってなさいよ」


柴崎に眉間の皺をぴんと弾かれて、郁は「痛た」と顔を顰めた。


「Something Four 、幸せのおまじないよ」

「おまじない?」

「うん。結婚式のその日、四つのサムシングを身に付けた花嫁は幸せになれるっていうのよ」

「へえ。そうなんだ」

「そうなんだって、あんたも身に付けんのよ」

「そうなんだ、ってあたしが?」

「当たり前でしょ。あんたに幸せになってもらわなきゃ、あたしが困るの」

「なんじゃそりゃ」

「なんでもいいのよ」

「ふーん。で、四つって?」


柴崎はテーブルの上にベールを置いた。
そして、郁に先日水戸の母親が持ってきたという真珠のイヤリングをベールの隣に置くように言った。
郁がイヤリングを用意する間に、柴崎は机の引き出しから小さな包みを取り出した。


「四つのサムシング。Something Old 、何か古いもの。Something New 、何か新しいもの。Something Borrowed 、何か借りもの。Something Blue 、何か青いもの。これを花嫁は身に付けるのよ」


Something Old 、何か古いもの。
これは郁が母親から譲り受けた真珠のイヤリング。
祖先から譲り受ける富の象徴。

Something New 、何か新しいもの。
これはウェディングドレス。
新しい人生への幸運と成功の象徴。

Something Borrowed 、何か借りもの。
これはこのベール。
隣人愛の象徴。

そして、Something Blue 、何か青いもの。
これは……


「はい」


そういって、柴崎は郁に小さな包みを渡した。
郁は不思議顔で包みを開いた。
中から出てきたのは、鮮やかな青にレースの生地でできたものだった。


「これ、なに?」


柴崎はにやりと笑って「ガーターベルト」と答えた。
その言葉を聞いて、郁は最初「ふーん」と返事を返したが、すぐに「えええ」と大声を上げた。


「ちょおっと、柴崎。ガーターベルトって、ガーターベルトって」

「うん、ガーターベルトよ」

「いらん、そんなもん」


郁は手にしたガーターベルトを柴崎に押し付けるように返した。
柴崎はくすくす笑いながら、それを受け取ろうとはしなかった。


「業務部の子たちには、ブーケトスは必須用件だけど、防衛部の子たちには、ガータートスのほうがいいと思ったんだけど?」


確かに、業務部は女性の割合が多く、防衛部は男性の割合が多い。
結婚式に参列はしなくても、堂上と郁を祝うために結婚式に参加する図書隊員は多いはずだ。
ブーケトスは予定していたが、ガータートスなどまったく考えてもいなかった。
ブーケトスでブーケを受け取った女性は次の花嫁候補だと言われる。
ガータートスではガーターを受け取った男性が次の花婿候補になるという。
ガータートスは新郎が花嫁のスカートにもぐりこみガーターベルトを外して独身男性に向かって投げる。
新郎がガーターベルトを外すために、花嫁のドレスの中に手を入れたり、場合によってはスカートの中にもぐりこむため、過激な演出となり、あまりお目にかかることのできない結婚式の演出だ。


「外すのは左足のガーターよ。いいわね」

「よくない。ガーターベルトなんてしない」

「あらあ、そんなに否定しなくてもいいじゃない」

「よかない。断固としてそんなもん、しない」

「堂上教官はやりたいんじゃないのかしら?」

「そんなことしたいって言ったら、結婚やめる」

「ふふふ」


揶揄い調子の柴崎は、必死にガーターベルトを拒む郁を微笑ましく見つめた。
下着を買いに出かけて目に付いた。
上質なレースと控えめなデザイン。
なによりその色に魅かれた。

Something Blue、忠実、信頼、幸せの象徴。
郁には幸せになって欲しい、ずっと幸せでいて欲しいと願った。
偽らない柴崎の気持ちだった。


「ガータートスは冗談としても、サムシングブルーってことで、結婚式当日に着けてね」


柴崎は華麗に笑った。
郁はしぶしぶと言った風情で頷いた。

それから、ふたりで結婚式の話をした。
今までに参列した結婚式のことだったり、郁の結婚式のことだったり。

幸せ色に染まる部屋で、いつまでもいつまでも話が尽きることはなかった。


* * * * *


Something Four
4つのサムシングを身に付けた花嫁は幸せになれるというおまじない。
とても大切なおまじない。


fin.
あとがき
本館ジャンルの整理をしていて見つけた話題を図書館戦争で展開してみました。
June に up できなかったのがちょっと残念です。

『Something Four』は今では一般常識になったのかしら?
こだわることはないと言われてるけど、おまじないってことで。
郁ちゃんも堂上さんもあまり、こういったことに熱心だとは思わないけど、柴崎や毬江ちゃんはこだわりそうです。
手塚や小牧さんもさりげなく気にしてくれそうです。

サムシングブルーですが、人目につかないように花嫁が身に付ける事とされているので、ガーターが無難なようです。
別にガーターベルトじゃなくても、青いリボンを巻いてもいいそうです。
私の知人はブルーのパンティを穿いたとか。
ブーケの中に青い花を入れるのもいいみたいです。

突発で書き上げたので、消化不良っぽいです。
後から修正かけるかもしれませんが、そこは目を瞑っていただけるとありがたいです。
読んでくださりありがとうございました。
感想などお寄せください。
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