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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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週末は七五三の日。
今日日、お天気とか子供の体調を考慮して、10月に入るとお天気が良くて日がいい日にお参りする人が多いそうですが、こだわる方はやはり15日に参拝されるようです。
三歳の女の子の被布。
五歳の男の子の袴。
七歳の女の子の振袖。
どれもかわいらしくて綺麗です。
自分の時のって、七歳の記憶しかないけど、雪が舞う中、善光寺さんにお参りしました、ぶるっ。
週末お天気がいいといいね。

そんなお話。


『千歳飴』
堂郁  革命  幸せのお裾分けは溶けるほどに甘い。


「てっづかあ」


手塚は思わず回れ右をしたくなった。
廊下の正面から、ぶんぶん手を振って自分の名を大声で呼ぶ同僚と、同じ図書隊員だと思われたくなかった。

手塚の名を呼びながら、手をぶんぶん振っているのは、特殊部隊唯一の女性隊員、笠原郁だ。
元来の元気さに増して、当麻事件で負傷していた堂上が復帰してから、輪をかけて元気だった。

眉間に皺を寄せて視線をそらす手塚を気にすることなく、郁はばたばたと手塚に走り寄った。


「でかい声で叫ぶな」


開口一言、手塚はまず郁に釘を刺す。
言ったところで改善される気配など微塵もないのだが、言わずにはいられない。


「まあまあ。いいものもらったから、手塚にも分けたげる」


手塚に刺された釘を瞬殺で引っこ抜き、郁は手塚の目の前にぬっと棒を差し出した。
棒、だと思ったのは、青い紙に巻かれた千歳飴だった。


「ほら、たっくん、昨日七五三だったんだって。で、もらっちゃったんだ」


ニコニコして、手塚に差し出したほうとは逆の手で千歳飴の袋を掲げた。

昔ながらの、鶴亀、松竹梅、とめでたいものが満載の袋だ。
長寿の願いが込められている。

たっくん、とは児童イベントで郁に懐いた男の子だ。
どうやらたっくんにとって郁は初恋らしく、お菓子だの宝物だのを持って足繁く郁を訪ねている。
千歳飴もきっとそうなのだろう。
もっとも、当の郁はそのことに気付いていない。


「いらねえよ。俺、甘いの苦手だし」


子供とはいえ、恋する相手からの頂き物をもらうのは気が引けると、手塚は手を引っ込めた。
それに怯む郁ではない。
むんずと手塚の手を掴んで、むりやり千歳飴を握らせてしまう。


「もらっときなよ。元気に育ちますようにってお払いもしてもらったんだって。ご利益あるからさ」


にっこり微笑まれて、手塚はしぶしぶ千歳飴を受け取った。

特殊部隊事務室に入ると、郁は同じように、小牧と堂上にも千歳飴を握らせた。
そして、自分の分の千歳飴を取り出すと、ぱきっと折って口に放り込んだ。


「んん、あっまーい。この口の中でしゅわあって溶ける感じが千歳飴だわ」


千歳飴は紙を丁寧に剥いて、長いままそっと舐めるものじゃなかったか、と手塚は一瞬思ったが、長い千歳飴を休憩時間内に舐めきれるわけもないから、郁の食べ方も妥当かと納得した。


「千歳飴かあ。懐かしいね」


小牧が感慨深げに千歳飴を眺めれば、堂上もそれに習って「懐かしい」と言った。


「俺、一人っ子だから、自分のは小さすぎて覚えてないから、七五三っていうと毬江ちゃんのことなんだよね」

「俺も似たようなもんだな。妹の七五三の記憶が強すぎる」


堂上と小牧の話を聞いて、郁がほんの少し頬を膨らませた。


「いいなあ。あたし、末っ子だから、七五三、あたしで終わりだったんですよ。記憶なんて、写真見ながら兄たちが面白おかしく聞かせたことしか覚えてないし……」

「俺も同じだ。兄貴が俺の手を引いて参拝したことだけしか覚えてない」


むすっと手塚も郁に同意する。
当麻事件で幾分歩み寄ったとはいえ、まだ兄の話をする手塚の表情は硬かった。

冷えた空気を上昇させるかのように、小牧が話を始めた。


「毬江ちゃん、可愛かったんだよ。三歳の時、草履でうまく歩けなくて泣いちゃってね。うちに見せに来てくれたときはお化粧も剥がれて、ぼろぼろだったよ」

「そりゃあ、かわいいな。うちの妹は草履もなんのその、神社の松に登ろうとして母親が怒鳴ってた」

「ははは、勇ましいねえ」


活発らしい堂上の妹の話を聞くうちに、郁もふと自分のことを思い出していた。


「あたしも似たようなことしてましたよ。神社の階段、三段飛ばしで登っていく兄たちを追いかけて、裾踏んづけて転んで。父に抱っこされてお参りしました」

「今とまんま、変わってねえ」


ぽつりと感想を零した手塚に郁は足蹴りをひとつお見舞いする。
小牧は上戸に入り、堂上は渋い顔をして部下を見た。


「まあ、今もこうして元気でいられるんだから、ご利益はあったんですよね」


にっこり上官と同僚に郁が微笑む。
口の中でころんと千歳飴が転がった。

その笑顔を見て、堂上は渡された千歳飴を剥くとぱきんと折って、口に放り込んだ。

ご利益はあったんだろうな。
今までの戦渦をくぐって、こうして無事にいるのだから。

幸せのお裾分けは溶けるほど甘かった。

fin.

あとがき
この時期になると「千歳飴買ってきて」とちびたちからリクエストが入ります。
スーパーで売っているミ○キーのじゃありません。
神社で並んでいる、本物の千歳飴です。
私は、あの千歳飴を舐めていると舌が切れちゃうので、あまり得意ではないんですが、ちびたちは好きらしいです。
この頃は、引きずるほど長い袋じゃなくて、コンパクトサイズの千歳飴もあって、バラエティ豊かです。
まるで、露天で売ってる綿飴の袋みたいで。

そして、この時期になると、この話題でSSを書きたくなります。

郁ちゃんの七五三、お母さんは気合はいってたんだろうなあ。
堂上さん家はお父さんが関西だから、案外七五三じゃなくて十三詣りだったのかな?
堂上さんの袴姿、凛々しかったと思います。
手塚のお参りは慧さんが仕切ったような気がします。
「ほら光、石があるからこっちだよ」と手を引いて……

読んでくださりありがとうございました。
みなさんの七五三の思い出とかお話、聞かせてくださいね。

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