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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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午後の太陽って、どうしてこうも強烈なんでしょう。
午前中のギラギラは許せても、午後のギラギラは体力を消耗するだけだよ…

だから、涼しくなりたくなって書きました。
しゃりしゃりしゃりしゃり…
いい音だ、うん♪


『暑くて熱くて』
堂郁  別冊Ⅰ 夏だもん、暑いのは当たり前でしょ!



しゃりしゃりしゃりしゃり…


寮の共同会議室のひとつから、懐かしい音が響いていた。


しゃりしゃりしゃりしゃり…


ドアに『氷』と下げたくなる、夏の風物詩。
自室より、若干温度が高めの廊下を堂上は急いだ。



「タイトル : お暇ですか?」


風呂上りに、部屋に戻ってみると、携帯にメール着信のランプがついていた。
急いで開けば、送信者は、郁だった。


「夏祭り用に、カキ氷機を借りました。
試しにカキ氷を作っています。もし、よかったら、共同会議室まで」


送信時間は、ほんの 10 分前だ。
堂上はがしがしと髪を拭いて、あわてて廊下へと飛び出していった。

急いでいた証拠に、いつもなら干されるバスタオルが床の上に投げ飛ばされていた。


共同会議室のひとつからは、しゃりしゃり、と氷を削る音が聞こえていた。
時々、がりり、と突っかかるのは、ハンドルを回すものが粗忽なのか、はたまた、カキ氷機の老朽化か。

誰が回してんだ?

苦笑を浮かべて、堂上は会議室の扉を開けた。
会議室には、郁と小牧、手塚と柴崎がいた。



梅雨も明け、学校が夏休みに入ると、図書館は賑わう。
冷房の効いた館内に涼を求めるものや、宿題をしに来る学生。
カウンターは、時にはセール会場のような人だかりだ。


そんな夏に、納涼祭と称して、図書館でも、夏祭りを行う。
図書館の周りの商店街も一緒に行う、地元密着型の催しだ。

特殊部隊では、毎年、カキ氷の屋台を担当する。
体力自慢の特殊部隊なら、お手の物、と任されている。


「遅くなった」

「あっ、教官」


堂上が入ると、郁が嬉しそうに見つめた。
柴崎が、これ見よがしに、手うちわでぱたぱたと扇いだ。


「堂上、風呂だったんだ」


声をかけたのは、カキ氷機のハンドルを回す小牧だった。
カキ氷機は、二台あって、そのうちの一台のハンドルは手塚が回し、もう一台を小牧が回していた。


「堂上、交代しろ」


ふーっと大げさすぎるため息を吐いて、小牧はいすにへたり込んだ。


「このカキ氷機のハンドル、めちゃくちゃ重いんだよ。明日、後方支援部に頼んで、メンテしてもらおう」


小牧に代わってハンドルを回し始めた堂上は、小牧の言葉に大きく頷いた。

ハンドルの軸が微妙に傾いていて、ある一箇所を支点に、ハンドルの重さが重くなる。
手塚がまわすカキ氷機のハンドルは、ぐるぐる回るのに、堂上が回すカキ氷機のハンドルは、時々がりりと引っかかってしまう。


「堂上教官、大丈夫ですか?」


カキ氷機の下で、器を回していた郁が上目遣いに心配そうに見上げてきた。

いつもとは違った郁の視線に、堂上の胸はどきんと鳴った。
業務中は、どちらかと言うと、少し郁の視線が高い。
デートで並ぶ時は、少し後ろからの視線になる。

まともに見上げられて、堂上は郁に釘付けになってしまった。


「教官、大丈夫ですか?」


ハンドルが重すぎて、手のどこかを傷めたのだろうかと、郁は心配そうに見上げてくる。
だから、堂上はもっと郁から目を離せなくなってしまった。


「堂上、ねえ、早くしないと、氷解けちゃうよ」


くすくすと小牧の声で、我に返った堂上は、しゃりしゃりと氷を削り始めた。


しゃりしゃりしゃりしゃり…

涼しげな音がする。
手塚も負けじと、しゃりしゃりと削った。


堂上が削る氷を郁は器を回して、綺麗な山にしていく。
削り落ちるタイミングをうまく見計らって。
くるくると器を回す。


「うまいもんねえ」


削り終わった柴崎がほおと感嘆の声を上げた。


「うん、息がぴったり」


小牧もほぉと感心する。


手塚がぽそりと

「共同作業、慣れてるんだな」

と呟いた。


と吹いたのは、小牧だった。
盛大に上戸が入ったのだ。


「あはは、手塚、うまいこと言うね」

テーブルをばしばし叩いて、涙目だ。
柴崎は、手塚の背中をとんとん叩いて、笑った。


「手塚、あんたもたまには、いいこと言うじゃない。『共同作業』、うん、ぴったりだわ」


小牧と柴崎に、褒められたような貶されたような。
手塚は複雑な表情を浮かべていた。


一心不乱にハンドルを回す堂上と、器を回す郁の耳には、そんな三人のやり取りなど入らなかった。
ただ、二人で、しゃりしゃりと氷を削る音に包まれていた。




「いっただきまーす…うーん、つめたーい」


郁が食堂のおばちゃんにお願いして用意してあったシロップをかけて、作ったカキ氷をいただく。

手がきのカキ氷は、ふんわりやわらかくて、口に入れると、すっと融ける。
だから、電動のカキ氷機もあるのだが、図書隊では、手動のカキ氷機を借りるのだ。



「教官、おいしいですね」


郁がにっこり堂上に微笑んだ。

と、急に頭を抱えてうなりだす。


「いったーい、いったーい」


隣でカキ氷を食べていた堂上は、あわてることなく、郁からカキ氷の器を取り上げた。


「急いで食うからだ。子供じゃあるまいし、急に食うから頭が痛くなるんだ」


そういうと、堂上は郁の首筋をゆっくり擦り始めた。


「少し暖めれば、すぐ治る」


首を擦られて、少し上を向いた角度が、キスを拒んだときに顎を持ち上げられる角度に近いと気づいた郁は、真っ赤になって、でも、気持ちよくて、しばらくそのまま、堂上に首を擦られていた。



「ああ、お酒持ってくればよかった~」


ざくざく、カキ氷を崩しながら柴崎が呟く。
小牧は苦笑して、大きく頷く。


「そうだね。暑いからせっかく涼んだのに、熱くなっちゃったからね」


そうそう、その漢字ですよね、と柴崎は笑った。
隣で、手塚は、どんな感じだよ、と柴崎をつつくが、柴崎は微笑むだけで答えることはしなかった。

しゃりしゃりしゃりしゃり…

涼しくて、ひんやりするのに、とっても暑かった、夏のある夜の出来事。


fin.



あとがき

こんなに暑かったっけ、夏って。
な、毎日ですが、みなさま、お元気でお過ごしですか?

暑いと食べたくなるのが、カキ氷です。
食べると頭直結で冷えちゃうので、半分も氷の状態で食べることはできませんが
気分的に夏って感じでいいですね。
梅酒だったら最高なんだけど、笑。

手塚って結構こういう爆弾発言すると思います。
的確に状況を読み取る力はあるけど、それがどういうことを意味するかってにまでは考え及ばないっていう。
かわいいヤツです。

暑くてカキ氷が食べたくなって書きました。
推敲してなくて、書きっぱなしなので、訂正するところがあるかもしれません。

読んでくだっさってありがとうございました。

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あずきミルクが好きv
亜生さんこんばんは。
武蔵野第一図書館は色々イベントがあって楽しそうですねv
かき氷は大好物ですが、寄る年波に負けて最近は一気食いは無理になりました(ヨボヨボ)
自分は自宅で作って食べる事が多いですが(外のパーラー等のフラッペは量が多過ぎると言うか、アイスやらフルーツやらでボリュームがあり過ぎるので注文出来ません;;)一番好きなのはゆであずきとコンデンスミルクの組合せです。
夜店などで売っているシロップだけのシンプルなのも好きですが、外のはシロップがかかり過ぎててちょっと甘いですね。
郁ちゃんはきっと真赤なイチゴ味。そして凶悪にも「色、ついてないですか?」とか言って、教官に向かってベロ出して見せたりするんですよ(←言いがかりです)
教官も大変ですねv
涼しげなのに熱っついお話、ゴチソウ様でしたv
鉄砲玉 EDIT
at : 2008/07/18(Fri) 02:08:21
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プロフィール
HN:
亜生(あおい)
性別:
女性
自己紹介:
関東の片田舎に住む。
典型的 O 型人間。
せっかちなのにのんびりや。
好物はハチミツと梅酒。

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