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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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暑さに頭の中でキャラたちが、好き勝手遊んでいます…
走るなよ、そんなに…五月蠅んだよ。
そんなに遊びたいんか、キミたちは。

暑気払いということでご笑納いただけたらうれしいです。
R18 ではないんですが、内容的に大人の方に笑っていただきたいので、
ここは R18 ということでお願いいたします。
タイトル…これは何度も使いたいタイトルなんですよね~
ということで、Vol.1 っつうことにしといてください。
Vol.2 があるかどうかは、別として、笑。

『教えて、堂上教官!Vol.1』 R18
郁+α 戦争~危機  教えてください!堂上教官!



ばたばたばたばた…


就業時間も終了を告げ、各々が所属事務室へと戻り始める。
廊下はちょっとした混雑を見せる。

その中を、郁は全速力で駆けていた。
後ろから手塚が必死の形相でついてくる。

特殊部隊隊員にとって、その光景は日常茶飯事だったから、特に誰も気に留めようとはしなかった。


ばたばたばたばた…


突然、廊下を走る音が消えたかと思うと、特殊部隊事務室の扉が勢いよく開いた。


「ただいま、笠原一士、合同訓練より戻りました」


やや遅れて手塚もそれに続いた。


「ご苦労…ってお前、その格好はなんだ」


書類から顔を上げた堂上は、ふたりの様子を見て唖然とした。
ふたりとも、合同訓練の柔道着のまま、敬礼をしていたからだ。


「アホウ。訓練が終わったんなら、着替えてから、ここへ戻れ」


堂上は、勢いよくいすから立ち上がって、郁と手塚の前に立った。
手塚は、一歩下がって「すみません」と頭を下げる。
郁は堂上が近づくのを待っていた。


「笠原、聞こえてんのか。聞こえたなら、さっさと着替えて来い」


堂上の怒声が事務室に響いた。


手塚は「笠原、いくぞ」と郁の胴着を引っ張るのだが、郁は動かない。

堂上を真っ直ぐに見つめた。


「堂上教官、教えてください!」


真剣な瞳で、そう問われれば、堂上とて「なんだ」と答えてしまう。


「四十八手を教えてください!」


それがどんな爆弾発言であったとしても…


がやがやしていた事務室が、しんと水を打ったように静まり返った。
時間まで止まったように、堂上はぽかんと口を開けたままだ。


ぶっ…

小牧の上戸が盛大に吹いた。
そして、小牧だけでなく、事務室にいた特殊部隊隊員も、盛大に吹いた。


郁はきょとんとして、くるりとその様子を見回して、もう一度堂上に向き直ると、頭を下げてもう一度言った。


「堂上教官、四十八手、教えてください」


郁の言葉は起爆剤のように、特殊部隊事務室の笑いを加速させた。


堂上は口をぱくぱく、酸素不足の金魚状態で、固まっていた。
小牧は涙目をこすりながら、堂上の肩をぽんと叩くと、郁に向いた。


「笠原さん、突然、どうしたの?」


さすがの郁もこの状況になって、自分がなにかしでかしたのではないかという不安に駆られ始めた。
勢いよく堂上に教えを請うたのに、どうしようかと、思案し始めてしまった。

小牧は視線を郁から手塚に移し、理由の説明を求めた。


手塚はしどろもどろになりながら、防衛部との合同訓練の時の話を始めた。


今日の防衛部との合同訓練は、雨降りだったため、室内で柔道の訓練となった。
防衛部には、若干名だが女性隊員もいることから、郁は女性隊員と一緒に訓練を受けていた。
しかし、案の定、郁の身体能力は防衛部女性隊員を遥かに上回っていて、訓練にならなかった。

では、男性隊員と一緒に…となった。
郁の身体能力は、新人訓練時代に見ているものが多かったから、無難に訓練は終了した。

ところが、訓練終了後、郁を呼び止めるものがあった。
今日の合同訓練を統括していた防衛部の幹部だ。
誰もが、郁が叱責されると思うほど、殺気だっていた。

「ふん…」

続いて出るのは、罵声だろうと誰もが思った。
しかし、続いたのは、せせら笑う声だった。


「なんでもかんでも、投げ技か。堂上に寝技四十八手でも、教わってこい」


ぷっと誰かが吹いた。
郁と同期以外の隊員が、いっせいに笑い出す。

この状況は、どう考えても、特殊部隊を馬鹿にしているとしか思えない。
当事者ではない、見ているだけの手塚でも、その空気を感じた。


郁はかっとなって

「わかりました。四十八手、覚えてきます」

と啖呵を切って、そのまま、特殊部隊事務室まで走った、というわけだ。



小牧は幹部の名が手塚の口から出た途端、眉間に皺を寄せた。
堂上も「ちっ」と舌打ちをする。

上官ふたりのらしからぬ様子に、手塚は一瞬戸惑う。
郁もどうしようか、おろおろし始めた。


そこへ入ってきたのは、玄田と緒形だ。
事務室の異様な雰囲気を感じた緒形は、手近にいた特殊部隊隊員に事情を聞いた。
それはすぐさま玄田にも伝えられた。


郁は、居た堪れず、小さく丸まった。
手塚も言葉をなくして、ただ立っていた。


沈黙を破ったのは、玄田だった。
いつもと変わらぬ豪快な笑い声を上げた。


「なんだ、笠原、お前知らんのか?」


郁は、玄田の笑顔を見て、はあ、とぽりぽり頭をかいた。


「柔道は体育の授業で簡単な技だけ習いましたから、四十八も知りません」


がはは、と玄田は笑って、がしがしと郁の頭を揺すった。


「お前、からかわれたんだ」


ここで、焦ったのは、堂上だった。
玄田の性格はいやと言うほど身に沁みて知っている。


まさか、本当のことをここで、笠原に伝えるのか?
まさか、俺に教えろって言うのかーーー!


知ってか知らずか、玄田がにやりと堂上に笑いかける。
堂上は天を仰いだ。


「柔道の技は、投技 67 本、固技 29 本だ。そいつは、相撲の技の数と柔道の技の数を間違えたんだろうな。相撲の技は表 48 手、裏 48 手、合わせて 96 手と言われているからな」


玄田の言葉に堂上はあからさまにほっとため息を吐いた。


「俺も堂上も、ここにいるたいていの隊員は有段者だ。教わりたいなら、誰にでも教われ。ただ、お前の能力と合わせて考えにゃならんから、全部を覚える必要はない」


「でも、防衛部の人が…」


馬鹿にされてそのまま引っ込むのは性に合わないと、郁が食いつこうとすると、玄田は掴んだままの郁の頭をわしゃわしゃ撫でた。


「ああ、気にするな。あいつは、そうやってタスクフォースを馬鹿にしたいんだ。ここに入れなかった腹いせにな」


まあ、新人恒例行事ってことで、許せ。


「はあ…隊長がそうおっしゃるなら…」


解せない表情をしながら、玄田の一言で、郁は手塚に引きずられるように、着替えるために事務室を出て行った。


と、ここで、この話は終了のはずだった。
が!
しかし!


大人の集団の特殊部隊がそのままで終わるはずがなかった。


「おい、堂上、笠原に四十八手、教えたのか?」


堂上はくわっと目を見開いて、盛大に抗議する。


「教えてません。それに、さっき玄田隊長もおっしゃったじゃないですか、それは相撲の手だって」


玄田は「そうだったかな」ととぼけた顔をして

「まあ、教えてもいいが、業務に支障がないようにしろ」

と一言告げて、隊長室へ消えていった。


「ちょっ、隊長」

堂上の呼びかけはむなしく空に消え、その代わり、にやついた隊員たちに囲まれた。


「堂上、教えるのか?」

…… 何をですか!

「郁ちゃん、お前より上背あるからなあ…大丈夫か?」

…… 何が大丈夫なんですか!

「でも、郁ちゃん体柔らかいし、ばねあるから、案外大丈夫かも、な」

…… だから、何が大丈夫なんですか!


隊員の一言一言に過剰に反応する堂上を、ここぞとばかりに突いてくるのは、さすがタスクフォースだ。


だれしもが、防衛部幹部の言動に怒りを覚えている。
毎年、なんやかんやで、特殊部隊の新人が、合同訓練で彼に傷つけられて帰ってくる。

自分がタスクフォースに選ばれなかった腹いせで。

しかし、そんなことにこちらがまともに反応していたら、相手の思う壺だ。

言わせたいやつには言わせておけ。
俺たちは俺たちのやるべきことを全うするだけだ。

大人の集団の特殊部隊は、さらりと流して、日々を送るのだ。


それが、今年はターゲットが郁になってしまった。
それは、いつも以上に特殊部隊の怒りを買った。

これから防衛部との合同訓練時にそれがどう影響するか、考えると頭が痛くなる。


堂上はやんややんやと未だにうるさい外野をぼんやり眺めて思った。


「ねえ、はーんちょう」


ようやく上戸が納まった小牧が、堂上の肩にのぺーっと圧し掛かった。
小牧が「堂上」ではなく「班長」と呼ぶときは、要注意なのだ。


「いつか、教えるんでしょ、四十八手」


耳元でささやかれ、堂上はぶほっと吹いた。


「ばかやろう。教えん。絶対、教えん」


くすくす笑いながら、小牧は堂上の背中から離れる気配はない。


「そう?レパートリー増えて楽しいと思うけどなあ」

なんのレパートリーだ!


くすくすと耳元で笑う小牧に思い切り拳骨を落として、堂上は自分の机に戻り、書類を片付け始めた。



郁のあの様子だと、四十八手などまったく知らないだろう。
そのほかのことも、まっさらなのだろうと、堂上は思った。


真っ直ぐに前を見るあの瞳が曇らぬように。
キラキラと綺麗なものだけを見ていられるように。
俺はあいつを守りたい。


「俺は何を考えているんだ」

堂上はひとり呟いて、事務室の入り口を見つめた。



ばたばた、と廊下を走ってくる音が聞こえる。


入ったら、説教だな。


苦笑を浮かべて、堂上はゆっくりと席を立った。


fin.



あとがき

ギャグを書こうと思ったのに、中途半端だあ!!!
めちゃくちゃ笑わせたかったのに~!!!

ぎりぎり歯軋り状態です。
めちゃくちゃ馬鹿っ話にしたかったんですよ。
よくある「四十八手」のお話ですから。
それなのに、大人なタスクフォースのみなさんは…ステキです♪

女の子一人だと、裏用語でからかわれることが少なくありません。
知っていても知らなくても、笑われます。
知ってると「やらしーんだ」知らないと「やだなあ、知らん振りして」って。
今はこういうことはセクハラの対象になっているから、利口な男はしないと思うけど。

図書館防衛部には、こういうやっかみを持った人がいると思います。
特殊部隊を目指してたけど、入れなかった、でも、辞められない。
柵に縛られてる隊員の葛藤、そんなのもあると思います。

暑気払いになればいいのですが…
感想、お聞かせください!心配だあ!
読んでくださり、ありがとうございました。
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いや~
初めましてo(^-^)oナオミといいます☆
しがない通りすがりの者ですが…
あ、ちゃんと21歳ですよ!


布団の中で吹き出させてもらいました(^_^)v
いやいや、私も危うく上戸になりそうに…

こういうパターンは楽しいですね!!(*^_^*)
私も天然言われますが、他人の天然は楽しすぎる…

楽しませて頂きました!

また是非作って下さい♪応援してます!
なおみ EDIT
at : 2008/12/29(Mon) 02:28:26
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亜生(あおい)
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自己紹介:
関東の片田舎に住む。
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