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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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こんにちは。
世の中そこらかしこ、チョコの香りでいっぱいの今日です。
大切な人に気持ちと一緒にチョコを渡せましたか?

久しぶりに土曜日も休みだったちびたちは、張り切って『友チョコ』作りに勤しんでいました。
チョコマーブルパウンドケーキとココアクッキーの二本立て。
パウンドケーキを6本も焼くとさすがに疲れました。
本命チョコはないんだそうで……
ほっとしたような、ちょっと複雑~な母でした。

そんな今日の郁ちゃんを。

『翌年のバレンタインデー』
堂郁   2年目の聖バレンタインデー   渡そうかな?いつ渡そうかな?





去年のバレンタインデーに用意したのは、特殊部隊用の大袋入りの義理チョコレート。
ざらざらと大皿に盛って、事務室にどーんと置いた。
数も相当あったし、これなら全員に行き渡ると思ったのに、隊長の大食らいのせいで堂上の分はなくなってしまった。
その後、いろいろあって、渡せたというか、チョコレートは口に入ったというか。

だから、郁としては、なんとも中途半端で悔いの残ったバレンタインデーだった。

その教訓を踏まえて、今年は抜かりなく準備した。
特殊部隊用の義理チョコは数を倍に増やして、午前と午後に分けて大皿に盛る。
これならば、特殊部隊の全員にチョコレートが行き渡るはずだ。

郁が考えていたのはそこまでだった。
堂上を意識していても、堂上にだけチョコレートを渡すまでの勇気は持てずにいた。


「あんた、教官にはあげないの?」


なにげなく柴崎に問われ、郁はあたふたと答える。


「そ、そんな、教官一人だけになんてあげないよ」

「ふーん、そうなの。堂上教官、今年の新人に人気高いわよ~本命チョコもかなりあるらしいわよ」


業務部情報をちらり教えられ、郁はどきりとした。

去年のバレンタインデーの後、堂上に本命チョコを渡せなかった子がいるらしいといううわさを耳にした。
午前中半休を取った堂上とうまく遭遇できなかったからだというのだ。

それを聞いて、郁の心はざわめいた。
ざわざわと漣が立った。
けれど、聖バレンタインデーは既に終わっていたから、どうしようもできなかった。
だからといって、今年はどうしようとも考えていなかったのだ。


「そういう柴崎はどうするのよ」


郁の問いに柴崎は面倒くさそうに答えた。


「ん?個人的にはなにもしないつもりなんだけど……」


語尾を濁してはっきり答えない。


「なにかあるの?」

「あの広瀬が、面倒くさいこと言い出して」


明らかに家用の荒い口調で柴崎が言う。


「『今年はお世話になった人に特別にチョコ作りましょう』だって。冗談じゃないわ。どうせ義理なんだから、買ったチョコで十分、ううん、十分過ぎるわよ。それを、あいつったらどうしてもあの人に手作り渡したいからってあたしたちまで巻き込んで!!!」


柴崎の勢いに押されて、郁はうんうんと頷くことしかできなかった。


「というわけで、郁、あんたも一緒に手作りすんのよ」

「えええ!あたし、家庭科苦手だよ」

「いいのよ。とにかく一緒に来なさい」


そんなわけで、郁は柴崎と一緒に業務部の同期と一緒に手作りチョコを作る羽目になった。
手作りとはいっても、本命チョコのような手も金もかかったものではなく、市販の板チョコを溶かして容器に入れトッピングするといった、簡単なものだった。
ただ、ひとり、広瀬の特定の人物向けのものだけは、本命チョコ並みの手の込みようだったが。
ここまで自分の気持ちに素直に従って人を巻き込める広瀬を、参加した誰もが尊敬したのだった。

そして、郁の手元には、手のひらサイズの箱に入った4つのチョコが渡された。
それを見て柴崎がにやにやした。


「それ、どうすんの?」

「どうするって……」

「箱を開けて『どうぞ』ってするには4つって数が微妙よね」

「そうなんだよね」

「いっそ『これ』って箱ごと渡したら?」

「そうなんだよね……って誰に?」

「堂上教官」

「ひょっ」


柴崎のストレートな答えに、郁は奇声を上げてしまった。

郁も堂上教官にあげようかなと思っていたのだ。
けれど、それを実行に移すにはかなりの勇気が必要だった。
柴崎に背中を押される格好になっても、やはり戸惑ってしまっていた。


「せっかくだから、渡したら。『お世話になってます』って」

「そうだよね。感謝だよね。お世話になってるんだからね」


一生懸命に自分に言い聞かせるように理由を並べる郁を柴崎はほほえましく見つめていた。


聖バレンタインデー当日。
郁はいつもより早く出勤して、午前分のチョコレートを大皿に盛った。
そして、出勤してくる特殊部隊の先輩たちに、チョコレートを勧めたのだった

ポケットの中には、業務部の同期の子たちと作ったチョコレートの箱が入っている。
時々そっと布の上から触っては、そわそわと堂上の机を見ていた。


「いつ渡そう……」


朝出勤してきた堂上に?
休憩中の堂上に?
昼休み?
業務日誌を渡すとき?


あれこれシチュエーションを考えていると、郁は頭から火が吹きそうだった。
そして、だんだん考えすぎて頭が沸騰してしまった。


「ああ、めんどくさい」

「はいはい。今年もありがとな」


いきなり頭をぽんぽんとされて、郁ははっと我に帰った。
出勤してきた堂上が、郁が大皿に盛った義理チョコをひとつ摘まんでいたのだ。


「ああああ、お、お、おはようございます」


ざざざ、と音がする勢いで後ずさりした郁を堂上は怪訝な顔で見つめた。


「なんだ、お前。熱でもあるのか?」


考えすぎで頭の沸騰した郁の頬は真っ赤だったようで、堂上は心配そうに近づいてくる。
おでこに手を当てそうな仕草を見せられて、郁はさらに焦った。


「笠原、廊下にお前にチョコを渡したいって新人の女の子が列作ってるぞ」


出勤してきた手塚に言われて、郁は事務室の入り口に全力疾走していった。


その日一日、きれいにラッピングされたチョコレートは郁のポケットであたためられ、その日の晩、柴崎が入れてくれた紅茶のお供として、ふたりに胃袋に収まることとなった。

郁が堂上に本命チョコを渡すのは、それから何年か後のお話。


fin.

あとがき
St. Valentine's Day です。
本来の意味は恋人の日だそうですが、日本では女の子が男の子にチョコレートに気持ちを託して告白しちゃう日、ですよね。
今はその意味合いも薄れて、チョコレートを贈りあう日って感じです。
本命チョコより義理チョコや友チョコ、はたまた、自分用のご褒美チョコが大流行です。
みなさんはどんなSt. Valentine's Dayを過ごされましたか?

弓先生の図書館戦争第6巻の一年後のお話です。
せっかく手作りしたのに、渡せなかったんですけどね。
少しずつ堂上を意識する郁ちゃんは、きっと一日中、どきどきで過ごしたのではないかしら。

そして、なにげに郁ちゃんも人気ものに。
新人に人気あると思うんですよね、郁ちゃん。
「もらっちゃいました」
と紙袋いっぱいのチョコレートを持って事務室に入ってきて、先輩たちにやんややんや言われて。
堂上さんにも「よかったなあ」なんていわれて、内心「えええ、あたしもチョコ、渡したいんです」と思いつつ、えへへとしちゃうんですよ。

久しぶりに書いて即のupです。
誤字脱字、表現のおかしなところはこっそり教えてくださいね。
感想もお聞かせください。

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