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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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一雨ごとに 秋近づきつ

一雨が台風の今年は、優雅に雨を楽しめません。
毎回ちょっとどきどき。
気温だけは下がってきていますけどね。

ちょっと悶々としていたので、自己完結させようと思って書きました。
表現じゃなくて題材がR18なのでご注意を。
手柴ファンは皆様それぞれ巨大な夢をお持ちなので、自己責任でお読みくださるようお願いします。


『月白』R18
手柴   別冊Ⅱ事件後  もうすぐ、月が昇るわ。



東向きの窓だったのか。
カーテンが開け放たれた窓から見える空がうっすら白い。


「月が昇るわ」


手塚の胸の上でもぞりと柴崎が頭を持ち上げる。
柴崎の髪を玩んでいた手塚の指の間から、さらりと柴崎の髪が零れ落ちた。


「ああ」


低く返事をして、手塚は起き上がった柴崎の体をそっと自分の胸の上に戻した。
その体に先ほどまでの熱はなく、手塚は引き寄せた柴崎の体をブランケットごと抱きしめた。
柴崎は手塚に身を任せ、手塚の肩にそっと口付けた。





思いは通じ合ったものの、心も体も丸ごとすべてが通じ合うことに、二人はためらった。
柴崎の男性に対する拒絶反応が想像以上だったからだ。

『ハニートラップまがいのことも平気で出来ると思うわ』

そう豪語していた柴崎が、すれ違いざまにわずかに触れた男性に慄く。
無意識に男性から遠ざかろうとする。

自身も予想していたこととはいえ、一番驚き傷ついたのは柴崎本人だった。
事件後のカウンセリングの指導もあり、館内業務では極力男性と接しないよう業務配置された。
本人は不本意だったが、実際に業務をしてみるとその配置が正しかったと誰もが認めざるを得なかった。


そんな業務に気が滅入るのだろう。
柴崎はちょくちょく手塚を誘って外出した。
ランチだったり、夕食を兼ねた呑みだったり。
手塚もそれをわかって、付き合った。

けれどやはり、外泊はしなかった。
どんなに遅くなっても、柴崎は帰寮しようとする。
いくら軽口を叩いて『どこかに泊まってく?』と言っても、その真意は『帰りましょう』なのだ。
手塚の手をぎゅっと握り締めて柴崎の足は自然と寮に向く。

だから、手塚は柴崎の気持ちに従って、そのまま寮への道を歩いた。


もうひとつの障害は柴崎の不眠症だった。
もともと眠りの浅い柴崎は、今回の事件でその眠りがさらに浅くなっていた。

「予定より早いけど、一人部屋にしてあげるわ」

加害者の水島と一緒に暮らしていた部屋では事件のことを思い出してしまうだろう、という寮監の采配で、柴崎は一人部屋に移った。
誰かとおしゃべりしたい気分にもなれないし、人に気兼ねしない一人部屋は快適だった。
浅い眠りを除けば。

睡眠剤を処方しようか、とカウンセリングで言われたとき、柴崎は拒否した。
本当は睡眠剤に頼ってしまえばどんなに楽になるだろうと思った。
でも、自身のプライドがそれを許さなかった。

『負けるものですか』

男性恐怖症に不眠症。
それと必死に戦う柴崎だった。

手塚はそれを間近で見、感じていた。

一歩踏み込むべきなのか?

手塚は迷っていた。



ある晩のこと。

夕食を兼ねた呑みで、柴崎が眠り込んでしまった。
前日お呼ばれした堂上家のことを手塚に面白可笑しく話している最中だった。
気心知れた親友との会話がよほど楽しかったらしい。
婦人になっても女子力で柴崎には敵わない親友は戦い疲れた柴崎の心を癒してくれた。
それを温かく見守ってくれたのは、入隊時からずっと信頼している上司だ。

手に入れた恋人のポジションでも歯の立たない堂上家のポジションに、手塚は少し嫉妬を覚えた。

呑みの場所が基地から遠かったこともあり、手塚は近場のシティホテルに宿を取った。
やましい気持ちは一切なかった。

翌日が休みだったこと。
不眠症と告げられていた柴崎が気持ちよさそうに眠っていたこと。

単純にそれが理由だった。



そっとベッドに柴崎を下ろす。
はだけた胸元や乱れた足元が気にはなる。
でも、気持ちよさそうな表情の柴崎に手を出そうという気持ちに手塚はならなかった。


「少し眠れよ」


そう声をかけて、手塚はシャワーを浴びに浴室に向かった。



浴室から戻ると、ぼんやりこちらを見つめている柴崎を目があった。


「悪りぃ、起こしたか?」


がしがしとタオルで髪を拭き、隣のベッドに腰を下ろした。
柴崎はそれを黙って見ている。


「起きてんのか?」

「ううん、まだ眠りの途中」

「そうか……なら、寝ろ」

「……」


会話はそこで途切れた。
お互い視線を外さず見つめたまま。

どのくらい経っただろう。
手塚がベッドを降りてゆっくり柴崎のベッドに近づいた。


「何もしないから、寝ろ」


柴崎の髪に手を伸ばし、ゆっくり梳く。
さらさらと手塚の指の間を柴崎の髪が流れる。


「……」


無言で柴崎の腕が伸びて手塚の腕をつかむ。
腕をつかんだ手はそのまま手のひらにすべり、手塚の手を頬へと導いた。


「して」


小さく告げる。
頬に沿わせた手のひらに口付けが落とされる。
そして、もう一度小さな声がする。


「してよ」


手塚の指が柴崎の口に吸い込まれた。
くちゅりと音がした。

手塚が天を仰いで大きくため息を吐いた。


「ね」


ゆっくり下ろした視線がぶつかったのが合図だった。
手塚は柴崎の体の上に自身の体を下ろしていった。


手塚に翻弄されながら柴崎は嬉しかった。
上に圧し掛かった手塚の体重が自分にかからないようにと気遣いがあることに。
柴崎の小さな声にすぐに声をかけて確かめてくれることに。
ひとつひとつの行為を愛しむように確かめてくれることに。

だから無意識に聞いたのかもしれない。


「ねえ、あたしのこと大事?」


返ってきた答えに柴崎は泣いた。


「大切すぎて困る」


自分の体の下で揺蕩う小さく細い体を手塚は壊れ物を扱うように抱いた。
指ひとつ動かせば、その体は身じろいで吐息を漏らす。
漏れた吐息ひとつも大切で、零すまいと口付ける。

壊さないように。
逃がさないように。

柴崎に施す行為一つ一つが大切だった。
愛おしくてたまらなかった。

小さな悲鳴を上げて柴崎はその意識を手放した。
胸元に柴崎を受け止めて、手塚は全身全霊で彼女の体を抱きしめた。

「なにがあっても守るから」

そう誓って、もう一度柴崎の体を抱きしめた。




fin.

あとがき
手塚初めて物語Ver.1です(続くのか?は本人も知らず)
あの事件後、どうやって肉体的距離を縮めたのか、考えちゃった結果です。

柴崎がいくら強くても、いろいろ大変だったと思うんです。
郁ちゃんのときみたいに「触りたい・触られたい」って思っても簡単じゃないだろうなって。
手塚はきっとずっと柴崎の気持ちを待っていてくれると思いました。
だから、柴崎が宣言して結ばれると思いました。

文章というものは書かないとそのレベルはどんどん下がるものだなあ、と感じています。
すごくヘタになったもの……

皆さんからいただく感想が書く燃料になっています。
感想などお寄せいただけると嬉しいです。
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