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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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カミツレデート記念日ですね。
記念日にはやっぱり記念のお話を書きたくなります。
書きなぐった感じですが、よろしければ読んでやってください。

試験的に記事ごとに拍手をつけてみました。
このほうがコメント送りやすいかな?
様子みます。

『Buvons du thé de vous et la camomille.』
堂郁   正化35年1月15日   忘れるわけがないだろう。


「うっわあ、今日も新聞、すごいですねえ」

「お前あんまり読むなよ」

「それどういう意味よ。あたしだって新聞くらい読みます」

「読んで新聞ぶった切ったの、どこのどいつだ」


本日の新聞をバインダーに綴じる作業をする郁と手塚の不毛な言い合いが先ほどから続いていた。
手塚の突っ込みに郁は返す言葉もなく、あっかんべーを返して新聞のバインダーを所定の位置に設置した。

今日は正化35年1月15日。
敦賀原発テロ事件からちょうど一年だ。
このテロを発端として当麻事件が起こり、メディア良化法に対する世論に変化が起こった。
そのため、ここ数日、新聞を含む出版物はどれもこの事件を大きく扱っていた。
良化委員会、図書隊、どちらへも賛否両論の意見が掲載されて、以前図書隊が通り魔殺人事件への捜査協力を拒否した際の世論非難記事に激怒して新聞を真っ二つに破ったことがある郁は、記事にいちゃもんをつけたりしていたのだ。
もちろん、図書隊員としての良識も常識もあの頃とは格段の差がある。
記事を冷静に見る経験も積んだ。
それでも、時折、郁の良識を逆撫でする記事に遭遇しては、感情が露わになり、手塚に注意されることになるのだ。


「そうそう、気をつけようね。今日は良化隊も来てるからねえ」


爽やかに言ってのけるのは、小牧だ。
郁と手塚の不毛の言い合いを物見湯山で見物していたのだ。

小牧の言葉に郁は慌てて窓際に駆け寄り、外を見た。
良化隊の目的が図書隊に対するけん制であることは明らかで、隠れるどころか堂々と正面で睨みを利かせていた。


「はあ、これじゃ、今日は外出、無理かな?」


大きなため息を一緒に言葉が零れ落ちた。

社会的には、原発テロから一年、良化法の賛否が大きく問われることになった大きな事件が起きた日だ。

しかし、郁にとっては、それよりもなによりも、堂上と初めてデートした記念すべき日だった。

待ち合わせをして、一緒にカミツレのお茶を飲んだ。
どきどきしていて、食べたものの味は覚えていない。
ただ、一緒にいた堂上の柔らかな優しい表情だけ覚えている。


「あーあ、どうして今日なんだろうなあ」


郁は窓枠に頭をつけて、恨めしそうに立ち並ぶ良化隊を睨みつけた。
と、頭上から怒声が降りてきた。


「笠原、なにさぼってる!」


ほぇ、と上を見ると、拳骨を用意した堂上がいた。
慌てて、直立不動の体勢を取り、敬礼をする。


「すいません」

「お前、今日がどういう日なのか、わかってるのか?」


「わかってます」と口を尖らせて郁が答える。


「さっさと自分の業務に戻れ」


郁の答えを聞いて、堂上は踵を返して自分の持ち場へと戻っていってしまった。


「そりゃあ、今は仕事中だし。今日は良化隊も来てるし。わかってますよーだ」


郁は堂上の背中に、いーと送り、手塚の袖を引っ張って自分の持ち場へと戻っていった。


マスメディアの騒ぎとは裏腹に、図書館内は冬休みの喧騒もなくなり、普段と変わらない静けさを取り戻していた。
図書基地付近の物々しさに利用者もおとなしかった。

その日一日が淡々と過ぎた。
けん制しあう良化隊と図書隊も閉館時間を過ぎると、図書隊の通常警備を残して撤退していった。
朝から張り詰めていた図書基地のあちこちから安堵のため息が聞えた。


特殊部隊の事務室にもほっとした空気が流れていた。
この一年で、良化隊と図書隊がお互いに歩み寄ったとはいえ、どこで道を逸れるかわからない。
しかし、重装備を解いた隊員たちは自ら手にしていた武器を使用することなく保管庫へ返却することに小さな喜びを見つけていた。
これからも、使用することなく返却できるようにと願っていた。


「何も起こりませんでしたね」


日報を書き終えた郁が、堂上に話しかけた。
差し出された日報を確認しつつ、堂上はそれに答える。


「起こらなくていいんだ。起こらないことが未来につながっているんだ」

「そうですね」


ほっとため息を吐いて郁は日報の確認作業をする堂上を見つめた。
そのため息に安堵の色とは違う色が混じっていたことに郁は気づかなかった。

特別な日を特別に過ごしたいと思う乙女心は面倒だ。
社会の中で生きていく限り、自分の特別な日が社会の特別な日に取って代わる事だってある。

そうは思っていても、やっぱり今日『1月15日』は郁にとって忘れることのできない、とても大切で特別な日なのだ。

堂上教官はそうじゃないのかな?
そうだよね、まだあの時は付き合っていなかったし。
部下の昇進祝いの約束って感じだったよね。
でもなあ。

そんなことを頭に浮かべて、郁はじっと堂上を見つめていた。


「それからなあ」


突然顔を上げた堂上と目が合ってしまった郁は真っ赤になって俯いた。
堂上を見つめていたのがばれたからだ。
堂上は赤くなって俯いた郁の頭をぽんとした。


「落ち着いたら、またお茶飲みに行こうな」

「教官……覚えていたんですか?」


郁がうれしそうに、ちょっと驚いて返事をすると、頭に置かれた手が拳骨に変化して下りてきた。


「あほか。俺だって覚えてるわ。忘れるわけないだろう」


いてて、と頭を抑えて郁は小さく「よかった」と呟いた。
堂上は拳骨を落とした郁の頭をわしゃわしゃして、大きく「ああ」と頷いた。



fin.


あとがき
カミツレデート記念 SS です。
タイトルはおしゃれに仏語で「あなたとカモミールティを飲みましょう」です。

一年後の設定です。
原発テロを発端にした当麻事件。
一年という節目に、メディアは良化委員会にも図書隊にも注目します。
だから、せっかくの記念日なのにどこへも行けずにぶーたれる郁ちゃんです。
「付き合う前だから、きっと教官は覚えてないよね。記念日って位置づけじゃないよね」
なんて郁ちゃんは思っているんだけど、堂上さんはしっかり覚えています。
「女はこういう特別な日は大事なんだろう」とか言ってくれそうです。

さてさて、問題はここからです。
最後のやり取りの場所を覚えておいでですか?
そう、特殊部隊事務室なんですよ。
駄々漏れの二人がこんな会話をしていたら、特殊部隊の方々はそりゃもう遠巻きに生温かく見守りますよね。

「そういや、あいつら、初デート中に呼び出されたんだったな」
「戻ってきたとき、手ぇ繋いでたんだよな」
「堂上、機嫌悪かったよな」
「そうそう、怖かったよな」
「笠原はぽーっとしてたけどな」
「かわいかったよな、郁ちゃん」

なんて会話が、笑。

この夜は隊舎裏に呼び出されて……お決まりですね!
郁ちゃんからカミツレデートのことを根掘り葉掘り聞き出してる柴崎からの差し入れには

←これをお薦めしたい。
「熱冷まして帰って来てね。あんた、火照って帰ってくるんだから、暑くてたまんないわよ」
って柴崎が減らず口を叩いてくれるといいなあ。
郁ちゃん、真っ赤になってペットボトル引っつかんで飛び出していくんだよ、くすくす。

読んでくださりありがとうございました。
感想をお待ちしています! ↓ に拍手を置いてみました。

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