図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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今年は五月晴れが少なかったように思います。
それに「暑っ」て日もまだあまりないし。
時の歩みがゆっくりになっているんでしょうか?
更新も止まりとまりなここに、いつもいらしてくださりありがとうございます。
書きたい衝動が穏やかになりつつあるんですが、でもやっぱり、書きたいと思えるときもあるので、
こんな状態を続けることをお許しください。
お散歩に行って見つけたシロツメクサ。
ふと思い出す幼い頃の情景。
『シロツメクサの約束』
堂郁 危機 昇任試験後の春 シロツメクサの花言葉。
それに「暑っ」て日もまだあまりないし。
時の歩みがゆっくりになっているんでしょうか?
更新も止まりとまりなここに、いつもいらしてくださりありがとうございます。
書きたい衝動が穏やかになりつつあるんですが、でもやっぱり、書きたいと思えるときもあるので、
こんな状態を続けることをお許しください。
お散歩に行って見つけたシロツメクサ。
ふと思い出す幼い頃の情景。
『シロツメクサの約束』
堂郁 危機 昇任試験後の春 シロツメクサの花言葉。
日差しもだいぶ強さを増してきた五月。
緑色のじゅうたんを敷き詰めた、図書館の前庭には、太陽の陽に負けない元気な子供の声が広がっていた。
その真ん中にいるのは、郁だ。
子供たちに囲まれていきいきとしていた。
秋の昇任試験で好評を博した自然観察教室は、児童室の定番となり、郁も担当に組み込まれていた。
「ここの芝生、あした、シルバーボランティアの方たちが綺麗に刈ってくださるから、今日は草、取り放題だよ」
郁の声は、その声量以上に遠くまで届く。
外警に出ている堂上のところにも届くほどに、だ。
「元気ハツラツだね」
堂上のバディの小牧がくすりと笑う。
郁が自然観察教室の担当の日は、堂上班は堂上と小牧がペアを組む。
手塚は郁の助手として貸し出されるからだ。
「うるさい」
小牧の言葉にぽつりと堂上が返事を返す。
「そんなこと、思ってもいないくせに」
小牧は肩を震わせた。
堂上が遠くから郁の姿を見て、ほほえましく温かいまなざしで見つめていたことは内緒にしておいたほうがよさそうだ。
堂上と小牧がそんなやり取りをしているとは知らない郁は、芝生の上に座り込んでいた。
図書館の芝生は、観賞用ではないため、人の出入りの制限はない。
ところどころ踏み固められ、獣道のようになってしまっているところもあるが、草は関係なしに生えている。
雑草強し、である。
純粋な芝生ではないから、いろいろな名も知らぬ雑草が入り込んでいる。
その中でひときわ目をひくのは、シロツメクサだ。
他の草より一段濃い緑の葉に白い花。
三つ葉の葉の中に、時々見つかる四つ葉は、幸福のシンボル。
白い花は、女の子の草遊びの格好の素材だ。
芝生の上に座り込んだ郁は、女の子たちにシロツメクサの花で作る花冠や指輪を教えていた。
「茎はなるべく長く摘んでね」
作り始めこそ、郁が手伝いをしていたが、幼子の手は器用に花を編み出した。
「上手だね」
「郁ちゃんも上手」
「えへへ、そう?」
「子供に褒められて、喜ぶな」
堂上の心の声は駄々漏れで、先ほどから小牧の肩はゆれっぱなしだ。
「郁ちゃん、とめて」
「はい。どうぞ」
作った指輪を指にとめたり、花冠の最後の始末をしたり、郁は忙しく動いている。
助手として一緒にいる手塚は、ボール遊びに興じる男の子たちからシロツメクサの花畑を守ったり、出来上がった花のアクセサリーを見せに来る女の子たちに使い慣れないお世辞を言っている。
何気ない光景だが、見るものが見ると珍しい光景に見える。
「あら、珍しいもの見ちゃったわ」
都合よく現れたのは、柴崎だ。
子供と遊ぶうちに時間の観念がなくなってしまう郁に、自然観察教室の終了時間を告げにきたのだ。
その役目は、図書館業務部の誰でもいいもので、つまり柴崎はその役目を体よく奪ってきた、というわけだ。
「ああ、もう終わりなんだ」
小牧が柴崎と時計を見て呟く。
「放っておいたら、一日中ああしてそうですもの」
柴崎はにっこり微笑んで、郁たちの方向へと歩みを進めた。
郁の周りには、シロツメクサの花のアクセサリーを完成させた女の子たちがそれぞれの作品を見せ合っていた。
小さな手には少々大きい指輪や、がんばりすぎて冠ではなく首飾りになった花冠。
白い春のアクセサリーだ。
柴崎たちの姿を見つけた手塚は、郁に目配せし、自然観察教室の終了を告げた。
すると、一人の女の子が郁の前に花指輪を差し出した。
「これ、郁ちゃんにあげる」
「ママにあげるんじゃなかったの?」
「いいの。ママはきれいな指輪、たくさん持ってるから。郁ちゃんはなんにもないから、あげるの」
そうか、この子のママはいつも指輪してたっけ。
あたしは、指輪なんてつけてできる仕事じゃないし……
女性の心には少しぐさりと刺さる言葉だったけれど、子供は率直に気持ちを伝えただけだ。
一瞬翳った表情をすぐに笑顔に戻して、郁は「ありがとう」とその指輪を受け取ろうとした。
「つけてあげる。手、出して」
郁は言われるままに手を差し出した。
小さな手は、おそらくその子の母親はいつも指輪をつけている指であろう薬指に、花指輪をつけようとした。
しかし、指に茎をまきつけるまではできても、そこから縛ることがなかなかできない。
シロツメクサの茎は割と丈夫だが、何度もぐるぐる巻くと、だんだんその弾力をなくし、今にも切れてしまいそうな様相になってくる。
出来上がった指輪を簡単にとめていた郁も、さすがに片手ではとめることもできない。
その場にいる子供たちの集まる視線と、泣き出しそうな女の子。
思わず手塚が手を出しそうになったとき、バランスを崩しながら堂上がその輪の中に飛び込んできた。
手塚が驚いて堂上が来た方向を見ると、柴崎がくすくす笑っている。
コイツが堂上教官の背中、押したんだな。
目で会話を成立させた手塚は、出した手を引っ込めて、静かに輪の外に出た。
「かしてみろ」
ぶっきらぼうに郁の手を掴むと、堂上は器用に郁の指に花指輪をとめた。
泣きそうだった女の子は笑顔を取り戻し、集まった子供たちは「きれいだね」と微笑みあった。
「妹にもよく作らされた」
言い訳のように堂上は呟いて、郁の花指輪を一撫でした。
郁は真っ赤になって俯いていたが、その視線は花指輪に注がれているのは一目瞭然だった。
「さあ、今日の教室はこれでおしまいよ。お母さん方がロビーで待ってるわよ」
ぱんぱんと手を叩いて、柴崎が子供たちに帰宅を促した。
子供たちは「はあい」と元気よく返事をして、図書館のロビーへと駆けていった。
その後姿を見送った柴崎は、もう一度ぱんぱんと手を叩いた。
「はいはい、そこもおしまいよ」
指輪をとめてもらったままの格好で固まっていた郁と、その郁を見つめたまま固まっていた堂上は、びくりと顔を上げた。
「いやあ、班長の珍しいもの見さしてもらったよ。ありがとね、柴崎さん」
「どういたしまして。あたしも女の子にお世辞言う手塚っていうレアものを見れてよかったです」
三角の棘付きの尻尾が振られていそうな二人に、手塚は大きくため息を吐いた。
我に返った郁は、ぼんと音がしそうな勢いでさらに頬の赤みを増して、柴崎のところへどかどかやってきた。
けれど、柴崎に投げる暴言が思いつかず、口をあわあわさせたままだった。
その様子を柴崎は、楽しそうに嬉しそうに見ていた。
シロツメクサの花言葉は『約束』
まだお互いの気持ちを知ることのないふたりが、シロツメクサの花指輪の約束で結ばれるのは
これから何年も先のお話。
その先のお話を想像して、小牧はふたたび肩を震わせていた。
fin.
あとがき
この春は外遊びする子供がとても少なかったです。
原発の影響かと思われます。
よく利用するスーパーのお隣に大きな芝生の公園があります。
きれいに手入れされているんですが、そんなところでも強いのがシロツメクサです。
おしゃまな女の子たちが花冠をつけて、おひめさまごっこしていました。
きっと図書館の庭でもそんな光景があったんじゃないかな、と思って書きました。
堂上さんは妹さんに、小牧さんは毬江ちゃんに、花冠を作ってあげたことがあると思います。
郁ちゃんも一応、作って遊んだこともあります。
手塚は……なさそうだな……
そのかわり、いつも誰かから花冠をもらっていたのではないかと思います。
だから、今日もおしゃまな女の子から花冠をむりやり乗せられてると思います。
でもって、それを柴崎にからかわれます「あら、王子様みたい」って。
すると手塚、花冠を取って、柴崎の頭に乗せます「お前にやる」って。
柴崎、一瞬驚くんだけどすぐに「ありがとう。似合う?」っていうんですよ。
手塚、ぐっと詰まって「似合う」って呟きます。
なんてね~
このネタは小毬でも書きたいなあ。
毬江ちゃんがすっごくかわいいだろうなあ。
久しぶりに書きました。
書いたままのupなので、誤字脱字などいろいろあるかと思います。
あったら、そっと教えてくださいね。
感想などお待ちしています。
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プロフィール
HN:
亜生(あおい)
性別:
女性
自己紹介:
関東の片田舎に住む。
典型的 O 型人間。
せっかちなのにのんびりや。
好物はハチミツと梅酒。
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