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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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かの有名な「レタスサラダ」のお話です。

レタスが美味しいのって、やっぱり春から夏だと思います。
ちょっとふわふわした巻きのものを選ぶのがコツだと八百屋のおじいさんが教えてくれました。

降りてきたパターンがふたつあったので、こちらは 堂郁 オンリー。
別パターンはまた。


『Lettuce Salad 』
堂郁 革命エピソード 新婚ホヤホヤ時代




夕暮れの道を官舎へと急ぐ。

特殊部隊事務室の堂上の行動予定表はすでに「帰宅」とあったから、
今日は洗濯物と後片付け担当だな。

と郁は帰宅してからの動線を一生懸命描きながら、
官舎の階段を一段飛ばしで駆け上がった。


「ただいまぁ」


部屋の扉を開けると、窓から部屋を突き抜けて、風が吹いてくる。
先に帰った堂上が換気のために、窓を開けていたためだろう。

その風に乗って、晩御飯の匂いが運ばれてくる。


「カレーだぁ」


堂上の作るカレーは美味しい。
郁もカレーは作るのだが、同じ市販のルーを使っていても、
まったく味の違うカレーが出来上がる。

隠し味が違うのだろうか?

疑問は行動で解決、の郁は、何度かさまざまな隠し味に挑戦した。
コーヒーやチョコレートはまだ一般的だとしても、マシュマロやキムチというのは
いかがなものだろうか?
とても堂上には伝えられない「隠し味」も試したのだが、
堂上の作るカレーの足元にも及ばなかった。


「お疲れさん。先週、安売りのたまねぎ買い込んで、炒めてペースト作っておいただろう。
それを使った。サフランライス付だぞ」


キッチンから堂上の明るい声が聞こえた。

楽しみぃ、と返事をして、洗濯物を干しあげる。
夕刻の風がやさしく洗濯物を揺らした。


「お洗濯終了しました」


ふざけて敬礼付でキッチンの堂上に報告する。
食器を並べようかと、キッチンへ入ると、シンクにレタスがころんと転がっていた。


「レタス、サラダにするの?」


「ああ、そのつもりで出したんだが、もう少しカレーにかかりそうだから、
郁、悪いが、レタスをちぎってくれるか?」

はあい、と答えて、郁はレタスを洗って、ボウルにちぎり始めた。

レタスをちぎりながら、今日の報告をする。

自分の新人時代を棚に上げるつもりはないが、年齢差分だけ、新人について愚痴も出る。
大切なことを大切に伝えているのに、それをないがしろにする。
その結果、自分が不利益を被ると、教官の指導に問題提起する。
良くも悪くも、郁が担当している新人たちは、弁が立つものばかりで、
やり込められる場面が多々ある。
短絡思考はすっかり影を潜めた郁でも、まわりに聞こえるほどに切れることもしばしば。
特殊部隊では懐かしさも手伝って、先輩方が笑ってフォローに回ってくれていた。


一日の行動を頭の中でトレースし、要所要所で堂上に同意を求めることで、
郁は自分の教官としての一日を消化するのだった。


「俺の大変さが身に沁みてわかっただろう」


意味深に微笑む堂上に、郁は頬を少し膨らませて、でも柔らかな微笑を返した。


「ところで、郁」


カレー鍋の火を止めて堂上は郁に向き直った。

サラダ手伝ってくれるのかな?

郁は暢気に「なあに」と返事を返した。


「我が家は何人家族だ?」


幼稚園児だってためらわずに答えられる質問をぶつけられて、
郁はあははと笑いながら答えた。


「篤さんとあたしのふたりでしょ」


指差呼称して答えると、堂上はうんうんと頷く。


「なら聞くが、これは何人前だ?」


堂上は郁がちぎっていたレタスの入ったボウルを指差した。
そこには、山盛りになったちぎられたレタスがあった。


「きゃああああ。レタスが増えた」


ぽかんと郁の頭に拳骨が落ちた。


「ばかもん。レタスが自然に増えるかー。増えるワカメじゃあるまいし。
お前、一玉全部剥いちまったんだ」


あれが、これが、と愚痴をこぼしている間、
郁の手は休まずに「レタスをちぎる」業務を全うしていたのだった。
結果、一玉のレタスは、すべてちぎられた、というわけだ。


「どうしよう。こんなにたくさん…サラダの具材、ほかにもあるんでしょう」


おろおろする郁の頭を、堂上はぽんとして、微笑んだ。


「まあ、いい。今夜のサラダはレタスサラダといこう。
今の俺たちには似合いだしな」


言葉の最後を振り向きざまに呟いて、堂上はさっさとレタスを、
家の中で一番大きな器に盛り付けた。


耳まで赤くして、どういう意味なんだろう…


堂上の最後の言葉をぶつぶつ呟きながら、郁はおなかの虫には勝てず、
堂上と一緒に夕食の準備をした


「篤さん、ドレッシング、なにがいい?」


冷蔵庫を開けながら、和風とイタリアンとゴマがあるけど、と訊ねると
リビングからは「塩でいい」と返事が返ってきた。


「篤さん、レタスサラダ、塩だけでいいの?」


青虫みたい、と笑って郁がテーブルに座ると、さっき赤くなった耳をさらに赤くして、
ついでに視線を完全に郁から外して、堂上がぼそぼそ話し始めた。


「レタスサラダってレタスだけだろう」

「うん」

「レタスだけって英語で言ってみろ」

「えっと…レタス オンリー?」

「そう」

「ふうん…で?」

「ゆっくり言ってみろ」

「レタス オンリー」

「もっとゆっくり」

「レ タ ス オ ン リー」

「レット アス オンリー」

「レット アス オンリー?どういう意味?」

「Let us only ふたりだけにして」


ぼそりと呟く堂上の顔はすでにテーブルにつくくらいまで落ちている。

郁は「ふーん、そうなんだあ」と天井を見上げて、その意味を租借した。


一瞬の間の後、郁のすっとんきょうな叫びがあがった。


「篤さん、それってそれって…」

「別名、ハネムーンサラダとも呼ばれてる」

「えええ、やっだー」


テーブル越しに堂上の肩にばしんといい音が響く。
郁の手が、堂上の肩を叩いた音だ。
堂上はその郁の手をつかんで、ゆっくり自分の口元へと運んだ。


「やだ、はないだろう、やだは」

「ごめんなさい。改めて言われると、すごく恥ずかしい」

「この手の話は女のほうが得意だと思っていたのは、俺の思い違いだったか?」


郁の手にそっと口付ながら、堂上が上目遣いにからかう。


「たぶん、間違ってない、と思う」


女としての認識を問われ、自信を持って頷けるほど、郁に女の自信はない。
ただ、あるのは、堂上を心から愛しているということだけだ。


「新婚時代なんて、今だけだから、こんな話ができるのも今だけだけどな」


もう一度郁の手に口付て、堂上は郁の手を離した。


「さて、いただこう」


行儀よくいただきますと手を合わせて、ふたりの夕食が始まった。


「篤さん、本当に塩だけで、レタス食べるの?」

「そのつもりだが…」

「ほんとに青虫になった気分だわ」

「ははは。郁はドレッシング、かけてもいいぞ」

「うーん、どうしようかな?」


首を左右に振って、郁は悩んだ。
そんなに真剣に悩むなよ、と堂上は笑った。


「篤さん、ドレッシングいらないって、それも何か意味があるんでしょう」


はたと思いついた考えを口にする。
堂上は口をもぐもぐさせながら、やわらかに微笑んだ。


「ドレッシングをかけないから、ノードレッシングサラダ、ともいう」

「ノードレッシングサラダねえ…で、意味は?」

「No-Dressing つまり 洋服を着ていないということだ」

「裸?きゃあ…って、いやん」

「急に「いやん」いうな。驚くだろう」

「あたしが「いやん」いうと驚くって、それってセクハラー」

「セクハラって、お前…」

「なら、言葉の暴力?」

「なんだって、お前はそう一足飛びに考えが飛躍するんだ」

「…なんでだろ…あはっ」

「笑ってごまかすな。ああ、もういい。さっさと食うぞ」

「はあい。篤さんのカレー、ほっぺが落っこちるくらいおいしい」

「郁の作ったレタスサラダも、腹いっぱい食えてうれしいぞ」

「きーーっ、何たるいやみ」

「ほら、郁も食え。うまいぞ」


Let us only
ふたりだけにして


こうして、甘い甘い堂上家の夜は更けていくのであった。


fin.


あとがき

はじめての図書館戦争二次創作 SS です。すっごくドキドキして書きました。
堂郁は結婚しても、バカップルのままだと思いますし、そうであって欲しいと思います。
堂上の呟きを郁が乙女全開で拾い上げ、郁の呟きを堂上が全力で拾い上げてく、みたいな。

レタスサラダは有名なお話なので、ご存知の方も多いと思います。
英語圏でのみ通用するらしいです。
レタスサラダの英意訳には二通りあります。
「 Let us alone 」 と 「 Let us only 」
どちらも意味的には「ふたりだけにして」というものです。
今回は
「 Let us only 」を使いました。
郁ちゃんレベルだと alone は出てこないかなと思って(失礼千万でごめん)。

こんな感じで、図書館戦争の日々の出来事をひろっていきたいと思っています。

感想をお寄せいただけたら、とてもうれしいです。
読んでくださりありがとうございました。

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初めまして。
アニメを見てから原作5冊を読み、二次創作の存在を知って、それを見たいが為に、今時有り得ない位遅れている私がパソコンを習ってそれ以来毎日有川サーチのサイトのssを楽しく読ませて頂いている俄かファンです。亜生さんのような素敵な文章を読ませて頂ける事本当に嬉しく思います。篤さんの優秀でいて郁ちゃんにベタ惚れな感じがもうたまらなく良かったです。
無知な者でレタスサラダの意味を初めて知りました。娘に聞いたら、家なんかいつもじゃん。と言われてしまいましたが・・・。
これからも高尚で素敵な堂郁話をどんどん書いて下さいますよう宜しくお願い致します。楽しみにしております。
EDIT
at : 2008/06/21(Sat) 18:02:16
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亜生(あおい)
性別:
女性
自己紹介:
関東の片田舎に住む。
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せっかちなのにのんびりや。
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