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図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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風の爽やかさに誘われて外に出たら、じりじりとお日さまに焼かれました。
晩春だとばかり思っていたら、すっかり初夏でした。

住んでいる場所が場所(公共交通機関はバスのみ、それも駅発最終7時)なので、めったに飲みに出ることはありません。
ってか、飲んだら迎えに来てもらうしかない。
タクシーだと一葉さんが飛んでいく。
お酒は好きなんだけどね、笑。

ふと飲み会の帰り道を想像してしまいました。
邦題は『薫風(くんぷう)』
好きな言葉の一つです。

『fragrant breezed』
堂上班+柴崎   内乱~危機   いいわねえ。


後姿を見るのは、初めてかもしれない。

両手をくったりだらんと垂らして揺れている。
小さな声に時々相槌を打つ低い声が混じる。
自分よりずっと上背のある彼女が、小さな幼子に見えてくる。

ああ、女の子だな。

そう思う。



「結局、あいつ、今日も、ですね」

手塚がため息混じりに言う。
小牧は苦笑して「ああ」と頷いた。
ふたりの間を歩く柴崎は「そう」とただ前を見ていた。



こんな日に館外警備だなんて、リゾート気分だと浮かれていた。

「気持ちいいですねー」

笠原が嬉しそうに空を仰ぎ見たのは、朝一番だけだった。
風の爽やかさに騙された。
ぎらぎらと照らす太陽の日にじりじり焼かれる。
吹く風は心地よく、汗は一瞬で飛び去る。
こまめに水分補給していたつもりでも、終業時間を迎える頃には、皆の身体は干からびていた。

「水分補給するぞ」

部屋のビールでは到底満たされないと察した堂上は、特殊部隊事務室に戻るや、宣言した。
小牧も手塚も反対する気はなく、笠原も「アイスもありますよね」と「水分補給」なる飲み会に参加することに依存はなかった。
各々着替えて集合、となった。

笠原が寮に戻ると、柴崎はすでに帰寮していた。
飲み会の話を聞くや「あたしも行っくー」と笠原についてきた。

日が暮れても、じりじり熱された空気が冷めることはなく、暑かった。
行きつけの居酒屋で、ビールを頼む。

……笠原を除いて。

堂上の規制は思いのほか厳しく、柴崎は目を丸くした。
低アルコールのものを笠原に選んでやる堂上の目は優しかった。

いくらアルコール分が低くても、杯を重ねればアルコール量が増えるのは道理で、結局いつものごとく笠原は、ことんと眠りに落ちてしまった。

「うそっ。笠原、あんたこれっぱっかの酒で寝るな」

いくら飲んでも変わらない柴崎は笠原を揺する。
身体を揺すられて一瞬目を覚ました笠原は「にへら」と微笑んで「きょうかん」と甘い声を発して再び眠ってしまう。

「うわあ、この子ったら、いつもこうなの?」

柴崎が笠原と飲みにきたのは初めてではない。
同期同士だったり、女子寮の仲間だったり。
女の子が多い飲み会だと、飲むより食べる。
食べるよりしゃべる。
だから、笠原がここまで飲む場面に遭遇することはあまりなかった。

「たいてい、な」

手塚がいまさらという表情で答える。
特殊部隊の飲み会で見飽きているからだという。

「量的には、今日はまだ少ないと思うよ。でも、喉も渇いてただろうし」

それに……そう言いかけて、小牧は堂上を見やる。
その視線を追いかけて、柴崎は納得の微笑みを小牧に返した。

たわいのない話をして、いい頃合に店を出た。
眠った笠原をそれが当然のように堂上がおぶう。

「堂上教官、慣れてますね」

からかい半分の柴崎に堂上はむすっと「仕方ないだろう」と返す。
そして、そのまま先頭切って歩き出した。
小牧と手塚は柴崎を間に挟んでその後を歩いた。

くったり堂上の背中に張り付く笠原を、堂上は時折振り返るように見上げる。
力なく背中に乗る笠原の身体はずり下がり、それをひょいと背負いなおす。

どの仕草も、穏やかで柔らかで、堂上がどれほど笠原を大切にしているのかがわかる仕草だった。


「かわいい、ね」

ぽつんと柴崎が呟く。
手塚が「なにが」と返し、小牧が「そうだねえ」と返した。

「酔えるっていいね」

柴崎の台詞に手塚がごふっと噴いた。
すかさず、柴崎に肘鉄が手塚に入る。

「柴崎さんは酔わないよね」

涙目になる手塚を小牧がくすくす笑う。

「酔わないんですよね。よっぽどでないと」

「だろうな。お前が酔ったところ、俺はまだ見たことがない」

手塚が憎憎しげに言う。
今日も、手塚の量を柴崎は遥かに超えている。

「得?」

そう小牧が訊ねると、柴崎は小首をこくりと傾けてうーんとうなった。

「時と場合によっては。まあ、下心のある連中に漬け込まれない部分では得ですけどね」

そうだろうな。
お前と一緒に飲んだやつ、たいてい二日酔いだろ。
一緒に飲んでも、お前は爽やかに「ごちそうさま」ってすたすた歩いてるからな。

手塚は同期連中から柴崎を誘った飲み会の話をいやというほど聞かされていた。

「うらやましい?」

誰が、何が。
けれど、小牧はただそう柴崎に訊ねる。

「うらやましい」

素直に柴崎は答えた。

うらやましい。
酒に飲まれてしまうことも。
おぶわれて帰ることも。
どれも、自分には無縁な気がしているから。

前を歩く先輩とその背中に張り付く同僚の姿は、ほんわりとあたたかくてやわらかい。

恋をするとは、こういうことなんだろうか。
人に想いを抱くということは、こういうことなんだろうか。

柴崎はふとそんなことを考えた。

気もそぞろで歩いていたからだろうか。
柴崎は、歩道の段差に躓いた。
小さな悲鳴を上げると同時に、右側からさっと腕をさらわれた。

「大丈夫か?」

腕を掴んだまま手塚が心配そうに柴崎を覗き込む。

「もう、ちゃんとエスコートしてよ。手塚のくせに」

嬉しかった柴崎は照れ隠しに手塚を罵倒する。
けれど、さらわれた腕を離そうとはしない。
触れた腕から伝わるあたたかさが心地よかったのだ。
手塚も無理に腕を離そうとはせず、そのまま帰路を歩いた。

緑深い青い薫風がさらりと皆の頬を掠める。

「気持ちいいね」

小牧が夜空を見上げ、おもむろに携帯を取り出す。
きっと、今のこの気持ちを伝えたいのだろう。
柴崎の隣からすっと後に下がった小牧を柴崎は振り返ることはなかった。
前を歩く堂上と笠原を見守りながら、そっと添えられた手塚の腕に寄り添った。

「今夜はなんだかとっても気持ちがいいの」

「そうか、それはよかった」

柴崎は、薫風を胸いっぱいに吸い込んで、それはそれは美しく微笑んだ。


fin.

あとがき
カップリングを手柴にすればよかった……と後から思いました。
LaLaの特殊部隊飲み会の帰り道の堂郁を見る柴崎を書きたかったんだけどなあ。
柴崎が飲み会に参加したときから、主導権は柴崎に握られていた模様です。

初夏の風は、昼と夜でその装いをがらりと変えます。
湿気の少ないこの時期の風は、さらさらしていて気持ちがいいです。
そんな夜の一コマです。

柴崎は郁の恋模様を見ていて、恋に対してポジティブになっていくといいと思います。
あたたかくて居心地のいいものなんだって。
柴崎のそんな気持ちの変化を、先輩の堂上と小牧はきっと気づいてる。
手塚になんのかんの甘える柴崎のことを微笑ましく見守ってると思います。

ひとりあぶれた小牧さんは、毬江ちゃんにメールしてます。
この頃、毬江ちゃんはまだ未成年なので飲み会には誘いません。
日々の小さな喜びを伝え合います。

書きながらちっとも起承転結にならないので困りました。
書かないと文章って下手になります。
読んでくださってありがとうございました。
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関東の片田舎に住む。
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