図書館戦争に愛を込めて☆熱く語らせていただきます。堂郁、手柴中心二次創作サイトです。
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寒い雨です。
春の雨はあたたかなものだという記憶がどこかにあるのですが、まだ冬のような雨。
春爛漫はまだだなあ。
雨降り、ということで、革命のお話を書きたくなりました。
革命も土砂降りの雨の中で決行されたんですよね。
『だから、お前は』
堂上&小牧(堂郁前提) 革命直後 毎度、すまん。
春の雨はあたたかなものだという記憶がどこかにあるのですが、まだ冬のような雨。
春爛漫はまだだなあ。
雨降り、ということで、革命のお話を書きたくなりました。
革命も土砂降りの雨の中で決行されたんですよね。
『だから、お前は』
堂上&小牧(堂郁前提) 革命直後 毎度、すまん。
靴音の響く廊下を歩く。
『堂上篤』と書かれたプレートの入ったドアを控えめにノックすると、中から返事が返った。
大きな荷物を持ち直して、ドアを開けた。
「よ」
荷物を軽く上げて小牧はベッドの堂上に挨拶をした。
堂上の右足はギブスで固定されて吊られ、腕はまだ点滴に繋がれていた。
「必要なもの、持ってきた」
「悪いな、毎度」
「本当、毎度毎度」
「すまん」
「いや、いいよ」
容態は危険な状態を脱したものの、安静を強いられている。
顔色も青い。
「気分はどう?」
持ってきた荷物をベッドサイドの棚に仕舞いながら、小牧が尋ねた。
「動けなくて死にそうだ」
「ぷっ……死にそうだったくせに」
吹き出して肩を震わせた小牧が顔を上げると、堂上は泣きそうな顔で一言「すまん」と言って、顔を背けてしまった。
「冗談だよ。よかった、みんな無事で」
「ああ、本当に」
ぱたんと棚の扉を閉めて、小牧は枕元のいすに腰掛けた。
「すまんな、いろいろ迷惑かけて」
堂上が言いかけた言葉をさえぎって、小牧は手をひらひら振る。
「迷惑なんて言うなよ。お前はお前の仕事をしたんだから」
「でもな……」
続かない言葉の先を小牧は知っていた。
今まで、何度こういうことがあったと思っている?
堂上の本質が顕わになったためなのか?
そういうときに限ってか、ベッドに縛られる堂上を見る羽目になる。
だから、続かない言葉の先には「自分が悪い」と自分を責める言葉が続くことを小牧は知っている。
だから、何も言わないことにしているのだ。
「隊長がさ、早く戻って来いってさ」
「俺もそう願いたい」
「自分より堂上の怪我の方が軽そうだから、自分より早く復帰できるだろうって言ってたよ」
「あんの人は!」
堂上の眉間の皺が少し増えた。
「班長がいないと、書類も溜まる一方だし」
「それはお前がやっとけ」
「ええ~俺、そういうの苦手だよ」
堂上の眉間の皺がさらに増える。
「班長がいないと、静かだし」
「そりゃいいことだ」
「それが、そうでもないんだよ」
「どういうことだ?」
「喧嘩相手がいないとさびしそうだよ?」
堂上の眉間の皺が深くなる。
「アイツ、なにかしでかしたのか?」
小牧はにっこり微笑み、首を横に振る。
「一生懸命仕事してるよ。報告書に始末書にいろいろ」
「始末書……俺にもあるんだろうな」
「上官として、当然かな?」
大きくため息を吐いて、堂上は目を閉じた。
救急車に乗せられるときに途切れた意識は、なかなか戻らなかった。
怪我の影響より、肺炎の影響のためだ。
ようやく戻った意識の中で、堂上が発した第一声は「笠原は?」だった。
意識が戻るまでずっと病院にいた小牧が「成功したよ」と返事すると、「そうか」の一言を返した。
もっともこのやりとりを堂上は覚えていず、しっかり意識を取り戻してから小牧にからかわれつつ知らされたのだが。
「ところで、笠原さん、来てる?」
サイドテーブルの上に飾られた花を見て、突然小牧が尋ねた。
堂上は静かに首を横に振った。
「え?この花、笠原さんじゃないの?」
「……ちがう……」
「へえ、堂上もてるなあ」
花瓶に生けられた花の花びらを突付きながら、小牧が笑う。
「忙しいんじゃないのか、後始末で」
「まあ通常よりは忙しいけど、定時上がり可能な範囲だよ」
堂上の口がへの字に曲がって、明らかに拗ねているのがわかる。
小牧は肩を小さく震わせて上戸を堪えていた。
「あのさ、笠原さんって堂上の恋人なんだって?」
「はあ!!!」
点滴に繋がれているのも忘れて、堂上はベッドの上で上体を起こしかけた。
何を慌てたのか、堂上は吊った右足ごと動こうとして、小さく悲鳴を上げた。
それを小牧がやんわり止めた。
「ど、ど、どこをどう間違うとそうなるんだ」
小牧はおかしくておかしくて、腹を押さえている。
堂上はへの字の口に頬まで膨らませた。
「ほら、お前を助けてくれた新宿の書店さん。そこの店長さんはそう話してたよ。『当麻先生と恋人を守るために』って」
「……当麻先生を守るためってのは合ってるが」
「恋人も守るためだったんでしょ?」
「……部下だ」
仏頂面で宣言して堂上は小牧の反対に顔を向けてしまった。
小牧はくつくつ笑いが止まらない。
しばらくして、小牧の上戸がおさまった頃、堂上がぽつりと零した。
「まだだ」
「そっか、まだなんだ」
「ああ、まだだ」
「そうか」
「ああ」
恋仲にしか見えない二人に、後なにが必要なのか、小牧にもうっすらわかっていた。
無鉄砲な感情屋。
そのふたりがこれからどうやって気持ちを繋げるのか、見たくもあるが、それは遠慮しておこうと小牧は思った。
「一緒にウォッチしましょうね」と笑った笠原の同室者の顔がちらついたせいでもあった。
「じゃ、また来るよ」
「悪いな」
「毎度のことで」
「すまん」
病室に入ったときと同じ会話をして、小牧は病室を出た。
「うーん、柴崎さんとの約束があるからなあ。どうするかなあ」
日に日に堂上の機嫌が悪くなっていると笠原が柴崎から聞かされたのは、その二日後である。
Fin.
あとがき
堂上と小牧のお話でした。
堂上が意識を取り戻したとき、小牧がいたと仮定です。
たぶん、堂上の意識が戻るまで小牧はずっと病院の集中治療室の前にいたと思うんです。
「過去最高記録」だったんですもの。
途中で手塚は一旦隊に戻されたと思います。
で、玄田さんに「小牧は堂上の意識が戻るまで戻ってこなくていい」っていわれるんです。
堂上と小牧は、二人でひとつ的なところがあって、お互いにかけがえのない存在。
堂上は小牧の冷静さがうらやましいし、小牧は堂上の熱さがうらやましい。
言葉にはしなくても分かり合えてるふたりです。
新宿の書店さんが恋人と誤解(じゃないけどこの段階では誤解かな?)した話は、しっかり柴崎から小牧に伝わっています。
ふたりともひっそりそのネタで楽しんでいるんです。
食えないふたりだ。
相変わらず文章として起承転結も序破急もない展開ですが、
読んでくださりありがとうございました。
感想などお待ちしております。
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プロフィール
HN:
亜生(あおい)
性別:
女性
自己紹介:
関東の片田舎に住む。
典型的 O 型人間。
せっかちなのにのんびりや。
好物はハチミツと梅酒。
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